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みんなのレビュー87件

みんなの評価3.8

評価内訳

87 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

男でもなく、女でもなく生きていくこと

2009/04/26 17:31

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

半陰陽、両性具有という言葉は知っていても、
当事者がどういう悩みを抱えて人生に向き合っているかなど、
漠然とした想像しかしたことがありませんでした。

男でも女でもない性。
どちらにも属さないということが、とてつもなく苦しく不自由なものだということが、
いくつもの挿話から伝わります。
同時に、男と女という2つ以外にも属す性があってもいいのではないかという、
問題提起もなされています。

性同一性障害が、一昔前に比べて社会に広まったことを考えると、
インターセックスについての情報が、あまりにも少ないという現状にも驚きますが、
社会が、曖昧なものから目をそらし隠し続けた結果だと言われると納得できます。
当事者やその家族が、死ぬまで口を閉ざしてしまうという悲しい現実も、
情報が少ない原因のひとつだそうです。
口を閉ざさないと生きていけない怒りや悲しみも、登場人物を通して訴えられています。

物語は『エンブリオ』の続編にあたります。
医療の、そして人間の闇の部分を存分に描き、そのグロテスクさに幾分慄いてしまった『エンブリオ』。
舞台となった病院にヘッドハンティングされる女医、秋野翔子が今回の主人公です。

院長の岸川がどういうスタンスの医師なのか、過去に何をしてきたかを知るのと知らないのとでは、
本作の怖さも多少違ってくるとは思います。
ミステリー部分はほぼそれによって成り立っているので、余計にそう思えるのかもしれません。

しかしこの小説の核になっているのは、性差医療であり、インターセックスの現実です。
よく知られていない(けれど知るべき)分野を、
それを抱えている人間ごと伝えるのが目的とするならば、
この物語は成功しているのだと思います。
苦悩がとても真摯に描かれた、帚木蓬生らしい物語だとも言えるのではないでしょうか。

それにしても、伝えるべき情報をふんだんに盛り込みながらエンターテイメント作品を書くというのは、
相当にむずかしいのだろうなとつくづく思います。
情報と物語が完全に融合することは困難で、
そういう意味では『エンブリオ』のほうが満足度が高かったような気がするからです。

ただこちらには、前回にはなかった‘救い’があります。
主人公の翔子が、すがすがしいまでの正義を貫くことで生じる爽快感もあります。
少し残念なのは、すべてをあまりにも美しく性急にまとめようとする強引さが感じられることでしょうか。

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紙の本

とぉっても重たい作品でした。

2008/09/28 19:39

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る

読んでいて途中で気づきました・・・エンブリオの続編です。
この作品だけで読むのも面白いのですが、やはり前作を読んだ方が出てくる登場人物の背負っているものを理解できるのではないかと思います。
私はエンブリオという作品にとても満足していたので、前作の続きと知っていたなら多分読まなかったとは思いますが。

こちらはインターセックスという難しいテーマに贖罪というテーマを織り込んだ作品だと思います。
半陰陽という言葉とそういう方がいらっしゃるということは知っていましたが、実際その方たちがどういう治療をされているのか、その事実を読んだ時は本当に月並みな表現ですがびっくりしました。
私たちは余りにこのインターセックスについて知らなすぎるのです。
そんな私たちにこの作品は、性同一性障害とインターセックスの根本的な違いを、インターセックスの人たちが直面する現実を登場人物を通じて私たちに諭してくれます。
もちろんたとえ作者が医者であろうとも、本当の辛さや心の痛みを全て文字に書くことなどできないでしょうし、私がその文章を媒介として理解したなどとは決していいません。
それでも知らないよりも知っていた方がいいし、理解できなくても理解しようとすればいいと思うのです。

いまこの文章を読んでいて「インターセックスって何?」って思う方にこそこちらの作品をお勧めいたします。

そしてもう一つの贖罪というテーマになりますが、正直に書くとこちらはまた別の作品としてあげた方が良かったのではないかと。
主テーマがとても重く、どうしてもこちらの方はミステリー感を出すために付け加えたように感じ取られてしまいました。
あまり書くとどうしてもネタバレになってしまいそうなので細かく書くことができませんが、私個人の感想としては『岸川先生カムバック~』というとこでしょうか。。。

