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紙の本
『嵐が丘』の新訳を手がけた鴻巣さんの育児エッセイ 読み応えあり!
2008/11/21 03:56
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
翻訳家・鴻巣友季子さんのエッセイ。
エミリー・ブロンテの『嵐が丘』新訳を手がけた人でもある。
彼女は長年の夢だったこの新訳話が現実のものとなったとき、「ああ、たったいま、私は大きな選択をしたな」と直感的に思い、これで自分の子どもをもつのはあきらめることになるんだな、と思ったのだそうだ。
彼女が37歳の時のこと。
それほどまでに、翻訳という仕事が過酷なものだと読みながらひしと感じた。
しかし彼女は『嵐が丘』新訳を無事成し遂げ、そして40歳にして初めてお子さんを出産した。
そのときに生まれた娘さんは今年四歳になられたそうだが、なんでも妊娠中から「なにか連載を」とアプローチがあり、それも「子育てのお話のなかに、翻訳とか文学のことを盛り込んで書けませんか」と…。かくして誕生した連載育児エッセイ、前回の『やみくも』に続き、共感の嵐が吹きまくりました。
さすが翻訳家だけあって、これまで踏み入れたことのない妊娠、育児ワールド特有の言葉には敏感で、するどく反応。そして日々育ち、言葉が増える娘さんの言葉も見逃しません。
それにしても娘さんのなんとかわいいこと!
なんだか読んでいるだけでメロメロ状態。
鴻巣さんの娘さんに対する姿勢もいいな~と思う。
「月誕生日」(毎月の誕生日の日)をささやかに祝うことを続けていらっしゃるそうで、例えば「夕飯のときに、またひと月ぶん大きくなったことをことほぎ、食後に、夏なら、いつもより少し大きくスイカを切り分けたりする。」というくだりには、なんだかじんときました。
こういう感覚、忘れてしまった、いかん、いかん。
あれこれ手がかかり、思うように仕事がはかどらなかったり、育児の孤独に直面したり…。そんなときも娘さんのひと言で救われたり、笑ってしまったり。
娘さんの影響で、30年ぶりにピアノも再開されたそうで、「まだまだふたりとも目くそ鼻くそのレベルである。
目くそ鼻くそ笑って笑われて、わたしと娘は他人として生きていく。」とあった。
その競い合う様子がほほえましくもあり、そしてわたしと娘は他人として生きていくときっぱり宣言しているところがかっこいいな~と思うことしきり、でした。
どの育児エピソードも読み進むにつれて、翻訳や文学のことにゆるやかに話題が変わっていくのが、私としてはなんとも嬉しい。ほんとうに読み応えあり!です。あれこれ読みたい本をチェックしつつ、やはり一番読みたいのは彼女が渾身の思いで手がけた『嵐が丘』の新訳だなぁと思いました。
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