紙の本
悪い企業と馬鹿な政治家。あまりにも類型的な背景だが著者の仕掛けたトリックの出来ばえやいかに?
2008/11/18 23:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日テレビで黒澤明の映画『天国と地獄』を観た。1963年の映画館で見た印象は今でも鮮明である。エド・マクベインの『キングの身代金』が原作だといわれるが、新幹線のトイレの窓を使った身代金の受け渡しというアイデアには驚嘆したものだ。スラム街で生きる凶悪のインテリ・山崎努が演じる誘拐犯。スラム街からはるか見上げる高台の豪邸に暮らす製靴会社常務を三船敏郎が演じる。山崎努は三船の息子と誤って彼の運転手の息子を誘拐する。身代金を要求された三船の苦悩するシーンがこの映画をレベルの高い人間ドラマとして完成させている。
その頃読んだ高木彬光『誘拐』はスリリングなストーリー、意外性、見事などんでん返しを仕組み、しかも完全犯罪をもくろむ犯人が伏せられているという本格推理小説として傑作の誘拐ものだった。トリッキーなゲーム感覚で描いた誘拐ものでは岡嶋二人『99%の誘拐』東野圭吾『ゲームの名は誘拐』が印象に残る作品だ。誘拐を取り込んでシリアスに現代を描いた高村薫『レディ・ジョーカー』夏樹静子『量刑』も忘れがたい。
ミステリー作家ならばいちどは挑戦してみたいテーマなのではなかろうか。とにかく私は誘拐ものが大好きである。そこでこの作品ズバリ、タイトルが『誘拐』であった。
「韓国大統領来日。歴史的な条約締結を控え、全警察力が大統領警護に集まる中、事件は起きた。少女誘拐………。まったく痕跡を残さない犯人に、大混乱に陥る警視庁」
「警視庁VS頭脳犯」
「超密な犯罪計画、超驚の警察小説」
どこかジェフリー・ディーヴァーを想起させる、凶悪な知能犯がもくろむ大型犯罪か?著者が読者に仕掛けるトリックの趣向は?とぞくぞくする期待感があった。
まず誘拐の実行犯・秋月孝介の素顔が語られる。上司からいいように扱われ会社の犠牲になって解雇される真面目なサラリーマン。失職し娘と妻を失った38歳の中年男である。彼は元同僚の関口純子の協力を得て現職総理大臣の孫娘・中学1年生を誘拐する。そして身代金30億円と日韓友好条約の締結停止を要求する。この要求の手口に著者の工夫があって非常に新鮮であり、なかなかに期待通りのスタートだった。
警察小説を標榜しているためか北朝鮮のテロに違いないと勘違いした警察内部の大混乱が詳細に描かれる。ところが読み手はこれが北朝鮮による犯行ではないことがわかっているため、警察捜査の難航を詳しく述べられてもそこには緊張感が伴わないのだ。また孫娘かわいさのあまり悩乱する総理大臣だがいくらなんでもここまで下品な姿態をさらけ出す政治家はないだろう。『天国と地獄』の三船敏郎はさすがであったなぁ。右往左往する総理大臣大臣の描写も長い。リアリティに乏しく、いささか退屈になってしまうのだ。
ちょっとした退屈は我慢しよう。
秋月、関口の計画は完全犯罪達成にむけて着実に進行していく。そして着実であればあるほど読者は作者のどこかに仕掛けたはずの謎への関心を高めることになる。どこかになにかあるはずだと。この隠された謎がわかるか!と著者は読者へ挑戦している。たしかにひねりはある。
この手の仕掛けではラストに「意表をつく超絶技」が大いに期待されるものだが、著者のご都合主義が目に余るため、私には肩すかし程度の淡白なものにしか感じられなかった。
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日韓条約締結直前に日本の首相の孫娘が誘拐される。首都圏の警察力は韓国大統領の護衛にまわり、誘拐犯対策に割ける人員はほとんどいない。高度な判断の中で、誘拐犯を逮捕、人質の救助はできるのか?犯人は金を目的で犯罪をするわけではないので、前代未聞の失敗前提の交渉をする。想像できる終わり方なんだけど・・・とりあえず読んでしまった。
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日中条約締結に向け、警察総動力で厳戒態勢を築いている中、総理大臣の孫が誘拐された。
ちょっと伏線がわかりやすすぎで、全く驚くところがなかったのが残念。
【図書館・初読・8/20読了】
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新刊だからでしょうか・・アフェリエイト検索にまだありません。
こんなの、初めてだよ(@_@)
で、Amazonから、直接引っ張りました^_^;
もう何年前になりますか・・彼のRIKAを読んだ時には、あまりの怖さに、もうこの人の本を読むことはないだろう・・と思って月日が流れ、最近になって、この新刊の説明を読んだ時に、あれ?と思ってすぐに取り寄せ・・
読み始めたら、あまりの緻密かつ周到さに、慌てて3冊、取り寄せちゃいました^_^;
わかんないもんですねぇ・・・
さて、こちらですが、誘拐は極悪非道の悪事です。
それはちゃんとわかっています、大人ですから・・・
ただ、それだけに終わらない構成・筆力に、どんどん引き込まれます。
副題の誘拐=KIDNAPPINGは、大きな意味を持ちます。
大、どんでん返しにびっくりです!
今、交渉人を読み始めましたが、これも面白い予感・・・
テレ朝で米倉涼子がやった交渉人とは違うのね・・まだちょっとしか読んでいないけど、イメージ、違いすぎるものね^_^;
パパとムスメの七日間がドラマ化されたから、と思って調べたら、2004年にwowowで三上博史と鶴田真由でドラマ化、地上波でもやったのね・・残念!
