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ぼくは落ち着きがない みんなのレビュー

  • 長嶋 有 (著)
  • 税込価格:1,65015pt
  • 出版社:光文社
  • 発行年月:2008.6
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー74件

みんなの評価3.6

評価内訳

73 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

<片岡哲生>君を捜しています

2008/09/10 18:27

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小学生の頃や中学生の頃に学校で教わったことがその後の自分の生き方にどのように役立ったのかよくわからないが、基本的な文字の書き方や数の数え方くらいはまちがいなくその時期に習得したのだろう。おかげさまで。それ以上に当時の先生が何気なく(でもなかったかもしれないが)話された言葉のかけらが五十歳を超えた今頃になって、ひょっこりとにじみ出てきたりする。長嶋有の『ぼくは落ち着きがない』を読んで、そんなかけらを思い出していた。
 それを話されたのは国語の先生だったと思う。小説の文法みたいな話だから。その先生は「小説の登場人物はその物語に登場したかぎりはなんらかの関係性を持つものだ」みたいな話を、たぶん、されたと思う。どのような授業の途中だったのか、どのような作品をさしていたのか、まったく記憶がないのだが、そういった趣旨のことを話されたことだけは今でも覚えている。そして、小説とはそういうものだと私自身が思っているのは、当時の先生の言葉のかけらが「刷り込み」になっているにちがいない。その点でいえば、長嶋有のこの作品は読みごこちがよくないものだった。何か意味ありげに登場する<片岡哲生>なる男子生徒の存在がその原因である。主人公の望美だけが会えない人物として描かれていて、望美自身そのことを気にもしているし、わざわざ「片岡哲生に関するさまざまな目撃談」という章まで描きながら、結局最後まで物語に姿を見せなかった少年とは一体なんだろう。
 この<片岡哲生>は物語の終盤近く不登校になった望美の友人頼子と望美との、山場ともいえる掛け合いの場面でも登場するのだが、この時も姿をみせない「私服の若い男」として現れるのである。もし、ごく普通の小説の文法でいえば「えーっ、片岡? 望美が顔をあげてみた時にはすでにその男は角を曲がるところだった」とすべきだろうに。そして、結局この<片岡哲生>が何者であったのか語られることなく物語は終わってしまうのだが、これは果たしてどういうことなのか。これには作者の深い意図があるのか、あるいはこういう少年を描いた物語が別にあって、これだけの表現だけで多くの読者にとっては難なく理解できる少年だったのか。
 物語の出来不出来以上にこの少年のことが気になって仕方がない。もし、どなたか<片岡哲生>という記号の判読がおわかりの方がいれば教えていただけないものか。あるいは、小説の文法を教えてくださった先生は「例外はあるけどね」と言い忘れたのかもしれないが。

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紙の本

いや、落ち着きがないのはぼくのほうだ

2008/08/20 23:53

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この作家の作品も随分読んでいるが、今回初めて嫌な感じを受けた。作者が「どうだ、巧いだろ」と言っているような感じだ。
 もちろんこれは作者が明示的/暗示的にそんなことを描いている訳でも何でもなくて、単に僕の偏見とやっかみがそういう感想を持たせたということでしかないのだが・・・。
 ともかく以前から女性を描くのが巧い作家だと思っていた。どうしてこんなに巧く書けるんだろ、と思っていたら今度は高校生である。なんでこんなに巧く女子高生が描けるのだろう? 自分が高校生だった頃を描こうと言うならまだしも、彼は今の高校生を描こうとしてる。
 当の女子高生が読んだら「これは違うよ」「まさかぁ、あんなことはやる訳ない」等の異論が一杯出てくるのかもしれないが、とりあえずサマになったものが書けるのが不思議だ。今の高校生気質とか、高校生の間ではやりそうなこととか、そういうものはともかく、金属バットの音が聞こえてきたことで「野球部はランニングが終わったのか」と思うなどという話は一体どこから出てくるのか? これは書けないエピソードだ。まさか高校の近くの校庭が見渡せるマンションにでも住んでいるんだろうか?
 で、描かれているのは今の高校生なんだけど、テーマは永遠と言うか、昔も今も未解決の問題、帯の宣伝文句で言うと「人って、生きにくいものだ」というのが主題であり、これは誰が考えてもおいそれと解決しない問題だから、小説の中で綺麗に決着をつけてしまうと却って説得力がなくなってしまう。そういうことを踏まえてのことか、まるで途中で投げ出したみたいにして小説は終わる。この終わり方には賛否があるだろう。
 僕はどうかと言えば、この終わり方の巧さにやっぱりなんか嫌ぁなものを感じたのである。
 人生を捉えるために読書を扱った小説。舞台は何と高校の「図書部」である。読み終われば僕と同じ感慨を持つ人がきっと何人かはいると思うのだが、ひとことで言って「出来過ぎ」なのである。何が出来過ぎって、この中途半端な感じが。
 中途半端がここまで徹底して描かれた小説も珍しいのではないか。嫌な感じを受けたと言いながら、僕は同時に捨てがたい感じがしているのである。
 「ぼくは落ち着きがない」というタイトルは非常に妙だ。主人公は女子高生なのにタイトルは男性。そしてタイトルは一人称なのに、読者はそれは自分のことだと思ってしまうのである。
 蛇足だが今回の一番の発見は、ああ、この作家、結構アーヴィングが好きだったんだということ。かなりアーヴィングを踏まえたところがある。図書部に入部するときっとそういうことも解ってくるんだと思う。小説の中でこっそりと独自の読書論を展開しているところも憎めない感じがする。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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2008/07/01 15:17

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2008/07/13 23:08

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2008/08/29 21:47

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2008/11/10 20:30

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