紙の本
大切な命を守る減災に取り組もう
2008/11/17 17:38
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さざなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「熱さも喉もと過ぎれば熱さを忘れ」。防災の日(9/1)を頂点に少しずつ薄れていくのは仕方がないのだろう。だが、自然界の掟は休むことなく、じわりじわりと押し寄せている。嵐の前の静けさではないが、突然けたたましく雄叫びを上げて襲いかかる自然界の猛威は、一瞬にして我々を不幸のどん底へ突き落とす。まさに、災害と安全は紙一重なのである。
首都圏直下型地震が起こると叫ばれて久しいが、一度起これば被害は甚大だ。家屋の倒壊、火災の発生、推定死者は5万人を超えるといわれ、ライフラインはことごとく破壊され、生き地獄の要諦は長期間拭い去れないし、首都圏はマヒ状態。だが、それだけではないのだ。直接の被害を受けなかった近県でも、働き手や、学生、一般の被害者は650万人に及ぶと言われる。直下型地震から身を守る最低条件とは? 策はあるのだろうか学び取りたい。
地球温暖化のせいなのか、今年は例年になく水害の被害が後を絶たなかった。台風の上陸が少なかったのに、何故なのだろう。突然の集中豪雨、記録ずくめの雨量。地下街の水没、あふれ出る下水道、河川の氾濫・山崩れ、荒れ狂った天候は我々を一飲みにしてしま った。科学が発達した現代においても、自然災害から身を守ることすらできないとは・・・。
だからこそ本書は減災が大事だと訴える。世界に類をみない首都圏地下街の多さ。海底より低い埋め立て地やデルタ地帯の真上にそびえ立つオフィス街、災害が起これば東京は真っ先に沈没の憂き目。災害を守る原点は自助、共助、公助が絡み合って減災を進めるべきと語る。限りない資源、大切な命を守るライフラインを、一日も早く構築しなくてはいけないと反省させられた。
災害はいつ起こるか皆目分からない。だが、起きてからでは遅いのだ。「転ばぬ先の杖」ではないが、自分でできる減災は日頃から心がけておきたい。
紙の本
少し古いですが・・・
2022/04/20 21:11
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
”ジュニア”文庫なのに、ジュニア向けではない、でおなじみですが、小学生に指導するために教師が読むのはありな1冊です。防災、減災についての知識が単純に増えます。
少し古い本なので、そこから更新されていることもありますが、防災や減災の基礎的な考え方は知れると思います。
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この本を読んでいて初めて知ったことに、「ゲリラ豪雨の局地的浸水と、台風などで川が氾濫する際では逃げ方が違う。 局地的豪雨なら外に出るより2階に避難したほうが安全な場合もあるが、川の破堤が起きたときは、家ごと流されてしまうので、とっとと逃げたほうがよい」 ということ。 何が起こったらどう動くのが正しいのか、その判断基準さえ持っていないことに愕然としました。
(全文はブログにて)
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[ 内容 ]
家で、学校で、外出先で、もし災害に遭ったら?
年々、大災害が増加し、被害も拡大しています。
いつどこで災害に遭っても命と財産を守れる「減災」社会に変えていくにはどうしたらよいか。
災害のメカニズムを知り、適切な危機管理能力を身につけ、みなさんが自分で考えて行動できるようになるための一冊。
[ 目次 ]
1 最近の日本の災害となぜ被害が大きくなったのか
2 最近の世界の大災害となぜ被害が大きくなったのか
3 風水害を変える地球温暖化 なぜ災害が起きるのか―地震と津波
5 防災対策から減災対策へ
6 減災の原点は自助・共助・公助
7 役にたつ危機管理
8 事前対応と事後対応
9 いま心配な巨大災害
10 社会を変えるのはきみたち―ユビキタス減災社会に向けて
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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やはり今回の地震・津波の影響で読んだ本。災害のことがとても分かりやすく書かれていておすすめ。世界と日本の災害の歴史、さまざまな自然災害のメカニズムや対策を概観できる。
たとえばこんなことが大切だと思いました。ざっくりですが。
・津波警報が出たら、すぐ高い所へ逃げる。避難勧告を無視するのは自殺行為。
・地震の長い揺れは津波要注意。揺れが小さくてもでっかい津波になることもある。
・東海、東南海、南海地震は必ず近いうちに来る。コンボで来たら被害は計り知れない。
・都市は津波や水害に対して脆弱と認識すべし。
ここまで問題点が分かっていながら、犠牲を払ってからでしか目を開けない愚かさよ。自分も含めて。
ただ、対策が「間に合わなかった」でなく、これから起こる災害に「間に合わせる」こと、そして、数百年単位で起こる災害を忘れず次世代に伝えていくこと。これが今やるべきことだと思う。たぶんこれから当分地球の動きが活発な時期が続くのだろうし、災害に遭ったことのない都会人も意識改革しないとね。でないと辛いのは自分だし。
こう言うと不謹慎と思う向きもあろうが、全部ぶっ壊れた今はリ・スタートの好機でもある。人の意識も、災害に負けないまちづくりも、国の方針も。
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ジュニア新書だけあって、災害のメカニズムなどわかりやすく説明。
「日本の原子力施設全データ(ブルーバックス)」が震災を受けて、改訂版を出したように、こちらも改訂版の出版を希望する。
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ここが大発見でした。「自助・共助・公助の意識」というものです。災害が起こる前は、自分で自分をを助けるべきだという自助の意識、周囲の人とともに助け合おうとする共助という意識、自治体や国といった公的機関の助けをあてにする公助という意識は、1:2:7の割合だそうで、これが災害後になると、7:2:1に逆転するそうです。つまり、災害を経験すると、「自分のことは自分で守らねばならない」という意識が大きく育ち、「国や自治体はあてにならない」という幻滅が生じるということです。これは真理であると思いました。自分は自分で助けてやらねばならないという「自助」というもの。そして、これは災害時に限らず、各人が生きていくうえで一番大切なことなんじゃないでしょうか。自助は危機管理の上で大事だ、と本書の最後のほうでも再度書かれていましたが、要するに、スポーツ選手なんかが一時期よくインタビューで答えていたことが多かった、「危機感を持つ」という意識に直結するのです。危機感を持つことで、自助の意識が高まるということは、
他人をあてにせずに自分でよく考えるということです。そうやって、スポーツ選手は成長してきたのかなと思えやしませんか。「満足しない」という言葉もスポーツ選手からよく聴かれますが、それも、この「自助」に繋がることがわかりますよね。そうやって、自助への意識を「危機感を持つ」のと「満足しない」ことで作っているということになります。これが、イチロー選手くらいになると、一本一本のヒットに満足する。満足しないなんてありえないということになりますが、そうやって超一流の野球選手で有り続けられるのは、イチローさんはイチローさんなりの、「満足しない」というスイッチ以外のスイッチでもって、自助の精神をオンにしているからなんじゃないかなと思うわけです。
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この本を読みながら、「うーん、うちは防災レベルも減災レベルも低すぎるのでは…」と思ってしまった。とりあえず年末大掃除のときに避難用品とかその辺の備蓄の確認と、リスト化(消費期限とかも含めて)しないとな、と思った。それと通勤バッグに筆者曰くの「武士の刀」セットを揃える。まずはそこからかな。住む場所はまぁ、どこに住んでもその地域なりの災害リスクはあるだろうから、とにかくそのときそのときで住んでいる地域のリスクを知ること、万が一の際の合流地点などを定めること、家族がお互いのスケジュール・居場所を把握することが大事なんだろうなぁ。