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実際にあった実の子を川に突き落として殺害した事件と大学の運動部であった集団レイプ事件。
その二つの事件を下敷きに物語は進む。
男ってどんな生き物なんだろう。
女ってどんな生き物なんだろう。
そればかり考えながら読んだ。
結局分からなかった。
屈折した愛情だったのか、憎しみだったのか。
両方が入り混じった複雑で説明のつかないものなのか。
分からないけど、それが人間の持っている心なのかな、と思う。
きっといつまでたっても説明できない、説明のつかないもの。
それをあぶりだしていた小説だったと思う。
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テレビで紹介されていたので読んだ。
あまり評価できない。
被害者と加害者が夫婦になる(夫婦だっけ?)という思いつきを引っ張った話であり、過去やそのいきさつ、事件はその思いつきの為に「付けられたもの」という印象を受けた。
結婚する相手に傷があると、自己の嫌悪感より劣等感や恥のように外界の視線への意識の方が強いという指摘は鋭いと思う。
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最近、路線が変わったと噂される吉田修一の最新作。
・あらすじ
隣家で起こった親による幼児殺人事件。その取材に訪れた記者が、どこにでもいそうな若夫婦の15年前の過去暴き出す。
本当に方向性が変わってます、吉田修一さん。前回に続き、単純に善と悪に分けることのできない登場人物。彼らの苦悩が伝わってきて苦しささえ覚えました。過去に戻れるとして、どちらの人生を望むのか。意外とサラっと読めましたが、心に何かを残す作品でした。読んで損はないと思います。
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2008.10.15. 怖いよ。これはあれだよね、畠山容疑者の事件がモデルになってるよね、出だしの女。リアリティがあって怖い。普通に暮らしてるはずの人は、過去を持ってるのは当たり前だと思うけど、レイプとか、そういうことも、ありうるのか。どんな風に始まったとしても、人間関係って成り立つのか。破綻してるか。なんか、無性に怖くなった。
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きっかけは東京郊外で起こった幼児殺人事件。シングルマザーの母親が、幼い息子を殺害し、近所の渓谷に遺体を捨てた容疑で逮捕された。
警察の捜査、新聞記者が調査を進めるなかで、容疑者の母親が、隣家に住む若夫婦の夫・俊介との関係を自供し始める。
警察、記者共に俊介の素性を調べると、彼は15年前所属していた大学の野球部の部室で、当時女子高生だった少女を集団レイプし逮捕されていたことがわかった。
過去の事件に興味を持った週刊誌記者は加害者の男性3人と、被害者の女性の事件後の過去を調べていく。
加害者の男性たちは過ちを忘れられないながらも、なんとか社会に復帰していった。
しかし被害者の女性は学校、会社でのイジメ、結婚した後に夫からDVを受けるなど、決して幸せな人生を送っているとは言えず、現在は失踪していることが判明する。
記者は直接俊介に接触したり、彼の妻・かなこに話を聞くなどして、事件の詳細を調べるうちに、彼の妻かなこが実は俊介が15年前に傷つけた女子高生の夏美である事実を知る。
長い年月を経て、すれ違い、拒絶し続けていた夏美だが、二人が一緒にいることで俊介に苦しみを与え、彼を許さないという誓いを立てて同居をしていたのだ。
結局、俊介と幼児殺害の母親との間には何もなかったことが判明し、俊介は釈放され、週刊誌の記事に書かれることもなくなった。
釈放された俊介と\\\"かなこ\\\"である夏美は、二人で渓谷に出かける。
共に生活する中で、いつしか二人は幸せになりかけていた。
そのことに気づいたかなこは、家を出て行く。
残された俊介は、この先、何としてでも、かなこを探し出そうと心に決めた―。
非難されるべき加害者が受け入れられ、庇護されるべき被害者が辛い目に遭う。
幸せになることを許されない二人は何処へ行くのだろうか。
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「二人で幸せになってもいいじゃありませんか!そう叫びたいのに、どうしてもそれが言えない。」
某誌で好評だったため、見つけた時には「きゃあ!」と嬉しくなってしまって、しかもあっという間に読み終えたけれど、でもでも面白くなかったの。
読み終わって、「それで?」と聞きたくなるぐらいよく分かりませんでした。過去のレイプ事件の話が出た時点で途中で話の流れも見えたし・・・。
お話なんだから、もっとぐちゃぐちゃしたものを求めていた期待はずれ感たっぷりなのでした。残念っ!
