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2010.11.08. 書評をどこかで読んで、チェックしていた本。ゆるゆる読んでたんだけど、この本に流れる空気がとても好きな感じです。良いです。少し昔の日本は、少しの不思議をたくさん内包していたんだろうなぁ。
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江戸末期から昭和までの時代を追いながら、9人の生きざまを記した連作風短編集。
すごく不思議な奇妙な雰囲気を持った作品。なかなかこういう雰囲気の作品に出合うことはないかも。
この作者の持ち味がしっかり発揮されていて、今までに読んだ彼女の他の2作同様、読みやすいという感じでは正直ないが、想像以上に面白く、堪能させてもらった。
「隠れる」が面白かったかな。
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なんだかわからないけれど、とにかくおもしろいものを読んだなぁ、という気持ちになりました。
短編集で、出て来る話もそれぞれが別にどうということもない(なんて言ったら失礼か)話だったりするんだけど、それが微妙につながってたり、「おお、あなたは、あの話の方ですね」なんて思う人があとからひょっこり出てきたり、とにかく読み続ける度におもしろい、という感じでした。
だけどやっぱり、戦前・戦中の話っていうのは、どうにも辛くなってしまうなぁ。
もうこういう思いはしなくてよい世の中になってほしいけれど。
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美しい桜を作るが名を残そうとしない「染井の桜」
まだ見ぬ効能を開発すべく家にこもる「黒焼道話」
細々と絵を描く老婦人の家の床下に猫が住み着く「茗荷谷の猫」
大家に頼まれて作家のもとへ借金の催促に通う「仲之町の大入道」
父の遺産で静かに暮らすつもりが全てが裏目に出る「隠れる」
映画館の支配人に自分が作りたい映画を滔々と語る「庄助さん」
戦後タッちゃんに誘われ靴磨きをして生きる「ぽけっとの、深く」
大好きだったはずの品のある母をみっともなく感じる「てのひら」
近所にある洒落た家が気になる「スペインタイルの家」
イラスト:クサナギシンペイ 装丁:本山木犀
戦前から戦後にかけての下町を舞台にした短編集です。
それぞれの話にこっそりとつながりがあります。
そしてどの話も最後は哀しみの予感を含んでいる。
一番わかりやすくいい話なのは「庄助さん」だなぁ。
おかしみがあるのは「仲之町の大入道」と「隠れる」の2作。
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時代の移りかわりの中で、少しずつ人々の営みがリンクしている短編集。
ホラーチック。狂気。人生。
正直、前半のいくつかは「?」で終わってしまうのですが、徐々に引き込まれてゆくという感じ。
夢物語でもないのだけれど、これに☆5を付けれる方は感性が深いというか、情緒的なのだなぁと感心する。
若輩者の私には難しい本だったかも。
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短編連作集9編。「染井の桜」「黒焼道話」「茗荷谷の猫」「仲之町の大入道」「隠れる」「庄助さん」「ぽけっとの、深く」「てのひら」「スペインスタイルの家」幕末の江戸から昭和の東京が舞台。「茗荷谷の猫」で行方知れずになった夫が「庄助さん」で出てきたり、染井吉野がそっと咲いていたり、少しずつ繋がっている9作です。1度ではなかなかこの繋がりを味わいきれません。何度か読むうちじん、とくる本だと思います。趣味や文学に打ち込める幸せ。舞台が東京なので土地勘がなく、ちょっと残念。是非再読したい本。
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2011年1月、第144回直木賞を受賞したばかりの作者。
2008年の作品。
幕末の江戸から、昭和半ばの東京までの時代、下町の雰囲気ある町で暮らす人々。
少しずつリンクしていく短編連作です。
巣鴨染井、品川、茗荷谷町、市谷仲之町、本郷菊坂、浅草、池之端と舞台を変えて。
「染井の桜」はソメイヨシノを作り出した職人の話。
徳造は元は侍で役人勤めだったが、植木が好きで身分を捨てた。妻は何も言わなかったが、実はよほど気に染まなかったらしく人が変わってしまう。
潔く才能も根気もある男だったが‥
「黒焼道話」
職を転々としてきた春造。
黒焼きというものがあると知り、興味を抱き、黒焼き屋で働き出す。独自に開発しようとこだわるあまり店を出て、品川の寒村の掘っ立て小屋で、一人で焼き続けるが‥
「茗荷谷の猫」
夫と二人暮らしの文枝。
絵に才能を発揮して、次第に売れるようになる。画商の緒方が引き取りに来ては少しずつ売ってくれるのだ。
