紙の本
真藤順丈 『地図男』 最近は出版社の営業戦略が高度化している。第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作だそうだ。選考委員満場一致とうたい文句にあった。どういうお歴々が選考委員になっているのだろうか。
2008/10/28 23:30
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新刊本を手にするきっかけはいろいろあるものだが、人に薦められて読み始めることもある。
本好きの友人から電話があった。
「真藤順丈という作家知ってる?その人の作品で『地図男』というのがいくつもの賞をとって評判がいいから読んでみたらどうか」
この友人は文庫本主義者であるから、本人は読んでいないのだろう。作者も作品もまったく知らなかった。昔、首藤瓜於、『脳男』というタイトルの作品を読んでがっかりした記憶があるがタイトルからして魅力に欠けているので、わかったわかったといい加減に応えてあったところ、しばらくしてまた電話があった。
「あれ読んだ?本屋の店頭にたくさん置いてあるし、次々と作品を発表する予定もあり、ベストセラーになるからぜひ読んだほうがいい」
彼がそこまで執拗に迫る理由はあとでたずねることにして、それを楽しみにせっかくのことだからと購入したものだ。
<俺>が遭遇したホームレスまがいの男が地図男。地図男は大判の関東地域地図帳を抱えて放浪している。その地図帳にはびっしりとその土地土地に関連する物語が書き込まれている。土地に関する記憶力は抜群であり、地図を眺めただけで三次元の立体空間をイメージできる特異な能力を持つ。
この作品の大部分がこの地図に書き込まれた物語で構成されているが、結局は三つの物語である。千葉県北部を旅する天才的音楽幼児。東京23区の区章をめぐる闘い。奥多摩地方にあった少年少女の悲劇。
実に退屈極まりないこの三つの物語を読み終えるとそれで読了とあいなった。
「物語に没入した<俺>は次第にそこに秘められた謎の真相に迫っていく」とあるが、なにが謎だったのかしらと非常にしらけた気持ちで読み終えたわけだ。魅力的な特異能力者を主人公にしながらそれがまるで活かされていない。実際のところ地図男を探偵役にした構成だってあったろうに。物語が地図帳に書かれている必然性がない。正直、妄想癖のある酔っ払いが寝言を書き綴ったようなものであった。
ところでこの作者はわが友人その人ではないだろうか。思い当たる節がないでもない。作者プロフィールを丹念にみれば年齢、ポートレートからどうやら別人である。もしかしたら親戚、友人なのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
今月号のダ・ヴィンチを読んでたらオススメ作品として取り上げられていたので、買いに行ってきました。
最初は話が飛び飛びでついていくのに必死だったけど、ラストのほうは作品に引き込まれたな〜。
読みやすかったので、二日で読み終わり♪
でも内容が頭に入ってなきゃ仕方ないよね〜(;´Д`)
投稿元:
レビューを見る
第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作品。
2008年9月24日(水)読了。
2008−89。
投稿元:
レビューを見る
劇的なスピードで展開されるミステリー。文体が神。小説家として自分の世界を確立している姿が本当に素敵だと思う。ただ、ときどきあまりに歪に展開される物語についていけなくなるときがあった。これは単純に個人の好みだと思うなあ。
投稿元:
レビューを見る
大きな本屋で物凄い勢いで売れていてしかも何かしらの賞も取っていることと、装丁に惚れて手に取った。
「やはり重要なのは語りであり、聞き手なのだ。」(p93)
分かっているならもうちょっとどうにかしてもらいたいものだ。
こういうのは良いとか悪いとかはともかく、僕には全くもって合わない。140ページ間常にイライライライラ。
独特の世界観、突出した豊富な語彙と確かに天才的ではあるけど、こういった「ついてこれない読者はあっち行け」的姿勢は、腹立たしい以外の何者でもない。
プロなんだからもうちょっとサービス精神を持って欲しい。川上未映子とか古川日出男(こちらは雰囲気というだけ)を思い出した。
