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細密画がとても綺麗だ。見ているだけで中世、近世のインドを満喫できる。皆、彫りが深くて横目が大きい。このような細密画をインドではたくさん見かける。
ムンバイ行きのフライトで読む。
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インドの細密画は、当時の権力の推移と密接に関係して発展、推移した。初期の素朴な技法が権力や宗教と結びつきながら発展、展開していく様子がわかる。ムガル帝国のような強大な権力構造が、ラージ・プートなどの小さな勢力に対してあるという構図がインド史の特徴ではないだろうか。そのなかで皇帝の生涯の物語(ナーマー)を描いたものが特徴的。ジャハーンギール帝の動植物などを描かせたもの[p157「シマウマ」]やカーングラ派の女性像[p76]が特に印象に残る。中国や西欧の影響を受けたことで様式が溶かされたような発展をみせつつ、インドの細密画の特徴は失われない。
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インドの細密画とは16〜19世紀にインド各地の藩王国で描かれてきた宮廷絵画で、A4用紙ぐらいのごく小さなもの。奇抜さ、バリエーションの多さ、躍動感など日本の浮世絵のような面白さがあり、インドの歴史、宗教、文化が描かれていることからこれを見ることで、インド人の頭の中、精神世界が理解できる。
その起源は仏教やジャイナ教の経典の写本挿絵。当初椰子の葉で作られていた経典は、15世紀にペルシャから紙が伝わり、鮮やかな絵が描かれるようになった。
ヒンドゥー教系細密画には多くの流派ってそれぞれかなり違うが、以下の共通する特徴がある。
人物は横を向き、目が特に大きく誇張され、蓮の花びら型をしている。輪郭が命。平面的な色面構成。物語性。時間の経過を一枚の絵に同時に描く(絵巻物のように左から右へと時間が流れていかない)。複数の視点を一つの画面に描く(俯瞰と水平描写を同時に描き、遠近法も関係なくて、重要なものを大きく描く)