紙の本
蜘蛛手さん再び
2008/09/16 05:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る
犠牲者の数が130人分足りない飛行機墜落事故。
まずこの文句と表紙の装丁に惹かれて手に取りました。
前作「建築屍材」より空白7年、やっと刊行された一冊です。
冒頭「過去」・ハイジャックの場面より始まります。
あれ?
あれ?あれ?あれ?
130人の謎もう解けちゃうの???
第一章では過去の事件より人が減っていく宗教団体、身元引き受け人の無い死体の喪失の場面が描かれていきます。
使者の足りない飛行機墜落事故の原因が解ってしまい、「もういきなり謎解けないよね?」とドキドキしながら読む第一章。
肝心の何故そういうことをするのかという理由がわからないのでギリセーフでした。
そして第二章。
いよいよ謎解きの始まりですね・・・って・・・ん~?
なんと登場人物に「建築屍材」の蜘蛛手さんがいらっしゃるではないですか。もしかしてシリーズ化したのですか?
ということで「前作同様建築関係が絡んでくるのかな」と勝手に推理して読み進めることに。
一読してみると、謎解き自体はシンプルですが事件の猟奇性は高い作品でした。
最近の探偵ものによく見かける組み合わせ「一般人としてはちょっと難あり、だけど推理はすごいよ」という蜘蛛手さんと「人がよくて結局何でも言うこときいちゃうよ」という助手的役割を果たす宮村さんの二人による、奇抜性はないのですが安心して読める推理小説です。
でも前作の「建築屍材」同様、題名でちと「ネタバレ」しているところが残念です。
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全国で死体が消えるという不可解な事件が発生していた。
飛行機事故の犠牲者の遺体が130人分も足らない。
監視されていたはずの宗教団体の信者が、どうゆうわけか、次々といなくなる。
役所に届けられたはずの身元不明の死体が火葬されずに消えていく。。。
これらの死体は、いったいどこへいってしまったのか。。。?
さまざまな謎が、やがて一つにつながる時、驚愕の真実が!!!
おぞましく、恐ろしい、まさかの事実に、背筋が寒くなる。。。
いったい何が起こっているのか知りたくて、ページをめくる手が止まりませんでした。
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建築屍材に続いて、門前氏2作品目。これにも探偵蜘蛛手さんが登場すると知ったので読んでみました。
うひゃ〜っ!でした。読み始めてから読了まで、一気、解決偏がとても気になって、途中でやめられない。
墜落した飛行機は死体が130人分足らなかった、身元不明死体がなくなる?カルト教団、密室殺人。
これでもかーっというくらい盛りだくさんの事件が、綺麗に解決、蜘蛛手探偵、さすがです。
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一体何が何のために? と思うような始まり。
そしてぎょっとする最後。
…なのですが、それ以前に、探偵役の男の生活態度というか
人に対する態度? の方がいらつくものがあって
面白いとか思う以前の問題でした。
話自体はいいと思いますし、最後には『選ばれた』の意味が
きっちり分かりますし、特に思い残すものはなかったのですが
どうしても、この探偵役と友人をやっている主人公の
心情が分かりません。
とっとと縁を切ってしまえ、と思い続けて読んでしまいます。
後、この宗教のどこに魅力を感じて入会したのか
さっぱり分かりません。
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全国で「死体が消える」という不可解な事件が続発していた。
犠牲者の数が130人分足りない飛行機墜落事故。
監視者の目前で次々人が減っていく宗教団体。
また、身元不明死体ばかりが火葬されずにどこかへ運ばれているらしいとも。
さまざまな謎がやがて一本に繋がるとき、底知れぬ異形の論理が浮かび上がる。
『屍の命題』で気に入った門前さんの過去作品です。
どうも、私は以前門前さんの短編をアンソロジーで読んでいたようです。
履歴で気がつきましたが、少しは気になっていたみたい。
今回もまた、その発想に驚かされました。
「WHO?」「WHY?」はわかるのですけど、その道筋の奥にあるここまでは想像できませんでした。
全くもって、とんでもないアイデア。
ちょっと後味は悪いですけど、好きです。
今回も探偵役は蜘蛛手、アシスタントは宮村。
蜘蛛手は「蜘蛛手建築(及び探偵)事務所」を開いているが、生活に困ったときにしか図面をひかない。
探偵の仕事も実入りのいい素行調査などは受け付けず、触手の動いた不可能犯罪だけ受け付ける。
なのでいつもお金に困っていて宮村にたかっているが、俺様な性格なので頼み込むようなことはしないで宮村に出させている。
が、こと謎に関してのひらめきは素晴らしい。
というキャラクターなんですけど、なんとなく京極堂のエノさんとカブるんですけどね。
それにしても面白い作家さんです。
とても気に入りましたので、追っかけます。
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「建築屍材」に続く建築?ミステリ。前作以上にとんでもなくって想像を絶する真相でした。ありえないでしょこれ!
