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フィクションなのかノンフィクなのか途中でわからなくなった。
自分の心とか想いとかそういうもんじゃなくて、
ダイレクトに臓器を提供するために生まれる人間。
最近クローン牛流通とかそういうお話ききますが、
人間には使わないでほしいですね。
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これは良質。
前半退屈だけど後半一気!って意見もあるみたいだけど、私は淡々と全貌が見えてくる前半こそ好きだw
個人的には、もっともっと書き込んで欲しかった。
一部、二部に引きこまれてたが故に、三部がどうしてもちょっとあっけなく感じてしまったんですよ。
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この本、評価が高いですよね。
翻訳家の柴田元幸はカズオ・イシグロの最高傑作、
と絶賛しているようだし。
抑制された文章、
考え抜かれた構成、
は、
確かにそうだと思う。
なかなか心を打つ物語だと思う。
それでも何故★3なのかは、
単純に私の好みではない手法が多用されていたからです。
冒頭で読者は唐突に置いていかれてしまう。
何の説明もなく語られる世界。
意味不明な言葉は読み進むうちに徐々に解明していき、
その静かな語り口から悲しい現実が浮き上がってくる。
この明かされ方がまた決して衝撃的ではなく、
静かに、
しみ込むように(まさに保護官が生徒にしたように)、
ごく当たり前のことのように言葉に組み込まれる。
もちろんこれは作者が意図したことに違いないし、
それは技術的に素晴らしいと思うのだけど、
本当にシンプルに、
その描き方がどうも私には合わないらしい。
加えて、
「あの出来事がおこってから」とか
「あの日のことをお話ししましょう」とか、
こういう勿体つけた言葉が多すぎる。
私はこういう言葉が(日常でも)はっきり言って好きではない。
回想とこの勿体付けの繰り返しで、
なんだか結局最後も何かくすぶるものを残してしまう。
と私は思うです。
でも言葉は訳者(土屋政雄)のものなので、
原語で読むとどうなのかなあ
(そのニュアンスを汲み取る英語力の有無は置いておいて)。
物語自体は素敵なので、
私的には★3が妥当かな、と。
しかし私が最も特筆したいのは、
epi 文庫はサイズが文庫サイズじゃないのがメーワクです。
出版社はどういう意図でこういうことをするんだろう…。
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いろいろな人の感想が、内容は語れないが、衝撃的、呆然とする、ショッキング、すごい、なんてのばっかりで、いったいどんな恐ろしい小説なんだ、となかなか読む勇気がでなかった本。勇気をだして読んでよかった。ビクビクしながら読みはじめたのに、どんどん引き込まれて止まらない。訳文を、キャシーのひとり語りで、ですます調にした翻訳もすごいと思った。最初は寄宿舎モノみたいな感じで、なんとなく不穏な感じはありながらも、甘ずっぱい青春モノの雰囲気もあって。わりにすぐに、これはSFの近未来の話っていうのがわかって、その内容は確かにショッキングで重く、悲しいけれど、書き方がすごく上品というか、あからさまなところがないので、いやな怖さはなかった気がする。キャシーもトミーもルースも、「作品にあらわれる」、じゃないけど本当に魂がきれいで純粋なのがよくわかって。その純粋さがまた悲しくて。わたしは衝撃とか恐怖っていうよりむしろ、人生のはかなさ、みたいなものを感じてずっと悲しかった。結局、生きていくうちに、時間が経つうちに、いろいろなものが失われていく、というか。それはキャシーのような人たちだけではなく、だれでも人間はみんな。ため息が出るような、息苦しくなるような。でも、少しだけ、失われたものはノーフォークに、ロストコーナーに集まってくるから大丈夫、みたいな、救いのようなものも感じて。予想していたよりは読後感はよかった。どの場面も印象が強くて、さまざまなことを考えさせられる、心に強く残る小説。
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(ネタばれ注意です)失われてしまったもの、知らないうちになくしてしまうもの、もう今では間に合わない気持ち。カズオ・イシグロはそういったはかないものを描くのがとても上手な作家だと思う。
淡々とした語り口調ながら、結末を予期させる諦めや切ない気持ちがにじみでてきていて、胸が締め付けられた。
何も知らず、大人を信じていればよかった少年少女時代。大人の欺瞞に気づき始める大人になりかけのあの時期。そういったものがメインの話と絡み合って懐かしいような、苦しいような気持ちになる。 うまいなあ。
大人になって、全てが子どもの頃思ったことや、願ったこととは違った様相を見せはじめる。それは、提供者達だけに限ったことじゃない。そう感じた。子どもの頃は自分の前にいくつもの道があって、どれでも選択してよくて、迷ってうろうろおろおろするほどだったけど、ふと今、前を見ると、限られた道しか目の前にはなくて、行き先もうすぼんやり見えるような気がする。道じゃないと思っている場所に一歩踏み出したら、違う道はあるのかもしれないけれど・・・そういうことを考えた。
それにしても、提供者や介護者は何で逃げ出さないんだろう。逃げても無駄なシステムなのかなあ。
エミリー先生のやり方には全く賛成できない。欺瞞としか思えないし。というか、子ども達をちゃんと愛することはできると思うんだけどなあ。愛したら、その分、つらいだろうけど。
あと、翻訳がしにくいんだろうけど、一番重要なところで、意味がぶれる感じがしてわかりにくかった。タイトルにもなっている「わたしを離さないで」の歌をマダムが語る部分、意味がわかりにくい。原文にあたってないので、わからないけど、Never Let Me Go. 自体も訳しにくいんじゃないかなあ。こういうところ、翻訳物はつらいなあ。せっかくいい話なのに。
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一つの世界が緻密に書かれていて、リアリティがあった。
たんたんとした文章で綴られているために迫りくるような感動はなかったけれど、深く考えさせられる一冊。
もう少し自分が成長したら再読したい。
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広告に偽りなし!この本を読んでいて、なんとなく感じてた違和感が、ラストで明らかになります。
クローンは人になりえるか、そして人が人たる定義とはなんなのか、考えさせられました。
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イギリス作家のカズオイシグロさんは、ひたひたと迫るようなサスペンスな雰囲気を前半に折込ながらも、精神的な感傷を痛いほど後半に描く。「私達が孤児だった頃」とは似ているようで、また違った感動を与えてくれる。設定を飲み込むまでに時間がかかるかもしれないが、集中して一気に読み進めたい本。子供の時の話など忘れていたような小さな感情を思い出して、読む人を揺さぶる。去年文庫版がやっと発売されましたが、カバーも新書版と変わらずカセットテープのイラストなのが、とても嬉しかったです。
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この人と同じ時代に生きていることを感謝したい、と思った1冊。
テーマは重いが、とてもおもしろかった(おもしろいという言い方は不謹慎かもしれないけれど、ものすごいエンタテイメントだと思った)。
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日系英国人、ブッカー賞受賞作家である、カズオ・イシグロの小説。
一人称で淡々と語られる物語は、読んだあと、読者に深い感慨を抱かせる。
英語で最初読んだが、挫折して、日本語で読んだ。
そのあともう一度英語に挑戦。内容がわかっていたので読破。
もし英語が得意な方なら、英語で読むことをお勧めする。
カズオ・イシグロの英語は、美しい。
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凄く衝撃的!!の一言に尽きます!
