紙の本
ビッグサプライズをありがとう
2008/08/31 00:41
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
青い空を背景に表紙を飾る、とても可愛らしい女の子がきっと本書のヒロイン・ブラウンアイズ。海辺の街パラークシに住む純真で可憐な彼女と恋に落ちるのは、首都から避暑のためにやって来た政府高官の息子ドローヴ。身分違いの恋です。おまけに国は戦時下という非常時にあり、年若い恋人達をどんな結末が待ち受けるのか。
瑞々しく微笑ましく、ひと夏の恋よ永遠に続けとばかりに物語が進む一方で、”これは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものでもある”との著者の言葉が表すように、恋愛にまつわり、戦争にまつわり、そこに関わる多くの人を通じて、一歩進んで二歩下がるがごとき少年の成長を描きます。少年の成長がテーマでもあるせいか、とても素直な書きぶりで、ファンタジックな異世界にもすんなりと入り込めます。が、そこはやっぱりSFなので、一筋縄ではいかないお楽しみも待っています。
季節が移ろうように人の気持ちも移ろうさまを丹念に描きながら、最も大切なことは描かれなかった部分にこそあるのかもしれない。はっきりいって謎々です。ハンカチ握りしめ涙ふり絞りそうになったところで大きな疑問符に阻まれ、慌てて前半部分を読み返しました。SF史上有数の大どんでん返しが鮮やかで、爽快な読後感を味わいました。
ああ夏って素敵。これから人生の夏を迎える人がこの物語に出会う幸運を思うとかなり羨ましくなります。
紙の本
異世界風、青春風
2018/12/22 00:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
異星に住む人間そっくりという異星人。その異星人の少年ドローヴが夏を過ごしに家族と訪れたパラークシで居酒屋の娘ブラウンアイズと再会する。肉体的に結ばれる。途中リボンという少女とも三角関係のようになるが、ブラウンアイズがそれに妬いたりするが、口八丁の金持子息ウルフとの交友関係はおもしろい。ドローヴの父は高級でないにしてもそれなりの官僚であるだけに反発し確執も出てくる。母親も身分にうるさくドローヴは好いていない。まるで人間劇だが、異文化らしい様々な風習や自然環境がその背景にあって見え隠れする。ラストではひとつの世界が「冬」を迎えようとして、人パラークシの市井の人々は過酷な運命を迎える(特にドローヴと一時期はかなり近づいていたリボンの変貌ぶりと末路は悲しい)が、ラストでその世界観を揺さぶる認識上のどんでん返しがある(そんなに大したどんでん返しでもない)。読後感は悪くはなく、異世界ものとしてはよくできていると思うし、「人間劇」として見れば些細な差異が逆に気になる。ブラウンアイズはうまく書けていると思うけど。
紙の本
変わり種SF
2016/12/22 21:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:肋骨痛男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙に騙されてはいけない、結構ハードSF
わたしの好きな一節。
「それ以上の説明は不要だった。もう頭の中に思い浮かぶ。一頭一頭が人間並みの大きさで、力の強い獣の大群が、ぼくたちのちっぽけな船のまわりに集まってきて、低い舷縁を跳びこえる光景が……。」
投稿元:
レビューを見る
青春SF小説の古典。切ない恋愛の細やかな心理描写、背景である世界設定のハードさ、どれをとっても一級品。何よりも一人の少年が一夏の間に女性との関わり、大人との関わりを通して成長する、教養小説であると思う。
投稿元:
レビューを見る
マイクル・コーニィ 1975年作品。サンリオ文庫でかつて出版されていたが、
このたび待望の復刊・新訳作として話題を集めていた。
14,5 歳くらいだろうか、主人公のドローヴとブラウンアイズの瑞々しい
恋愛譚を中心に、ひと夏の出来事が綴られている......という感じで2/3くらいまで
読み進めていた。が、しだいに怪しくなる雲行きに惹かれながら、ラストを迎えた。
前半に描かれるような具体的情勢に比べるとラスト間際の描写は曖昧な感じもする。
読者にそのあたりの読み込みをゆだねているようにも思え、
読み終えてもう一度そこだけを読み返さなくてはならなかった。
ただし、読み返す価値はある!!
