- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
6 件中 1 件~ 6 件を表示 |
紙の本
この社会の情けなさはどこから来ているのか
2009/07/07 17:53
11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやな世の中である。同感である。しかし、自分も同犯者なのだろう。著者は、「いやな世の中だ」と実感させている原因が何なのか、次々と腑分けしていく。思い当たるものばかりである。世の中に「自分様」が増えているからである。そして、自分様を肯定する言説や自分様でなければいけないような空気さえ蔓延している。
戦後、アメリカよりもたらされ、後生大事に育んできた流れは、規範の喪失、放縦な自由、誤った平等、人権の濫用、そして、ひたすらな自己肯定へと行き着いた感がある。著者は、なんでこんなもの(こと)がもてはやされるのだと指摘する。痛快でもある。しかし、著者があとがきで述べているように、自分様たちは言ってやっても変わらないのである。変わらないから自分様なのである。逆恨みする者たちばかりである。私はそんな大学教授に脅迫を受けたことさえある。
ここで取り上げられているような自分病患者は昔もいた。じゃあ問題は何なのか。たぶん普通の人がいなくなっていることだ。高潔な人、普通の人、下劣な人、かつては社会にそれぞれのレベルの人が正規分布していた。しかし、このところ普通の人の割合が急激に減り、両極に分れてきている。ふたこぶラクダの分布になってしまったのだ。そして、言うまでもなく下のレベルのコブが大きい分布に。
そんないやな世の中で、著者は慎み深く生きよと語る。低く暮らし高く思えと諭す。もっともである。できればそうしたい。少なくとも目指したい。だけど、人に優しくあるためにも、この心を静めたい。このもやもやを少しでも消し去りたい。このイライラを分かち合いたい。そんな人たちにこの本を薦めます。
私が思わず手を打って、そうですよねと唸った項をいくつか紹介すると、
・蛇のような人間、といっては蛇に悪いか
・こんな女に「母親」という言葉はもったいない
・「セカンドライフ」が白々しい
・いい気な「おひとりさまの老後」
・「夢を持て」という脅迫
・「元気をもらった」が暑苦しい
・「一言お願いします」が浅ましい
・美顔・造顔術が悲しい
・新しいとなにがいいのか
・喜んで時代に遅れる
などなどである。自分がいやな自分にならないために、ガス抜きができます。そして、最終章ではとても無理だけど、できたらいいなの生き方も示唆してもらえます。
6 件中 1 件~ 6 件を表示 |