紙の本
余命が分かったところで、狼狽するだけでは?
2008/07/10 00:11
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る
あなたは、自分の余命が正確に分かるとしたら、それを知りたいと思いますか?
本書の主人公の永関恭次は知りたい思った、それが物語の始まり。電機メーカーに勤める部長代理、年齢は56歳、家族は妻と大学生の娘。高校時代の同級生の訃報を受けたことをきっかけに、自分はあと何年生きるのだろうか?それが分かれば生き方も変わるかもしれない...という思いを抱いた時に、余命を高精度で診断する会社に遭遇し、診断を申し込むこととなった。
あなたの余命..というタイトルだが、何も余命が気になるのは自分のとは限らない。介護が必要な家族を抱えている場合とか、遺産目当てに年寄りと結婚したとかで、近しい人の余命が分かれば、と思うことがなくはない。本書の他の登場人物たちは、様々な理由で自分以外の余命を知ろうと余命診断を申し込んだ人々だ。
人の生き死にのことだから、どんな理由であろうと、他人の余命を知りたいと思うこと自体が不謹慎だとマユをひそめる向きもあろう。登場人物たちもそのような後ろめたさを持っている。余命診断の説明会で出会った主人公を含む4組5人の男女は、その後ろめたさからか奇妙な連帯感を持ち、メールアドレスや電話番号を交換し(名前は偽名を名乗って)、連絡を取り合うことになった。
物語は、他の人々の事情に振り回される永関の様子が健気(56歳のおっさんには似合わない言葉だけど)で、声援を送りたくなる。なぜか、全員から相談を受けることになる。人から悩みや相談ごとを打ち明けられるのは久しぶりだ、などと言っていて、ちょっと嬉しくてはりきってしまっている。おまけに、その内の一人の17歳年下の美女とは、親密な関係になりそうな予感までして。
読み終わって思うのは、「余命を知る」ということが、想像以上に感情を揺さぶるということだ。自分の余命はもちろん、他人のものであっても。予想に反した結果が出た時はもちろん、特に予想をしていなかった場合でさえ、受け取った結果に狼狽している。やはり、生き死にを知るのは、我々には荷が重すぎるのだ。
人の死を扱っているのだけれど、ウツウツとした感じはしない。ヒドイ悪人も登場しないし、ちょっとホロリとさせる場面もあるし、軽めの読書にもオススメ。
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250万円かかるけど人の余命がわかってしまう。
自分の余命、親の余命…
かなりの精度があるとしたら
どんな悲劇が生れるのか?
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人の余命を高精度で予測するというサービスと、それに翻弄される5人の人間ドラマ。今流行の○○○○問題なんかも絡めながら、もしかすると筆者は警鐘を鳴らしているつもりなのかもしれませんが、そんな事考えずにただ楽しむだけで十分です。この人が描く人間て、誰もみんなウソくさく感じるのは何故なんでしょうか?
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う〜ん、よくわかりません。
面白かったのか、面白くなかったのか。
気になる内容ではありましたが、何となく、設定が中途半端?
そう感じてしまいました。
なんか、読後感がいまいち。
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前半は吸い込まれるように読んでしまったが、後半はありきたりな感じで少しがっかり。図書館で半年近く待った1冊。2008/11
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余命の説明会で出会った人々の話。
後半の方までけっこう面白く読んでたけど
最後の最後はむりくりまとめて終わらせた感じで拍子抜け。
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金融小説家・幸田真音の著。これまでの金融ネタと違ってちょっとスピリチュアルを題材にしている。彼女の小説にアガスティアの葉が出てくるのはちょっと驚き。
たぶんこういう世界にはまるなよ~~っていうメッセージかな?と思いながら、なかなかドキドキしながら読めた。
普段の金融小説に比べたらひらがなが多く読みやすい!(笑)
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小説としての完成度は決して高くはないが、あとどれだけ生きられるのだろうと、ふと考えてしまうことは誰にでもあるのではないかと思うので、目の付けどころは良いのでは?