これは深い。ラストの1行で救われた。鳥肌が立った。
文中で最後まで気になったのが、罵倒語の表記。
たとえば「なんてことだ」のルビに「ラックス」とあったが、これは逆のほうがいいし、
「氷結なたわごと」に「フリージングラックス」というルビもちょっと苦しいかも。
その罵倒語の元になった世界観の描写はとても面白かった。
なぜ異星人の住む惑星を舞台にしなくてはならないのか、
当初は少し変だなと思ったが、読み進めるうち、異なる世界を描くのに、
こんなにぴったりの手法はない。
読後感としては、トーヴェ・ヤンソンの大人向け小説「誠実な詐欺師」や、
バーコヴィチの「野うさぎ」を連想した。見たことも体感したこともない世界を思うとき、
行間を想像力で埋めてゆく。そんな作業がとても楽しい。
ブラウンアイズのかわいらしさや、若い恋人たちのさわやかさが、ちくりと刺すような
せつなさ、寂しさ、やりきれなさ(そしてラストのラストでのあの大どんでん返し!!!!)
と溶けあっている。そんな小説だった。
続編を期待しています。
投稿元:
レビューを見る
SFらしいSFだと感じました。普段はあまりSF読まないんですけどね。。
二国間の戦争と少年少女の恋の話だと思いきや、戦争どころじゃ済みませんでした。いやもう、まさかあんなところまでいってしまうとは!後半は意外な展開でした。主人公たちの行き着く先が物悲しかったです。タイトル通り、ハローサマーでグッドバイでした。でも、最後は・・・想像の中で無事にブラウンアイズと出会えたら良いなと思っています。
投稿元:
レビューを見る
夏休み。
きっと、私たちにもこんな、甘酸っぱい恋愛の記憶と冒険のスリルと理不尽な社会に対する反発で胸がいっぱいだった季節があった。
うそ、なかった。
投稿元:
レビューを見る
夏の別荘を訪れた少年のひと夏の恋物語であり、戦争と惑星をめぐるSF小説でもある。
全体として面白くないわけではないんだけど、読むのにやたら時間がかかった。なんというか、牽引力不足で、区切りがつくたびに本を置いてしまうんだよなぁ。SF古典ということで、読むのに集中力がいるせいかも。
ひと夏の恋物語として見ると、なんとも描写に欠ける気もするんだけど。
投稿元:
レビューを見る
SFで、恋愛で、青春で、ハローで、サマーで、グッドバイと来たら、おもしろくないわけがない!
ありとあらゆる要素が惜しむことなく盛り込まれ、そのスケールの大きさに圧倒されること無く、したたかに成長していく主人公。
凡百のライトノベルなどこの小説の前では粉々になって消滅してしまうだろう。
今まで読んだSF(そんなにないけど)の中で確実に一位だった。
もちろんこの小説はそうした矮小なジャンルなどやすやす超えてしまう力を有しているわけだが。
投稿元:
レビューを見る
素敵本!!
焦って先が気になる感じでもなく、展開が遅すぎてダレる感じでも無く、すんなりよめた。ただ後半はあまりにも展開が早すぎて、読み終えるのが勿体なかったなぁ~。ゆっくり読もうと努力したけど、直ぐに終わっちゃた…。
読後感は、ラストの絶望から希望へ切り替わった瞬間の二人の未来の可能性に心躍ったね。色んな思いと同時に夢が大きく広がる感じ。
主人公ドローヴとブラウンアイズ。二人が目を覚ますとき。再び恋に落ちるのだろうか?
投稿元:
レビューを見る
読んでください。
世界構築から、ストーリー、キャラ、甘酸っぱさ、悲しさ、弱さ、救い、すべて完璧です。
「SFは何でも書ける」は小松左京さんの言葉でしたか?
とにかく素晴らしい作品です。
SF読みでよかった(SF読みでない人にもお勧めです)。
投稿元:
レビューを見る
読むのに結構時間がかかった。物語の専門用語が多くて慣れるまで読みにくかった。
途中から急に面白くなる。あと、戦争の理由とかが明らかになってフェンスを境に主人公とブラウンアイズ(ヒロイン)が隔てられるところのシーンとか好き。
最後の退廃的なところとか「幼年期の終わり」に近いなと思った。SF初心者なので、適当ですが。
投稿元:
レビューを見る
太陽系外の地球によく似た惑星が舞台。
戦争・恋愛・身分、この3つのフレーズで大体のストーリーが予想できるかもしれないが、ここにSFという要素が絡んでくることによって、私たちの予想は大いに裏切られ誰もが驚くストーリーになる。
フリージング面白いが登場人物ほぼ全員がフリージング気に入らない。主人公とヒロインだけが良心。
投稿元:
レビューを見る
夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ…少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。
投稿元:
レビューを見る
夏の避暑地を舞台にした恋愛小説。まさにボーイ・ミーツ・ガールなので、甘酸っぱい気持ちになりたいときにオススメかな。舞台設定はSFなんだけど、ストーリーは恋愛小説寄りで楽しく読めた。
ちなみに、続編はあるけど翻訳されてないみたい。