あ・・交渉人の感想文になりそう・・これは、誘拐の感想文だった( ̄□ ̄;)
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綿密な計算と周到な支度で進められて行く誘拐。
本当にありそうな、事件としたらこんなふうに進んで行くのかなと、思いながら読んだ。
どんな結末になるのか、途中で少し読めてしまったのが自分的に残念だった。
でも、おもしろかった。
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現職総理大臣が溺愛している孫娘が、誘拐された。
日頃から「金で買えないものはない」と豪語する総理の憔悴。
リストラの憂き目にあうものを捨てて顧みない企業。退職社員家族の死によってわが娘も失ってしまった秋月の決断は?
設定は甘いが、犯罪の手法やそこにこめられたメッセージ性は新しい。
読み応えはあった。
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物語の始まりは???てカンジなんですよ。
リストラされた会社員が一家心中を図るところから始まるんですね。
そのリストラを担当していたのが秋月で、一家心中を図った社員の娘と秋月の娘は親友だったんです。
で、自分の父親がリストラを勧告したことがきっかけで親友一家がそんなことになったということで、秋月の娘もマンションのベランダから飛び降り自殺をしてしまいます。
そのあたりは、中学1年生の思考だからといえばそうだけど、ちょっと安直すぎるかな?と思いましたが。で、いろいろあって秋月は自主的に退職するんですね。
そこから話は急展開。
韓国大統領が友好条約締結のために来日するというときに、日本の首相の孫娘が誘拐され、
警視庁と警察庁もてんやわんやの状態になるんですね。
ま、犯人は秋月なんですが、
韓国大統領という要人警護のために、誘拐事件に対する人員を多く割けない、北朝鮮工作員を装った犯行声明(要求)、首相の係累が人質であること、今までの誘拐犯の常識を覆す接触方法など
見事に周囲が騙されたまま話は進んで行くのですが・・・
途中でなんとなく結末は読めてしまうけど、それでも惹きつける内容で一気読み。
あまりに善良すぎる秋月がかえって不憫に思うほどです。
現在の日本における問題点を見事に描いている作品です。
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身代金の受け取り方が斬新と言えば斬新な誘拐劇なんですけど、オチは何となく読めたし、主人公の父親としてのあり方にかなりの違和感を感じました(ネタバレになるので詳しくは書きません)。ただ、この結末はどうなんでしょ?一つの罪を告白したらもう一つの罪も告白せざるを得ないし、ちょっと成立しないんじゃないかと思います。最後の最後でしくじった、そんな結末です。
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旅行会社をリストラされた家族の一家心中から物語が始まり、一体、どんなふうに「誘拐」につながっていくのだろう?
と疑問に思う間もなく、いきなり物語は「誘拐事件」へと発展していく。
物語の展開がやや強引なのが、気になる。
誘拐事件の目的そのものは、今までにないもので面白いと感じていたが、途中で展開が読めてしまい、そのまま終わってしまった。
最後も何となくすっきりせず、読後感不良・・・
ただ経済を取り巻く状況は、この作品が発表された時期よりさらに悪く、誘拐自体が頻発することはなくても、この物語の発端となった失業者の自殺が実際に増えるのかと思うと、現実の厳しさをしみじみ考えさせられる。
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韓国大統領来日―。歴史的な条約締結を控え、全警察力が大統領警護に集まる中、事件は起きた。少女誘拐―。全く痕跡を残さない犯人に、大混乱に陥る警視庁。謎が臆測を呼び、臆測は疑念に変わる。ベストセラー『交渉人』の興奮再び!稀代のエンターテイナーが贈る超驚の警察小説。
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秋月孝介は人事課にいる。
韓国大統領が重要な条約締結のため来日予定。
そんななか少女が誘拐される。
警視庁と誘拐犯。
おもしろかった。
途中なんかひっかかるなーと思いながらも流したところが。。
巧みに練られたプランだなあと感心。
2008/12/16
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軌道に乗るまでに10日ぐらいかかってしまった。
結局半分以上を今日1日で読んだ。
ん〜。
エンターテインメントですね。
ミステリーって感じではない。
実写化するにはいいかも。
恩田陸を読んだあとだからかしら、
なんか、こう、翌朝には内容を忘れてそうな
この手の作品にいまいち味を感じられない件。
でも図書館では大人気で、
170人近くリクエスト待ちができてます。
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最後の展開は意外だったけど、それまでの流れがよどみがなさ過ぎて記憶に残らなかった。
今もコメントを書きながら思い出そうとするんだけど、断片的なところしか思い出せない。
出てくる登場人物それぞれに緊張感がありすぎて、一気に読むには少し疲れる気がします。
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首相の孫娘の誘拐事件を描いた小説。
犯人の目的が最後の最後まで分からないからなかなか面白かったけど、
全体のテンポはまったりとしすぎていて、あまり良くない感じ。
身元を明らかにせず警察と連絡を取る方法として、不特定多数の
一般人に伝言を頼むという方法はなかなか面白いと思った。
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〈内容〉韓国大統領来日―。歴史的な条約締結を控え、全警察力が大統領警護に集まる中、事件は起きた。少女誘拐―。全く痕跡を残さない犯人に、大混乱に陥る警視庁。謎が臆測を呼び、臆測は疑念に変わる。ベストセラー『交渉人』の興奮再び!稀代のエンターテイナーが贈る超驚の警察小説。