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2008/08/17読了。
シャングリ・ラ読んだら、冲方が読みたくなった。
読みにくいなんていってごめんなさい、冲方。やっぱり戦闘の描写は、最強でした。
正直なところ、私のシュピーゲルシリーズの評価は冲方作品としてはそんなに高くないんだけど、この巻は出色のでき。
冲方読んで感動させられるところは、勉強して書いてるな〜って心の底から思え得るところだ。
この巻で興味深かったのは、彼なりのナショナリズム、ナショナルアイデンティティが明確に問題として描かれているところである。
冲方は、少年時代をネパールとかとにかく日本国外で過ごしたいわゆる帰国子女である。
父親が朝鮮系だともいう。
生まれも育ちも日本で、日本人というアイデンティティに疑問を持たない(持てない)ものたちが、ちょっと描けない観点を持ち出してきてくれる。
作中CIAエージェントが自分が「アメリカ国民になったとき」を語るシーンは説教くさくもあるのだが、はずせないシーンであったのだろう。
「アメリカ国民」になったCIAエージェントと、対比的に語られる、未熟な自分を何者かにするためにすがる方法としての、激しいナショナリズム。
「国民になる」という感覚を持てるということは、冲方らしいところである。
しかし。
こっからは本の評価と関係なく、個人的なことなのだが、最近アメリカの暗部を描く新書ばかり読んだせいもあって、アメリカやはり良いというような描写を見ると何となく反論したくなるところがあった。
アメリカってなんか偽善的な国なんだよな。
逆に中国は、きれい事とか抜きで、政治に悪は必要って本気で思っているような印象がある。
夢見がちな国家って別の意味で怖い。敗戦までの日本とかも。本気で大東亜共栄圏が作られたら、アジア人が幸せになると思ってたひといっぱいいたのだろう。
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禁断の力<レベル3>を手に入れた涼月たち。同時多発ストーリー第4弾!!
空港でハイジャックが勃発。領空内に正体不明の戦闘機が侵入。蠢き出す、中国暗殺部隊〈蟲〉。空港内で大量の人質を取るテロリスト集団。発動する〈レベル3〉――! 涼月たちの闘いは新たな局面へ――!!
うおお…!
と読んでいて素直に、率直に、ストレートに驚かされました。
スプライトシュピーゲルとの物語のリンクが今回は(いや、毎回ですが)特に重要なキーです。
涼月と鳳、事件と事件を結ぶ携帯が物凄く重要な役割を果たします。
二つの事件に見えて、最終的には1つの事件として収束していく…。
沖方さんにのその手法に唸らされました。
そして、"特甲猟兵"という強大な敵に対するため、遂に猋のメンバーも"特甲レベル3"の使用へ。
精神汚染をきたすレベル3…猋のメンバーはどうなってしまうのか…!
涼月達の"強さ"と"弱さ"が見えた今回。
都市の"暗部"に立ち向かう少女たちの運命やいかに…。
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3頭で一つの猋なのにこの巻ではそれぞれがそれぞれの状況に置かれてる。スプライト側とのリンクはより強固になってきた感じ。
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2010 12/5読了。たぶん有隣堂で購入・・・たぶん。
オイレン最終巻。って言う感じはあまりしない巻(テスタメントへ続いているなら当然であるが)。
てっきり前巻で提示された吹雪と涼月の話が掘り下げられるのかと思ったら、前巻で多少あった日常テイスト全部吹っ飛ばして全編アクション+サスペンスで、かなりのめりこみながら読んだ。
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こちらも初読の際にレビューしなかったので再読でレビュー。二つの物語が相互に連携しながら同時進行するストーリーで、電話という手段で言い合う主人公たちの語りが相互の謎に大きく関与し、二つで一つの事件という構図となっているが、これが発展的に次作のテスタメントですべての物語が一つの話という途方もない挑戦に繋がったのがよくわかる。ライトノベルの様な体裁でありながら途方のない話であり、是非、早めの次作の刊行をお願いしたい。
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のめり込みました。
途中かなりエゲツない事になりますが、ちゃんと克服して、前に進みます。
只々頑張れと読み進むのみです。
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特甲猟兵の登場によって、戦闘が半端無く過激になり特甲児童の内面に更に迫る巻。小隊メンバーそれぞれが現状を受け入れて精神面での成長を果たす姿も素晴らしく、それを支えるミハエルとパトリックがまたかっこいいです。あと陽炎の行動と内面のギャップも見ていて面白いです。そしてスプライトとの結びつき、特に涼月と鳳の電話による会話とその姿の対比の仕方が見事。これだけ多面的に物語を破綻なく書ける作家はそういないでしょう。物語が統合されるというテスタメントにも期待です。
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4巻
もう一つの物語の4巻とリンク
こちらにも猟兵2人、偽脳兵器1、中国の蟲さんも参戦
切れた子供たち、それに過去の女
黒犬君がメイン?己の劣等感と対峙
謎解きの部分は少な目、すでにスプライト読んでいるのでわかっているし。
話は収束せずにまだまだ発散中。
メインの筋は同じでもサブの物語が違うとだいぶ趣が変わるかな。
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オイレンシュピーゲル4巻を再読。涼月が機械化された体や自らの境遇に対して持つコンプレックスに、潰されそうになりながらも立ち向かう姿が印象的。テスタメントで、受験によって自らの道を「選択する」ことが涼月にとっていかに重要だったか、4巻を再読してより理解できた。
涼月と共に行動することになるパトリックは、普段身近にいない「大人」として涼月に影響を与える。パトリックが自らを米国民であることを意識したアーカンソーでの出来事と、アメリカの善が試行錯誤中の「最前線の善」であるとの考えは、涼月とは立場が違うけれども、示唆に富んだ言葉だった。
涼月の言う「あたしの都市」という言葉が、テロリストの言う「我が国」「我が民族」等と同様の、劣等感にまみれた欺瞞の言葉にならないためにはどうすればよいか。涼月の葛藤と、拷問嫌いの涼月が「あたしの都市」でそれを許すまじと突撃するシーンは、痺れる!
あと、脳内チップと機械義肢との関係や、レベル3のフロー状態の関係などは、結構忘れていたんで読み直せてよかったw
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古本屋でたまたま見つけた。
参まで読んだところでどうしても好みじゃないので
休止していたけれどオイレンシリーズの最後巻らしいので
『毒を食らわば皿まで』という心意気で読んでみた。
やはりスラッシュ文体は読みにくい。
途中かなり読み飛ばしてしまった。
この文体は心の機微、葛藤が素晴らしく表現されている。
陽炎のミハエルに対する素直になれない恋心とか、
涼月の強がりの裏側にある劣等感とか。
(逆に夕霧のような裏表のないキャラクターにはあまりはまらない)
それでもどこか相容れないのは完全に好みの問題か。
なんとか読み切ったけれど、
物語はスプライトシリーズとリンクして
まだまだとどまる所を知らない。
あ、あれ……? この巻で全然完結しないんだ……(愕然)