長編小説で
読むのにまるまる4時間費やしちゃいました…
だけれども、現代の科学的、そして社会風潮を反映したような本…、
つまり「クローン人間」
薬中、浮浪者、売春婦、犯罪者を親に持つ主人公たち
しかし、主人公キャシーたちは幼少のころからある外の世界から
隔離されたヘールシャムという施設で幼少から青年時代を過ごし、そこでの友人たちとの
友情を育み、恋愛を経験します
最初は粗筋を読んでいなかったので、孤児たちのほのぼのとした日常を描いているのかと思っていました
しかし、徐々に真相が明かされていくにつれて
そのほのぼのとは程遠い結末です
ジュディーウォーターブリッジの「Never let me go(私を離さないで)」を思わず検索してしまった読者の方々もいるのではないでしょうか?
私はそうで、実在すると思っていましたが
皆さんのレビューを見て架空の人物だとわかりました でも実在しているような描写です
是非この曲を聴いてみたい!!笑
しかし翻訳がもう少し口語的なら読みやすかったのですが…。。
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カズオ・イシグロ氏は初めて読みました。
「提供者」と「介護人」って?
「提供者」の意味がわからず、悶々としながら読んでいくと……ああ、まさか…!
こんな衝撃を受けたのは久しぶりです。
他の作品も読んでみようと思います。
ただね、こういう話が苦手な人もいるかな、と。
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本屋さん絶賛、村上春樹関係者!?ということで購入。
・・・いまいち盛り上がりに欠け、オチも見えてたし、特にびっくりすることも、
感動することもなく、読了。
期待しすぎたかな・・・
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装丁がテープだったのか!といま写真をみて思った。遅すぎ。鈍すぎ。歪んだ水玉模様かと思ってたよ。視力低下が著しいなあ。生命倫理に興味があるという話を友人にしていて、すすめられて読んだ一冊。この人の本は前もなんか読んだのだけれど、なんか文章がカクカクしている気がする。おそらく翻訳がどうのではなくて、それも味の一つなんだろうけど。どうもなあ。クローン人間にも魂はあるかということは、動物や植物にも魂はあると考える日本では問題にならないと思うけれど、西洋ではやはり作られたものには魂は存在しないと考えるので、問題になるのかなあと思った。臓器を摘出するためだけに作ったクローンに良い環境や教育を与えるのか、動物のように飼うのか、ということが作中の先生達の問題点だけれど、それ以前にクローン人間を作っていいのかという問題について考えさせられる。私たちはどこまで生きればよいのだろうか。どこで生きることをあきらめるべきなのだろうか。
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ネタバレ必須!読んでない人は読まないで!
この小説内の「提供者」というのは、健常者に臓器を提供するためだけに生まれてきたクローン人間たちのことである。つまり、我々「本当」の人間のために臓器提供を目的として生まれてきたクローンの人々の物語。この小説が恐ろしいのは、設定はSF的内容であるにもかかわらず、今我々が生きる現実は、それ自体を凌駕しようとしていることである。カズオ・イシグロは、ディテイルを書き込まず、淡々とした文体を駆使し、読者の想像力にある程度任せることで、その恐怖を増幅させる。たとえば セックスしても子供を妊娠しないという「提供者」の設定のように所々に覗く、「提供者」の不可解さが怖い。「本当」の人間が「提供者」を操作しているんじゃないか?と…。
「提供者」たちの置かれる状況は、言ってみれば映画「ブレードランナー」のレプリカントたちと同じ状況なのだけど、こちらの「提供者」たちは、「反乱」を起こそうとはしない。むしろ、その境遇を受け入れている。にもかかわらず生きる証を探そうともがく「提供者」たちは、我々となにも変わらない心を持っている。ゆえに切ない。
中身はまったく違うけど、村上龍の「半島を出よ」と同じ、今、読まなければいけない小説。現在読むことによってその衝撃を味わうことが出来ると思う。土屋政雄氏の翻訳は、非常にこなれていて翻訳調の文体と言う感じがない。とにかく考えさせられる小説。必読。