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『悪人』から吉田修一の作品は一つの変化を果たしたようだ。
今後、吉田修一は初期作品ではなく中期に入ったと言える。
個人的には『悪人』の方が衝撃度は強かった。少し展開が読めたのが残念。
でも、今後もこの方向性で名作を書いてほしい。
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静かな田舎の住宅街で起こった幼児殺人事件。被害者の母親は過剰にマスコミに登場し、悲劇のヒロインを演じるが、世間からは彼女は最有力の容疑者と見られていた。マスコミも逮捕に備えて、彼女の家を取り囲む。少し前にどこかで実在していたようなシチュエーション。しかし、この小説は予期せぬ人物にスポットライトを当てて、意外な展開を見せる。
「さよなら渓谷」と、タイトルはさわやかだが、愛憎入り交じった登場人物たちがうごめく。ある事件の被害者と加害者が偶然、出会い、結びついてしまう残酷さは読んでいてつらくなる。彼らが一緒になった目的が次第に明らかになっていく展開は新しい形のミステリーだ。「不幸」と「愛」、正反対な2つの混ぜ合わせ方が絶妙。
以前読んだ「悪人」もそうだが、吉田修一って人、周囲からは理解されない不思議な人間心理を描くのが巧い。
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幼い子供が亡くなった。よくある事件だった。ただその背後には様々な思惑があった。
事件を取材していた記者と、事件のあった家の隣家の夫婦の視点が交互に入ります。まんまと、びっくりしました…。
「しあわせになるために一緒にいるわけじゃありませんから」
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事件報道が被害者をいつまでも被害者で・加害者をいつまでも加害者に〜東京の奥庭の外れの市営住宅の子どもが失踪し,母親が逮捕されたが,女は隣の旦那と関係があることを仄めかし,男の妻も否定しない。男は否定せず,夫婦の秘密が解き明かされる。妻の名は高校時代の強姦被害を隠すために,その場から逃げた架空の友達の名であり,内縁の夫は大学時代の野球部寮で集団強姦に加わった当の犯人だった〜雑誌や新聞やテレビの報道は人々にイメージを植え付け消せない傷を被害者にも加害者にも残す。子育てに疲れた母が子を殺したという・よくある話や,ノリで集団sexをしたあとに後悔の叫びを挙げて被害者と加害者をつくってしまっただけという・ありそうな話を大袈裟に伝えて,目新しい話題を漁りに行くマスメディアに働いている人も個人的な幸福には辿り着けないということを週刊誌に連載したことが凄い
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隣家で起こった幼児殺人事件。犯人は母親・・四歳の息子を渓谷に突き落としたのだ。どこかで起きた実際の事件を思い出させるような設定だ。しかし、物語の中心はその隣に住む夫婦なのである。この殺人事件をきっかけとして、過去の秘密があばかれていく。ちょっと大ドンデン返しがあったり。
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2009.7.立花里香の子供が殺害されたが里香に疑いがかかる.その隣に住む尾崎俊介と妻のかなこにも取材が来る.その俊介とかなこに興味を持った雑誌記者の渡辺は2人を調べ始める.すると、俊介が大学生の時にレイプ事件を起こし、その被害者がかなここと水谷夏美だった.何ともいい感じのしない展開です.
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図書館。
今時の事件を軸に描かれたお話。
結局あちらはどうだったんだろう?と思いつつも、
救いのあるラスト、だったと思います。
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幼女殺人事件がメインかなぁーっと思ったらレイプ事件の被害者と加害者の話。
悪人が凄すぎたせいでそれに比べるとって感じやけどそれでもいろいろと考えさせられる作品でした。
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他の吉田修一の本と比べるとイマイチかも。
とある大学生のレイプ事件の加害者と被害者の奇妙な生活。
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町はずれの町営住宅にひっそり暮らす若夫婦。隣に住む女が幼児殺害事件の関係者としてマスコミの注目を浴びたことがきっかけで、
若夫婦の隠された過去が知られそうになり…。
二人の不思議な関係は、現実には有り得なく思えるが、こんな二人がいるかも、と思わせる作者の筆力!
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吉田修一さんがとまりません!
さよなら渓谷っていうタイトルがちょっととっつきにくいというか
どんな内容なのかわからんところが狙いなのかわかりませんが。
贅肉のとれた文章、核心をついていくストーリー
構成力もあると思うのですが、スッキリしていてなんか物足りない・・
どなたかのレビューで最初の100ページが凄いって書いてあったのですが確かに!最初の100ページで上り詰めて、一気に下がっていく
ジェットコースターのような面白さがありました。
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幼児誘拐殺人事件から物語は始まるが、テーマはあっさりとその隣家、尾崎側に移っていく。
吉田修一が好きなのは、事件のとらまえかた。
事件そのものの凄惨さを冷静に描写するのはもちろん、一方的に悪を書くのではなく、加害者側の単純で複雑な動機や事故に至るまでの経緯を書く。
そして、誰もが不満な現実をあきらめつつも、そこから抜け出そうともがいている
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図書館にて。
重い…。こういう事件をこういう切り取り方をした本ってなかった気がする。
人とは、本当に残酷でずるくて、不器用でいとおしい。
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2010.3.9 古本
イマイチとっちらかった感じです。性犯罪に対する加害者側の男性と被害者側の女性の世間からの受け取られ方の違いについてはなるほどと思う。まだまだ男性社会的な考えに支配されてるんだなと思う。
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期待せずに読んだけど吉田修一の作品の中で「パレード」と並ぶ良作。
ひとつの殺人事件によってひっそりと明るみになるもうひとつの事件。
ふたつの事件の関連性は薄くそれを期待する人には残念なものになると思う。
半分足らず読んだところで残りの話の流れはなんとなく分かる。
けど、その流れをここまで読ませるのか、と。
人の心の最深部にあるような濁りをさっぱり描ける吉田修一は凄い。
読み終わった後、涙が勝手にこみ上げてきた。
でも泣いてはいけないような気がして深呼吸した。
因みに私は女性側のキモチに入り込んでしまった。
多分パレードと同じく何度も読み返す作品になる。