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「出発点」と比べると文化人としての自分の立場をふまえての発言も多いと思うけど、面白い。近年の宮崎作品のストーリーの曖昧さや説明不足さというのが意図的な物だということがわかる。集団での地道な作業で作り上げなければならないアニメーションという手法や人間の年齢という制限が無ければこの人はどんな物が作り出せるんだろう。
子供が大切ということを繰り返している。あとがきにかえての最後の文章がとても心に残る。
「子供が成長してどうなるかといえば、ただのつまらない大人になるだけです。大人になってもたいていは、栄光もなければ、ハッピーエンドもない、悲劇すらあいまいな人生があるだけです。
だけど、子供はいつも希望です。挫折していく、希望の塊なんです。答えは、それしかないですね。人類の長い歴史の中で、そういうことが繰り返し、繰り返し、感じられてきたんだなぁと思うんです。そういうふうにできているんですね、世界は。自分たちが作り出しているのではなくて、そのサイクルの中に自分たちもちゃんと入っているんです。だから、なんだかんだと言いながらも、なかなか滅びないんだと思います。」
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野心がなければ話にならない。自分の影響力や、表現力を広げたいと思わなくては駄目なんですよ。自分の持分の中だけで、キチンとやることができれば、それで良いと思っている人間が増え過ぎている。だから野心を持って、例えば、俺は編集長になって、この雑誌をこう作ってみたいと。ただ編集長になって権力を振るうだけでは困るけど、自分の考える雑誌を作るために権力が欲しいというような野心というのは決して悪いことじゃない。
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本書は映画監督宮崎駿が『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から『崖の上のポニョ』まで―企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録したものです。
本書は映画監督、宮崎駿が 1997年から2008年にいたる12年にわたっていたるところに掲載されたエッセイ、インタビュー、対談さらには講演の原稿。スタッフに向けての企画書や手紙にいたる60本以上の「断片」を収録し彼の超ド級の思想をギュウギュウにつめた一冊で、読み終えた後はある種の疲労感と達成感に襲われておりました。
『もののけ姫』 『千と千尋の神隠し』 『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』…。出す作品出す作品がもちろんヒットし、その一つ一つが「時代」というものを的確に捉えており、宮崎駿監督の名声はゆるぎないものかと思っておりましたが、ここで浮かび上がってくるのは生々しいまでの『人間・宮崎駿』であり自分自身が『この本を出すのは本位的ではなかった』とあとがきでもらしていた理由がなんとなくわかったような気がいたしました。
作品の一つ一つや、対談で語られている『濃い~い』話。講演で話される『思い』。ジブリ美術館に寄せる情熱。その一つ一つは読んだのがもしこれが10代だったら天地がひっくり返るような衝撃を受けたであろうことは想像にかたくはありませんでした。いわば『完成品』である『宮崎アニメ』の中にこのような七転八倒の軌跡があるのかと。これを読んでから改めて一つ一つの『宮崎アニメ』を見返すとまたさらに深い『世界』の中に入っていけるかと思われます。ただ、かなり『毒気』も強いので、もし読んでいただけるのでしたら、その点は留意していただければと、そんなことを思っております。
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「もののけ姫」
今日、自然と経済活動には必ず環境問題が存在する。そしてその問題は日本を問わず、先進国から後進国まで世界共通の問題として横たわったおり、完全なる答えはないように思われる。
経済活動が往々にして優先される事が多いが、あえて保護側を批判するならば、いつも「自然は人間が残すべきものなんだ。か弱いものなのだ」という論法が通年の気がしている。
駿氏は本来の自然はその様なか弱気物ではなく、人間と耐えずせめぎ合いをしてきた非常なる姿だと言っている。
確かにもののけ姫に出てくる動物達は獰猛である。しかし、自然界の強さを備えた姿には威厳に満ち溢れていた。
日本の奥深い森は本来この様な威厳も持っていたはずだろう。
人などが管理出来る様な物ではなかったのだ。
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『出発点』以降の『もののけ姫』から『崖の上のポニョ』公開までの
エッセイやインタビューを収録。
ジブリで一番好きな作品が『もののけ姫』であるから楽しく読めた。
混沌とした時代とか色々言うが、それでも結局
子供に対しては、生まれてきたこの時代、この世界を
肯定してやりたいと映画を作り続ける姿勢が良い。
次は『到着点』になるのかな。
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こうも、細かい論のディテール抜きの正論だけを武器に、社会的に影響力を持った人も少ないと思う。
それは大衆向けエンタテインメントに、この社会の根幹にまつわるクリティカルな警鐘を込め、作品として成立させるという奇跡を何度も起こしてきたから。
視覚化すること、それを商業ベースにのせることの破壊力はすごく大きい。やっぱり偉大な人だとあらためて頭が下がる。
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宮崎駿さんの、1997〜2008年、もののけからポニョまでの文章。
環境への考え方。子供達への考え方。飛行機乗りへの考え方。
しっかりと確立された人だなぁと思いました。
ハウルだけ周辺を固めるような書き味?