しかし、そんな詐欺まがいのインチキ商売に大金をはたく人はよっぽどの訳ありか、暇な大金持ちなのだろう。
たとえ、あと少しの命でも寿命なんて知らされたくない。
知れば、悔いのない生き方ができるとか、家族愛に気付くという考え方もあるだろうがそれでもやはり知らせないでもらいたい。
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もっと深刻な物語と思っていたが最後は金儲けの為の余命告知とわかりガッカリ。
遺伝子やゲノム解析等で本当に余命がわかるとすれば保険会社のシステムも変わってくるだろう。
もし自分の余命が判れば残されるカミさんの事が一番心配になる。
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タイトルにやられいろんなタイプの人物が出てきて誰かに感情移入するのではなく全ての人の気持ちに そうだな〜 と思うのですやっぱりコトは単純ではないよしかし ミチコが一番性悪に感じた
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タイトルに惹かれて、読んでみました。
テーマも関係すると思いますが、説明的でちょっと私には重かったです。
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#読了。もし、あなたの余命を正確に予測することが出来たなら?過去との決別、家族とのつながり、新しいことへの挑戦、様々なことを思いながら診断結果をみつめる受診者たち。筆者得意分野の企業/経済分野がいまひとつだった。ちなみに私なら、こんな検査受けないことだけはたしかだな。。。
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「人の余命は正確に予知できる」
56歳、部長代理として平凡にサラリーマン生活をする永関は、いよいよ4年後に定年を控えている。妻と一人娘とつつましく暮らすが、偶然ネット上で正確な余命予知をしてくれる機関の存在を知る。
その額は250万。経済小説作家が解き明かす未来とは?
タイトルに惹かれて手に取りました。
正直なところ、正確な余命を知りたいか?と問われたら、「知りたくない。でも、ちょっと気になる」というのが本音です。
余命宣告だなんて、新手の詐欺だろうくらいの気持ちで読んでいたため、最初は出てくる登場人物すべてに疑いの目を向けるような読み方をしてました。
読了感は「うーん・・・」という感じ。結局なんだったんだ、悪い夢でも見てたのかな、というような。もちろん現実ではあるのですが、全てがふわふわしていて現実味がないまま物語が終わっていました。
そもそも何故余命が正確にわかるようになったか、というと、個人情報の漏洩問題と深くリンクしています。いかに個人情報が守られていようと、テロ対策などの前に優先順位は変わるし、守られているようで実は脆い立場にあるのを私たちは自覚していない、という。
その膨大な個人情報を一手に集めることができたなら・・・、というのが物語の出発点であり、その副産物が余命宣告をするビジネス。
いわば、現代社会への警鐘でもあるのですが、いまいちピンとこない。
残り短いのであれば、余命宣告は意味を持つかもしれないけれど、例えばあと70年です、なんて言われたところで、果たして何か変わるんだろうか。
でも、自分の余命じゃなく、例えば作中にも出てきたような介護の問題も絡む親の余命、不倫相手の妻の余命など、自分のことより気になる余命はあるかもしれない。
全体的に作中では、余命宣告されて暴走するのは男性、一度は動揺してもすぐに落ち着いて次の行動に移せるのは女性、という印象を持ちました。これは、ある意味的を得てるかも?
登場人物が好きになれなかったから共感も少なかったけど、「舞台の最中に突然幕を下ろされても慌てないように、その日を精一杯生きていく」というのには同意です。
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余命を予知できるサービスがあったとしたら…を背景に、五人の男が織り成す物語。
予想していた展開とほぼ同じではあったが、ややこしくなく、読みやすい。。
語り手が第三者なので、淡々と話が進む。命の使い方以上に、個人情報云々に持って行くあたりは、作者らしい。
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余命予知から始まって、色々話が広がっていきそうだったのに、一番無難でつまらない話のまとめ方になってしまっていて、残念でした。