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野生のアノマリー スピノザにおける力能と権力 みんなのレビュー
- アントニオ・ネグリ (著), 杉村 昌昭 (訳), 信友 建志 (訳)
- 税込価格:6,380円(58pt)
- 出版社:作品社
- 発売日:2008/10/01
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紙の本
ネグリ流スピノザ入門
2009/06/02 15:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネグリが獄中で書いたスピノザ論。大部で、いかにも「現代思想」的な(いまや少し時代遅れな表現だが)文学的な難解さを孕んだ文体もあって、読み通すのに結構苦労した。スピノザの理論展開を、彼の著作を追いつつ人生(伝記)も参照し、ルネサンス的人文主義の「革命性」をもっともその可能性の限界まで「突破」した実践的な哲学者として読み直す試み。「アノマリー」とは「異形(いけい)」のことで、生物学的な変異を含意しモンスター的イメージの「いぎょう」とは違うらしい。ルネサンスの「人文主義」とホップズ/ルソー/ヘーゲル的「一般意志」の「あいだ」としての唯物論哲学という構想で、構成的存在論というのがいかにもネグリらしい。実体と様態、力能と権力を二重化された対立概念として捉えるのがミソ。神の全体性から無神論が導き出されるところや、想像(表象)力という概念の独特な使用法など、いろいろ細かいところでも面白い。もっとも、これは幻想の政治主義だ、という批判はわりと当っていると思うし、比較的新しいスピノザ研究をふまえているとはいえ、このスピノザは「違う」なあと思われた。スピノザの中には、やっぱりはっきりした「実体」の観念があるように思うし、ここで言われる「自由」はあまりに幻想的で、スピノザはもう少しプラグマティックに読んだ方がいいんじゃないかと思った。もっとも、実践に幻想を持ち込むネグリ式の「政治」はやはりいかにもネグリで、その魅力というものも間違いなくあるんだが。
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