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紙の本

インターセックス。古くは半陰陽、両性具有と称されたが、外性器の形成や生殖器、染色体が曖昧で男女の一方に分類できない人々。広義にみると100人に一人の出生頻度で出現する。

2008/10/06 15:46

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりに帚木蓬生が医学界の現状に真摯に向き合った好著を手にした。

なにしろ冒頭の医療事故の裁判があまりにも迫真的だった。
これは新聞記事だが、去る8月20日、帝王切開で出産する患者が死亡した福島県立大野病院事件で福島地裁は業務上過失致死罪に問われた医師に無罪を言い渡した。検察側の「癒着胎盤を認識した時点で、胎盤を子宮からはがすのをやめ、子宮摘出手術に移るべきだった」とする主張は退けられ、胎盤をはがした医師の判断を標準的な措置と認めたものだ。この判決を予期していたように専門的なことはわからないが読む限りまったく同じ論点をこの小説で展開しているのだ。弁護側証人・岸川卓也が颯爽と登場する。死力を尽くした医師を逮捕拘留することが許されるならわが国の産婦人科医はもはや異常分娩は取り扱わなくなると言及し、今、現実に激減しつつある産婦人科の問題を指摘している。

インターセックスの子を出産した親がどんな気持ちで子育てをするのか、どういう苦痛が本人の成長過程に待ち構えているのか、軽々しく想像することは不謹慎であろう。本著にはいくつもの苦悩の挿話がここを伝えてくれる。インターセックスに対する医療措置はどうやら生まれてまもなくの幼児を親と医師が男にするか女にするかを選択しできるだけ早い時期に外形的な手術を施すようである。岸川が院長を務めるサンビーチ病院も同様の方針で対処している。しかし、主人公の泌尿婦人科医・秋野翔子の考えは異なる。翔子はその選択は本人が一人前に成長してから本人みずからが選択すべきだと主張し、当初は岸川と対立する。やがてインターセックスの人たちと交流を重ね、人は男女である前に人間であり、インターセックスのままに生きるという選択に人間としての尊厳を見出す。翔子をサンビーチ病院に招聘した岸川もやがて彼女の医療哲学に啓発されていく。

著者の初期の作品『閉鎖病棟』。世間から隔離された生活を営んでいる精神病院を舞台に、彼ら「異常者」の日常生活を通して、「健常者」より確かな人間の善性を謳いあげた。その強烈なヒューマニズム精神に深い共感を覚えたものだ。この作品はそこに通じるところで、帚木蓬生復活! である。うれしくなった。

「やがて翔子は彼女の理解を示す岸川の周辺に不可解な変死が続いていることに気づく………」
と、途中からサスペンスタッチのオマケがついている。この『インターセックス』だけを読むと「不可解な変死」の謎解きはとってつけたかのような印象をもたれるかもしれない。
ところが、岸川とは生殖と移植では「神の手を持つ名医」。贅沢な施設と高度な医療を誇るサンビーチ病院の院長だ。と読者が理解すればこれはあの『エンブリオ』の続編ではないか。
『エンブリオ』、生殖・移植の先進医療を描いていた。グロテスクなエピソードの氾濫に度肝を抜かれた。そしてラストの後味が悪かった。常にヒューマニストであった帚木蓬生のイメージが変わったとの印象だけが残ってしまった。ところがこの作品はあの天才的なマッドサイエンティストの後日談として構成されていたのでホッと胸をなでおろしたところである。『エンブリオ』を読んで消化不良になった読者は『インターセックス』を読まれたほうがいい。
その意味でも 帚木蓬生復活!だった。

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2008/08/31 16:43

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2008/10/21 22:30

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2008/10/22 01:14

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2008/11/09 11:04

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2008/11/12 11:51

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2008/11/18 06:40

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2008/12/16 17:25

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2008/12/20 10:57

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2008/12/31 21:53

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2009/01/30 19:42

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2009/01/31 18:07

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2009/01/29 00:00

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