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基本的な鉱物220種を紹介。大きい判形を活かして標本写真を大きく掲載し、解説が多いが写真が少ない辞典と相補う役割を想定している。鉱物の分類体系に沿って章分けし、個々の鉱物に生成環境や利用に関する解説を添える。
写真の標本は産業技術総合研究所地質標本館で管理されているもの。
標本の美しさを最大限に引き出したレイアウトに拍手したい。微細な結晶の集合が大写しになったページなど、吸い込まれてしまいそうな魅力がある。
対象のビジュアルがわかるのは非常に有意義だと思う。「銅」と言えば10円玉とCuという化学式が浮かぶが、本書を読むまで、自然銅が枝分かれした棒状をしているなど想像できなかった。
鉱物には四角い結晶体だけでなく、腎臓形、針状結晶など実に様々な形があり興味深い。
<基本用語のまとめ>
「地殻」地球の表層を占める岩盤
「鉱物」地殻を構成する最小単位。4500種有。もう少し厳密な定義は次のとおり。
・天然に産出する、固体無機物質
・組成は、化学式によって記述可能
・構成元素の配列が規則的。つまり結晶質。(※結晶の規則的外形=原子・イオン配列の規則性)
・物理的性質が、狭い範囲に収まる
「岩石」天然に産出する固体。全体として不均質でも、鉱物の定義から外れるものも含む
「鉱石」利用する立場からの分類。鉱物でも岩石でも、用途があり、経済的な採掘の対象となるもの
<気になった鉱石>
・鋼玉(コランダム)Corundum…赤いものはルビー、それ以外の色調のものは一括してサファイアと呼ぶ
・蛍石 Fluorite…色調の変化が著しい鉱物の1つで、無色、黄色、緑色、青、淡青色、紫、褐色などのものがある。紫、白、黄色の縞模様を持った蛍石は、ブルージョンと呼ばれる
・霰石(あられいし)Aragonite…生きている貝の殻は霰石で出来ている。
・石膏(せっこう)Gypsum…砂漠の砂の中でできた、石膏の花弁状集合体を「砂漠のバラ」と呼ぶ