人間消失の謎などはなんとなく見当がつかないではなかったけれど。それでもまさかの真相と動機には唖然。すべてが分かった後で冒頭のあの部分を読み直すと、あまりの惨たらしさに言葉を失います。インパクト抜群。
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えぐい。想像を絶するえぐさ。
トリックと連動した結果のえぐさであるため、そこらへんのぐろシーン載せたがる素人とはやはり違う。
謎解き部分の説明が長ったらしくて、もうちょっとどうにかならんものか。
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見つからない墜落事故?での死亡者、宗教施設に消えた信者、不思議な建物…と謎はたくさんだけど、読んでいくと建物とこのトリックを書きたいだけかい…!と。モヤモヤ。探偵役は性格に難アリで、助手役もこんなのに従うなよ…と思わなくもない。
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地味目で物語として引き込まれる要素が薄かった印象の強い
デビュー作と比べると、導入部からの話の掴み方、
謎の提示から読者を物語に引き込む部分は大きく改善され
謎を追いかける形で読者を読ませる力が強くなった。
ただ、過去から現在に至る時間・場所が異なるエピソードの
展開の仕方は唐突気味な印象が強く、あまり上手くない。
また、今回はデビュー作で登場した蜘蛛手・宮本コンビが
完全にホームズ・ワトソン役に定着する形で
キャラクターの確立がされている状態なので、
わかりやすさはあったが、二人のキャラクターが
完全に御手洗・石岡コンビに酷似している点はやや閉口する。
※しかも、御手洗に似ているということを
躊躇うくらい性格が悪すぎる
前作もそうだったけど、被害者を完全に
(建築のための)モノとしか考えていない作風に
疑問を感じるし、言いようのない後味の悪さを感じる
読後感で、いろいろと人を選ぶ作者作品だと思う。
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おっと、これも探偵が蜘蛛手だけど、全然出てこない
ワトソン役の宮村が進行してるというか、なんというか
蜘蛛手が謎解きして、さらに気持ちの悪い読後感がウリの本格推理
死亡者数は過去最大
(?/07/'14)
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ミステリのような何か。
この作者の本は二冊目だが、独特の雰囲気を持ったスケールの大きな物語を描く作者だな、という印象。
読みにくさは感じるものの、突飛な発想など、十分に魅力はある。
個人的には、もう少しシンプルな物語と、親しみやすいキャラクターが好み。
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「コズミック」が壁に叩き付けたくなるバカミス(決して嫌いじゃない)なら、こちらは読んだ記憶を消したいタイプのバカミスだ。笑えないし、話のネタにもならない。前作「屍の命題」を読んだ時に感じた人間観の不健康さが本作にもある。作家性とは思うが、ひたすら気持ちが悪い。
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可読性は高い。が、謎解きを楽しめるかというとどうなんだろう?
羽子板の羽であれば重い方が下になる。しかし剣の形状をした鉄製のものであればどうか。重いものの方が早く落ちるみたいな説明していたけど……
この理論だと先っちょの尖った爆弾はみんなひっくりかえってしまうのだけど、そうなのか? 知らんけど。
消えた死体のトリックは早々に分かってしまう。
序盤にある建築美術史の説明の部分で分かると思う。あれはいらなかったのではなかろうか。
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飛行機墜落事故で消えた遺体、人が消えてゆく宗教施設、雪密室で刺し殺された男‥様々な事件がラストで一つになり、おぞましい真実が浮かび上がる。
真相には驚いたが、カルト教団という時点である程度までは想像がついてしまった。教団に関して言えばそこにこだわった背景というか教義をもっと説明してほしかったかも。ともかく後味は悪い。
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今回も蜘蛛手&宮村コンビが事件に挑む構図は同じだが、そこに至るまでの謎の提示が長い。
一見関係のない事件が、やがて怪しい宗教法人で繋がってゆき、そこに建築系のトリックが、と言う展開は良いが、前半が長いし、謎が余り謎でもなく意外と真相が分かってしまうのが残念。
その上でオチ(動機)も後味が悪いだけで、イヤミス系になってしまった。