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ヤックル関係 南方熊楠説で「日本ではカモシカは鳥類にカテゴライズ」されてゐたと言ふ説があったが、これに出てくるアカシシの方は、さう言ふのを調べて書きました感がない。
てふか民俗学と言ふのは、どっかで負けてだめになった人がやるので、本著に出てくるやうな、成功したをっさんが、成功した富でもって小屋を拵へ、さらにそこでやるとか、さう言ふのはあり得ないらしい。
他の対談のナニはいいや。
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「出発点 1979~1996」
14年。前史(若書き)、ルパン、コナン、ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女宅、紅の豚、On Your Mark、そしてもののけ直前。
「折り返し点 1997~2008」
12年。もののけ姫。千と千尋。ハウル。ポニョ直前。
鈴木敏夫の策略だと思うが、駿を前に立てて広報することで映画業界の興行の常識をぶっ壊そうという、野蛮な意図が裏にある。
駿は作品作りの傍らに、あるいは作品が終われば広報に駆り出され、少しの休養のあとには、次何やる、次あれやれ、と言われ。
半ばロボットとして働かされる自分に辟易。
だからこそ「千晶のための映画を、千晶が仮にスタジオという地獄に転げ落ちたら」という極私的なファンタジーを導入し(ルイス・キャロルに倣って)。
それがうっかり日本一の興行収入を達成してしまったから。
自負と疑いと。
疑いというのは、宣伝がいいから売れたんじゃないか、という。
だからハウルでは、宣伝しないっ! と駄々をこね。
しかし敏夫は眉を八の字にして口元はニタァァッ。
宣伝しない宣伝しちゃうよー、という、ブランドありきのやりかたで、またもやガッポガポ。
無料冊子で自分のメディアを作る敏夫に、ハラワタ煮えくり返りつつも、もののけ姫狂騒以降いつのまにやら文化人の仲間入りしている自分に、驚きつつも自負心もたっぷりあって、俺が稼いだんだから美術館やっちゃうよー園内保育園作っちゃうよー。
金と権力と創造性とイエスマン取り巻きでぐっちゃぐちゃになった数名が、スタジオという数十名を巻き込んでぐっちゃぐちゃ力を増し、その余波が結果的に日本全体へ、という。
凄まじいパワーバランスの、分泌が、透けて見える。
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『もののけ姫』から『崖の上のポニョ』までの間の宮崎氏によるインタビューやコラムをまとめた一冊。大ヒット作の根底にある宮崎氏の哲学を知ることができる。『もののけ姫』は『風の谷のナウシカ』よりも『耳をすませば』の延長上にある作品である、映画監督でありながら映画はあまり観ない、などの目から鱗が落ちる話が満載だ。
自信がアニメ作品を作りながらもアニメが子どもたちにもたらす影響には懐疑的であったり、戦闘機を愛しながらも戦争には嫌悪を抱いているなど、自身の矛盾に気づき、そこでもがく謙虚さのある方なのだと感じた。
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「他人に迷惑をかけない」は幻想
子どもがちゃんと喜怒哀楽を味わいつつ生きられるか
生きているって何だとか、家族って何だとか、飯を食うっていうのはどういうことなのかとか、物を持つというのはどういうことなのか、
つくるというのはどういう意味があるのか