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「悪人」を凌ぐと帯に書いてあったので。ただ、折角のミステリアスな構成が帯で若干ネタバレ気味。大学の野球部部室での集団レイプ、した側とされた側のその後の心のありよう、みたいな。重苦しいけど、救いはある。
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『陰日向に咲く』の後に読んだせいか、物語の濃さにぐいっと引き込まれた。やはり小説家が書く文章は濃さが違う。そもそもぼくは吉田修一の文章とは波長が合うようだ。『悪人』と比べてどうのこうのという感想は特に無い。悲劇を描きながらも、淡々とした筆致がこの人らしい。淡々としたタッチだからこそ、ステレオタイプで一元的な感情だけで終わらずに、心を抉ってくる。わかりやすさやカタルシスはないけれども心に残る一冊だった。
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きっかけは隣家で起こった幼児殺人事件だった。その偶然が、どこにでもいそうな若夫婦が抱えるとてつもない秘密を暴き出す。取材に訪れた記者が探り当てた、15年前の“ある事件”。長い歳月を経て、“被害者”と“加害者”を結びつけた残酷すぎる真実とは―。
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一緒に不幸になろうと暮らし始めたレイプ元被害者水谷夏美と元加害者尾崎。そんないびつな二人の関係も、「幸せになりそうだった」から、近所にある渓谷を形成している桂川にサンダルを流してしまった日を経て「さようなら」という夏美の置手紙で終止符が打たれる。
学生時代のきっかっけとしては軽いノリでの出来事がここまでいろいろな人のその後人生に暗い影をおとしいつまでも立ち直れないでいる姿が描かれる。
一緒にいると幸せになる、別れれば許してしまうことになる。その狭間から抜け出そうとする夏美と「彼女は俺を許す必要なんかない」と彼女を探し出そうとする尾崎。二人はどうなるんだろう。
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やるせないストーリーでありながら、ラストに救われる。美しくも悲しい小説。[姿を消せば、許したことになる。一緒にいれば幸せになってしまう]
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『パークライフ』において純文学的天才をみせつけ、『悪人』において大衆文学方面でも比類ない才能があることを示したというのに、この人はどこまで作家としての可能性を広げようというのでしょうか。これぞ、小説。面白く、しかも考えさせられる。余韻を楽しむという意味でも抜群の作品です。この内容の濃さをこの本の薄さに凝縮できるのはプロの業でしょう。次の作品で、何を見せてくれるのか、楽しみというより恐ろしい気がします。
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「告白」を読んだ時のような、何ともいえない後味の悪さが残った。一見、救いようがありそうにみえて、実はとても複雑でそんなにハッピーではない感じ。(2009/1/11読了)
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地図男のあとに読んだからか、吉田さんの文章はとても安心した。シリアスだったけど、とてもよかった。人間ってむつかしい。かなこは出て行くかもしれないし、出て行かないかもしれないし、出ても戻ってくるかもしれないし、出て行くか決められないかもしれない。許すとか、許さないっていうのは、一生決められるものじゃないのかもしれない。許そうとか許さないとか、頭や心で決められるものなのだろうか。こういうことを表現した、小説っていう表現の力を感じた。吉田さん、すごいです。
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2/12 吉田修一はなんで!何を書いてもおもしろいかなあ。とくにその「物語の世界に引っ張り込む力」には脱帽。ほんとに1行目からやられます。わからないっていう気持ちに変に解決をつけないところと、どうするんだろ?と最後まで思わせるのもすごい。
「私がいなくなれば、私は、あなたを許したことになってしまうから」
姿を消せば、許したことになる。一緒にいれば、幸せになってしまう。「さよなら」と書き置きしたかなこの言葉が、渡辺の胸に重く伸しかかる。
ってとこ。セツナス。この小説の要だったと思う。