夫は変わらぬようだが、そっくりな人物を思いがけない所で見かけたことがある。何か秘密があるのかも知れない。
物置の下に猫が住み着き、その様子も気になるが…
「隠れる」
根っからものぐさな耕吉は、女と別れるときには黙って引っ越すことにしていた。だがそれも度重なると、住む所に困る。
周囲からはのぞけない一軒家を見つけて借りることに。かって女性画家が住んでいた所だという。
ぐうたら暮らそうとするが、なぜかお節介な隣人に何かと声を掛けられ、手料理まで運ばれる。
思惑がどんどん狂っていく様子がおかしい。
「スペインスタイルの家」
東京オリンピックを目指して工事が進んでいる時期。
尾道俊男は中学もでないうちに戦災で孤児となり、世間に放り出された。
今は工事に携わるために渋谷に越してきて、ささやかな夫婦の暮らしを営んでいる。
気に入っている家があって、通勤途中に回り道をして眺めていた。もしかしたら自分もこんな家に住んでいたかもと。
登場人物はどこかで関わりがあり、その後が見えたりする趣向。
それぞれの人物が抱くちょっとしたこだわりが面白い。
ホラー風味もあり、出しのきいた濃い味わい。
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とてもすき
明治大正時代あたりの小説がすき
江戸から明治、大正、昭和と連作風な短編
どれもおもしろい
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幕末の江戸から昭和の東京を舞台にした話。その時代背景も、人物描写も的確で自然な流れでその時を生きる人々に感情移入してしまう。「ぽけっとの、深く」が秀逸。「てのひら」は共感する部分が多く切なくなった。
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9つの短編だが、土地や人などが少しリンクしているところが楽しい。
話の内容は全く楽しいものじゃないけどね。
ユーモアなく暗いものが多い。
「隠れる」という話は江戸川乱歩の『赤い部屋』を主人公の男が
愛読しているのだが、話し全体も乱歩調。
これはちょっとブラックユーモアを感じたので、一番楽しかった。
「庄助さん」には、ちょっとキュンとさせられたけど泣けるほどでもなかったな
文の質は高いと思うけど、この暗さは苦手だ。
( ・_ゝ・)<大人はこーゆう本好きなんでしょうね
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この人の作品を読むのは直木賞受賞作「漂砂のうたう」についでこれが2作目。
受賞作だけでなくもう少し読みたいと思ったので・・・。
幕末、武士の身分から職人に変身したり、
時代に翻弄される名もなき人たちを描いた連作の物語。
ペーソスも感じる。
『本来暇で退屈であることは、至上の贅沢である』と書いている。
私は至上の贅沢を味わっていることになるのか?
納得できるような、できないような・・・
淡々を書いているがなかなか味わい深いと感じた。
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物語と著者の適度な距離感が心地いい。23区のあちらこちらでぽつりぽつりと紡がれる掌篇を数珠繋ぎにして、東京の近代が淡く描き出される。ままならぬ人の世を苦く、ほの甘く示す。今も昔も変わらない、と。
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幕末から戦後高度成長期の東京の下町を舞台にその時代々々を生きた人達と土地を描いた9つの連作短編集。
東京の下町という土地に生まれた者、移り住んだ者、何かにとり憑かれたように生きる人から世間から逃げていくように生きる人まで様々な生き方が不思議で切ない。
幕末、大正、開戦直前、戦後、各々の時代の漂う空気感が心のうちに染み込んでくる。
そして物語は時代と空間を越えて記憶をたどるように少しずつつながる。
すっきりしない結末の話しも多いのですがなんかそれもよい感じです。
すべて味わい深いのですが表題作の「茗荷谷の猫」「庄助さん」「隠れる」「染井の桜」「てのひら」がよかったです。
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江戸から昭和までの短編小説集
でも同じ人物や背景がちらりと再登場したり かっての謎がとかれたり・・・ そのつながりを見つけるのが楽しく 読み終わってから長編小説だと気づく
それぞれの副題に東京の地名が添えられている その土地の雰囲気や位置関係のわかる東京人にはそれも楽しめるんだろうなぁ
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東京を舞台に、江戸から戦後高度経済成長期あたりまで少しずつ時代が変遷していく。短編集だけど、一作一作が重なり合っている。
何処か可笑しかったり、切なかったり、ちょっとホラーだったり。。
読み進めるうちに味わい深い作品だと思えた。