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新聞と戦争 みんなのレビュー
- 朝日新聞「新聞と戦争」取材班 (著)
- 税込価格:2,530円(23pt)
- 出版社:朝日新聞出版
- 発行年月:2008.6
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紙の本
本当の反省とは
2008/08/25 04:33
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、朝日新聞が、戦前・戦中、軍部に迎合した自身のあり方を反省し、率直に自身の負の部分までさらけ出した書として好評であると聞く。何らかの賞を得たと、新聞広告でも宣伝されている。
暗に、“忌まわしい過去と決別した朝日新聞”の大看板が前面に据えられている。
それでは、朝日新聞は、本当に敗戦の時点をもって、“生まれ変わった”と言えるのか。
1945年8月23日、敗戦後間もない朝日新聞に掲載された「自らを罪する辨」と題された社説の一部を抜粋する。
「過去における周囲の情勢と、その間に処し来つた吾人自らの態度とについては、多くの場合、やむを得ない事情もあり、それぞれ一定の因果も説明せられないものでもない。/個人としての吾人は必ずしも全部が優柔不断であつたとは信せられない。/言論人として必要な率直、忠実、勇気、それらを吾人の総てが取り忘れていたわけではない。(一部漢字を現代字に修正)」
石橋湛山など、ごく一部の信念を持ったジャーナリストを除き、ほとんどの新聞記者が軍部の思惑通りの記事を掲載し続けた戦前・戦中のジャーナリズム。
そして敗戦を迎えても、むのたけじのようにきっぱりとけじめをつけることなく、ほとんどの新聞記者は、何食わぬ顔をしてジャーナリストを名乗り続けた。
その見識の無い姿勢が最も明確に示されているのが、この社説ではないか。
帝国主義に全く迎合してしまった我が身を反省するどころか、文面のいたるところに「我が身可愛いや」の弁解が満ち溢れている。
それでは、それ以降、朝日新聞は果たして変わったのであろうか。
少し前のことであるが、朝日新聞は「ジャーナリスト宣言。」なるキャンペーンを展開した。
2006年1月25日付け朝日新聞朝刊、1ページ全面を使った宣言文の内容は次のとおり。
「言葉は感情的で、残酷だ、ときに無力だ。/それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。/ときとして言葉は、世界を変える力がある。/人びとを動かす力がある。/だから私たちは、声を上げつづけようと思います。/悲しいことに今、世界は暴力や不正に溢れています。/戦争、内乱、テロリズム、差別、貧困、自然破壊。/あるいは日本でも、卑劣な犯罪や不当な暴力は後を絶ちません。/それに対して私たちにできることは、人々の声に耳を澄ませ、/曇りのない目で世界を見つめ、真実を伝えつづけること。/朝日新聞は、言葉のチカラを、ジャーナリズムを信じて闘いつづけます。」
勇ましい言葉が続く。しかし、これは明らかに、それより少し前に世間を賑わした朝日新聞の“不祥事”を覆い隠すためのキャンペーンであった。“不祥事”とは、NHK番組改編問題をめぐる不可解な同社の対応や資料流出問題、長野県知事による新党結成に関する虚偽メモ問題などである。
ここでもまた、“コトバ”の力を借りて、見せかけの反省、“不祥事と決別した朝日新聞”の看板を掲げようとしている。
そもそも、戦前・戦中、「言葉」により民衆を騙し続けたジャーナリズムが、「言葉は世界を変える力がある」などとは、皮肉を通り越して不気味さすら感じさせられる。
新聞が自身の姿勢を示すのは、やはり日々の新聞紙上で地道に民衆の視点に立った報道を続けることしか無い。
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