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長野信者なので、彼女の書くものには何だって「面白い!」と言ってしまうのだけど、
今回はまたいつもと違う感じで面白かった。
珍しく恋愛的なものが一切入ってこなかったな、と感じました。
ひたすら幻想的。
そして静か。
少年は出てこない。
とても面白かった。
面白くてぐいぐい読んでいるのに、読みすすまっていない、と気づいたときには、
それだけ濃度の濃い文章なのか!と驚いた。
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懐かしい雰囲気、沙、水と紋様の描写が大変きれいです。随所に出てくる食べ物にもとてもそそられます(笑)。
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【長く生活の場であった《船》をおりた私は、キビ色の沙地の白い家で暮すことになった。パイ生地のようになった109冊の航海日誌(カルトローレ)を解読することが仕事だ】
初めて長野まゆみ作品を読んだ時は、金魚鉢の中を覗いているような感覚がした。
見えるようで見えない、幻のような印象はこの本にもある。
けれども、頭に浮かんでくる映像はとても鮮明だ。
タフィの生活がどこまでも優しい物語であった。
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沙漠では、ことばもかたちを見失うのね――。長く生活の場であった《船》をおりた私は、キビ色の沙地の白い家で暮すことになった。パイ生地のようになった109冊の航海日誌(カルトローレ)を解読することが仕事だ。そこに現れたのは、琥珀色の肌の少年、蜜色の髪に淡緑の目の青年、移民局の役人、そして――。現と幻のあわいに拡がる物語。
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男色に傾かず、こんなにファンタジー色を出すとは意外だった。
十八番の少年も今回は影をひそめ、主要人物にひとりきり。
主人公は記憶のあいまいな青年。
日々の出来事をただ書き連ねるように、淡々と物語は進行する。
文体が凪いだ水面のようで心地よかった。(舞台は砂漠だけれども)
表現が繊細で、描写も丁寧。出てくる小物、食べ物にまで乙女心をくすぐられる。
読み終えるのが惜しく、いつまでもこの世界に浸っていたい。そんな恍惚感を得られる作品だった。
いまのところ、氏の本では一番好き。
時々出てくる細かな文様はメヘンディなんだろう。この本を読んで、色々と調べたくなった。
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異世界。描写がすばらしい、特に食べ物の。
…コリドーが、どうしてもジョン・カビラに思えてました。
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最初は、世界観やキャラクターの個性をつかむのに苦労し、なかなか読み進められなかったんですが、世界観やキャラクターを理解しはじめてからは、長野まゆみさんの独特の物語にどっぷりでした!!
今まで読んだ長野まゆみさんの作品の中でも、ベスト3に入る面白さでした。
物語は、”船”を降り、適正化プログラムを受ける主人公が、”船”の航海日記の解読をしていくという話を軸にすすみます。
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降り積もる砂、風車、日よけをかけた窓、木陰の昼食・・・。
エキゾチックな砂漠の雰囲気を堪能しました。
夏に冷たい飲み物でも用意して少しずつ読むのがいいかも。
水を探り当てる能力を持つワタの民の少年が重要な役どころであり、他の長野ワールドと同様、水=蛇のイメージも出てくるけれど、ここでは水が貴重な恵みであるせいか、恐ろしさはあまり感じませんでした。
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砂漠での暮らしを淡々と描いたお話なんですが、その背後に見え隠れする数々の謎が、ほとんど謎のまま終わってしまったような^^;でもその分、いろいろと空想の余地はありますがね。食べ物と、刺繍などの装飾の描写が印象的でした。
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解かれない謎、というのもそれはそれで味わいがあって素敵。
カルトローレ。その意味を私は知らない。知らないけれど、独特の風景描写を持ち一人称で語られる世界。そして日々と同じように変化していく何か。謎。ぎりぎりのほのめかされるところまでしかわからなくても、過程が充分に味わい深い。
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となりの姉妹、メルカトルと多少吉本ばななっぽい雰囲気の本が続いてましたが、少し昔のに似た感じのお話でした。
この、砂漠のざらざらした感じが良い。長野作品て結構砂漠でて来る。新世界とかサマー・キャンプとか。
本には一気に読んでしまいたいものと少しずつ時間をかけて読んでいきたいものとがあるけれど、これは圧倒的に後者。こういう、時間の流れがゆっくりと感じられるものがとても好き。
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最後へ、ゆくにつれて、不安になっていく。物語の内容が不安をあおりたてるようなものではないのだが、
謎がなぞのままでおわってしまうんではないかという、読者としての不安。まぁそんな私をよそに話は終わったわけですが。
話は一人の少年が研究のために、砂漠のまちへやってきてそこで過ごし、来訪者がきたりとかなんとか。
あれはいったいなんだろう?それどういう意味?とか難解なものがでてくるのは、長野さんの話では当然といえば当然のような(そしてそれがとかれないままなのも)。
でも話自体はとても面白かった。
お菓子や、料理がおいしそうで、わたしもレモンケーキ作りたくなった。
あとは、刺繍や編み物、布についての表現が長野さんらしく、きれいな言葉でつづられていてよかったです。
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長野まゆみさん特有の、不思議で幻想的な感じがよく出ていて、雰囲気がすごく素敵。大好きです。
所々に出てくる料理の場面が何故か好き。登場人物では少年ワタとエルジンが好き。
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キィルル……、キィ、キュルル……、ギィ……、
今まで、こんなに印象に残る書き出しの小説に出会ったことはない。この書き出しは沙漠の鳥が啼きかわす声、そして空き家の屋根でさびついた風向計のきしみの音でもあるのだけれど、すばらしく私のイメージとぴったりの擬音語であった。私自身の感性と長野まゆみさんの感性は近いと感じていたけれど、最初の一文でこんなに引き込まれ、心地よく作品の中に入ることができたのは、この『カルトローレ』が初めてだった。
書き出しに限らず、この本はその内容まですべて美しく、また、おいしい。食べ物の描写がおいしそうなのはもちろんだが、景色の描写、光の移ろい、吹き抜ける風、それらの雰囲気を表すには「おいしい」という言葉がぴったりな気がするのだ。まさに味わって読む本、なのだろう。
色彩の鮮やかさも忘れてはいけない。私は、青い外衣(ウーク)を着た年少のワタが、沙漠に立ち、その名の通り色鮮やかなゴシキ鳥をとまらせている姿の美しさが、一番印象に残っている。
『カルトローレ』は長野まゆみさんの作家生活20周年記念の年に出版された本で、新宿でサイン会があったので、行って来た。なので、今私の手元にはサイン入りの単行本がある。もともと表紙がうっとりするほどすてきなので(全体に白と沙色の、レース(それともクロシェ?)や小さな花があしらわれた美しいデザイン)私の宝物と言っても良い。
長野まゆみさんはブログも書かれている。私は読書マラソン委員会でブログを書くことがあるが、割と、彼女のブログの影響を受けていると思う。特にこのレビューは長野まゆみさんの文章を意識して書いてしまった(笑)。
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初期長野作品のような異世界の雰囲気がたまらなかった。相変わらず素敵な世界観にウットリ。砂漠が目に浮かびました!そして食べ物や飲み物がとってもおいしそう。色んな伏線をはっといて、たくさんの謎を残したまま終わるのがにくい!でもそんな謎なんかどうでもよくて、主人公たちは変わらない生活を送って行くんだろうな~.。