こういう本は今後読みたくない。
(2008.10.07)
投稿元:
レビューを見る
ひとことで言えば「地図帳を物語で埋め尽くす男の話」なんですが、その地図男が生み出すお話というのが荒唐無稽で面白い。実際に居てるんちゃうか、いやむしろゼヒ居て欲しいと思ってしまいます(笑)関東以外の人間には位置関係がよく分からないのでできれば地図を載せて欲しかったし、量的にもちょっと物足りないような気もしました。
投稿元:
レビューを見る
手持ちの地図にびっしりと、土地にまつわる物語を創作していく浮浪者もどきの「地図男」。主人公は偶然その地図男と知り合い、地図に書き込まれた物語に興味を惹かれるようになる。音楽幼児のM、23区のマークを取り合うファイティングマッチ、そしてムサシとアキルの愛の物語など。取り付かれたように執筆して倒れる地図男に付き添い、地図男の心のうちを知る。独特の文体、発想が面白い。第3回ダヴィンチ文学賞大賞。(2008.10)
投稿元:
レビューを見る
初めて見たときから面白そうと思ってて、そうするとやっぱり話題になってるしで、発売日から多大なる期待を寄せていた。その期待が大きすぎたためか・・読後残念な気分になっちゃった。リズムある文体とか、地図男の設定とか魅力的だけど、それだけ。そもそもこの設定をこの少ないペ−ジ数でやるには無理があり、物足りないところが出てくるのは当たり前で、もったいない気がする。音楽の天才児Mの話、23区の区章を取り合う闘いの話、そしてムサシとアキルの愛の物語、それぞれそれなりに面白いけれど・・。それらと地図男のつなげ方にもう一歩踏み込んでほしかった!
投稿元:
レビューを見る
地図帳に物語を書き込んでいく漂浪者〜フリーの助監督のオレは,ロケハンの下調べで関東を走り回っている。茅ヶ崎であった漂浪者は大判の国土地理院の発行の地図帳に物語を書き込み,付箋も無数に付けていた。奥多摩の悲しい運命を経験するムサシとアキルの物語は実体験に基づいているようだ〜その地点に立った光景を確実に記憶している男・・・そいつの前半生は時計を壊し,おしゃべりを止めない周りの連中をぶちのめして,保護院に入れられ,そこを脱走して,動きを止めたら死んでしまうと信じ込んでいる少女と山奥での生活をすることで落ち着くが,少女はムサシが死んだ・少年にはアキルは死んだと告げ,両者の人士を狂わせていく。実際に映像系の助監督をしているのだろう・・この1977年生まれの作家は
投稿元:
レビューを見る
ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作ということで。病的なまでにびっしりと書き込まれた地図帳を常に抱えているホームレスみたいな人、恥部に書き込まれた物語を解き明かす〈俺〉。なんとも表現しがたいんですよ。文字量は少ないんだが、なかなか読みにくい。つまらないっていうのではない。
投稿元:
レビューを見る
まったく意味がわからん。
全然話に入り込めずにあっというまに読み飛ばして終わってしまった。
なんだったんだろう、地図男って。。。
投稿元:
レビューを見る
23区の話が面白すぎ。もっともっと読みたくなる感じ。確かに切り口、語り口は新しいかも。今後の作品にも期待したいです。
投稿元:
レビューを見る
実際に地図男がいたら、
是非その地図帳を開いてみたい。
話自体はいいとおもうけど、
かなり文章が読みにくい。
投稿元:
レビューを見る
テンポがとてもいい。
実際に居たらとても奇妙なはずなのに、地図男にとても好意が湧きます。
地図男から紡ぎ出される東京の物語に、主人公と共に驚く程引き込まれている私が居ました。
投稿元:
レビューを見る
地図男。
その男はふいに現れる。
その男は常に地図帖を持ち歩いている。
地図帖の到るところに、その地に因んだ物語をびっしりと書き綴りながら。
その地図男に魅せられた主人公が、地図帖の物語を読むごとに、ある真相がみえてきてー。
抜群な設定だと思いませんか?
ホントにこんな地図帖あったら、読みふけりたいし。
だからこそ、惜しい。
この設定なら、もっと凄い作品になりえたのに。
こんな形のラストはよくあるけど、この作品にはふさわしくなかった。
インパクトのある設定だけに、ラストのインパクトの薄さが際立ってしまったように感じました。
でも、もしもこれに続きがあるならば、間違いなく読みますけどね。。