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母上のあぐりさんは百歳を迎えても、矍鑠たるもの。自立した生活力と娘・理恵さんの遺稿集を編むなど本当にびっくりの気丈な方。料理苦手な和子さんにお袋の味を御馳走してくれる。
和子さんの身辺雑記エッセーは自然体だ。
子どもの頃、妹の理恵さんと大きな鏡を床に置い覗き込みながら物語を演じるというのは、私の子ども時代の同じような鏡との記憶が蘇る。
理恵さんのがん闘病時、あの世とこの世を行き来する二人の会話は不思議なほどに違和感がない。なんだかとても幸せなのだ。だから和子さんは「・・・そんなものは飛び越えて妹に会いに行ける術を身につけた。もう恐いものはない」と、老嬢は今日も上機嫌なのだと結ぶ。
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トークショウを機に読了。
さらりと書かれたように見える文章の集まりなのだが、内容的にも読み応えがあり、しみじみと読んだ。彼女の刻んだ年齢と生き方のせいだろう。
淳之介や理恵さんのことあぐりさんのことなど家族のことにもふれてあった。
現在は、俳句を楽しんでいるそうだ。彼女が句会へ行くきっかけになった句は、龍之介の「青蛙 おのれもペンキ 塗りたてか」だそうだ。こうしたページも自分の興味と重なった。
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914.6
父・エイスケ、兄・淳之介、妹・理恵、そして岸田今日子さんとの思い出。100歳を迎えた母・あぐりのこと…
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人柄の良さがうかがわれる、妹さんを亡くされて、今まで怖かった死が怖くなくなったと、同じ、分かる、分かる!
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吉行和子さんってほんとにシンプルで面白い人。「さっぱり」という言葉が良く似合い、くよくよ悩まれたりしている場面もあるし、年齢に見合ってよを憂う場面もあるけれど、それよりいさぎよさのほうが印象に残って(キッチンの改修をした話とか、お芝居の選び方とか、女優という仕事の苦労とか)また読むだろうな。友人に会いたくなるように手に取るのが正解。近しい茶飲み友達のような。
特に後半の、はいくを取り混ぜてあるところがとっても素敵。岸田今日子さんのことも書いてある。
子どもたち怒る怒る怒るを読んだっていうのにびっくりした。若い本だと思っていた。でも本好きな人にとっては本は等しく本だということだなあと、変なところで感動する。
とりあげられている映画や本や俳句などどれも面白そうで、この人の目線の確かさを信じられるからというほかに、紹介の仕方がすっごくいい。こればっかりはセンスとしかいいようがない。
吉行さんと冨士さん岸田今日子さんが旅している本だと、おばさんでありレディであり熟女である温度のある冨士さんの文章と、深い森の中が似合うような少女っぽい叙情の岸田今日子さんにはさまれて、ちょっとそっけないくらいの吉行さんの文章だけど、単体で見るとこの人の中の熱さがよくわかっておもしろい。すごく好き。
そういえば以前に椿鬼奴さんが「紅茶を電子レンジでわかして飲む」と言っていたのに驚いたことがあるけれど本著で吉行和子さんも同様のことと知る。家事に興味のない人にとって、電子レンジは魔法のツールなんだなあ。
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岸田今日子さん(1930.4.29~2006.12.17 享年76)、富士眞奈美さん(1938.1.15~)と大の仲良しで(だった)3人で国内外の旅行を楽しんだ吉行和子さん(1935.8.9~)の楽しいエッセイ「老嬢は今日も上機嫌」(2008.6)を読みました。天真爛漫、明るい老嬢?の様子がうかがえますw。ただ、妹・理恵さんが治るはずの癌で半年の入院中に命を落とした悲しみ、それを、元気なあまりころんで大腿骨を折り入院中の母に伝えるときの気持ちと母の憔悴した姿のくだりには、思わず追体験をしてしまいました。