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読書室、貸本屋というインフラ整備によって大衆に読書というのが浸透していったのをフランス、日本の事例で紹介している。
フランスの大衆よりも日本の方が遥かに本を読んでいたはずだ。興味深い。
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2013 2/16読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
図書館系勉強会向けに借りた本。
印刷革命後の「読書の社会史」をパリを中心に、一部近世日本の事情も交えつつ扱った本。
面白かった! 著者の他の本も読んでみる。
以下、各章メモ。
○1章:識字率
・識字率の話は図書館史の授業冒頭に持ってきてもいいのかも?
世界の状況とかの話は掴みになりそう。
・新教/旧教と識字。自ら聖書を読むための、まさにリテラシーとしての識字について。これも避けては通れない話題かなあ・・・いよいよ聖書を読むべき時か。
○2章:19世紀フランスにあったという有料の「読書室」(店内閲覧がメインの貸本屋)について。
・学生御用達で医学・法律の専門書を借りられるようなところも? 多い所では蔵書52,000。
・当時の公共図書館は?・・・あるが、夜間もあいているところは少ない。「無料のパブリックな読書空間は、きわめて限られていた」(p.34)
・現在は読書室は存在しない・・・民衆向け図書館の発展の影響も
○3章:江戸時代・日本の貸本屋について
・p.51~52になぜ日本では活版が江戸時代に普及しなかったの考察がちょろっとあり。
・行商・・・薬売りが貸本屋を兼ねる。本を背負って顧客を回る。さらに版元も兼ねる例も。
・八犬伝などはむしろ貸本屋がメイン購入者?(読本は高価で通常は買えない)
・p.66 貸本屋についてのまとめ
・明治に入りこの手の貸本屋は消えていく・・・新聞小説の台頭や洋裁の本の重さなど。
◎江戸期の流通体制はどうなってたんだ??
○4章:再びヨーロッパ。新聞連載小説について
○5章:ここまでのように「読書」が大衆化すると・・・?
・文学市場の形成と印税システムの確立
・p.109~:印刷物と「世論」の話に言及あり
○終章:ふつうの人の読書実態をいかに知るか・・・
・「聞き書き」の有効性の提案も
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図書館より
19世紀のフランスの読書文化を解説、紹介した本です。
読書がどのようにして文化として定着していったか、ということで、フランスの識字率の紹介から、当時高価だった紙媒体を読ませる読書室の存在などが紹介されます。
個人的に面白かったのが、一冊の本としては高いものを分冊形式で売っていたことです。今でいうところの小説誌的な売り方がこの時期から取り入れられていたことが意外でした。
日本との比較が貸本屋だけだったのでもっと広く日本とフランスの読書文化の変遷を比較してほしかったかな、と思いました。