紙の本
魔王結城中佐の超一級娯楽作。
2017/05/27 00:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
単純明快に面白かった。
ここまで徹底的にエンターテインメントに振っていると純粋に楽しめる。
一応、短編集の形態を取る。全五話で一話完結型だが、
そもそも何か大きなテーマが隠されている訳ではない。
表紙の主は結城中佐。魔王の異名を持ち、帝国陸軍の
スパイ養成所の設立人にして教官でもある。その後、養成所は
D機関と名前を替え、徐々に陸軍に食い込んでいく。
一話目は養成所の設立準備室から話が始まる。
二話目以降、結城中佐の教えを受けた者たちが、順番に
活躍する物語である。
各話の中で結城中佐の人物像などがおぼろげながら浮かび
上がるが、影の主人公である逸材はまさにスパイとして暗中に飛び、
なかなか本意を見せてくれない。そこにこの物語の醍醐味がある。
帝国陸軍が舞台なので当然憲兵とのつばぜり合いがある。
私は憲兵は日本のスパイ的なものと聞いたことがあるが、この本を
読むとなるほどこれじゃあ力不足だな、と感じる描写が多い。
史実は詳しくないが、こんなスパイ機関が本当にあったら、それこそ
ヨーロッパやアメリカのスパイ達とも渡りあえたのではないかと
想像が膨らんでしまう。
超現実主義で自分以外にできるわけがないという恐ろしいほどの
自尊心。なるほど、スパイを突き詰めたらそんな人物のような
気がしてくる。
スパイトリックに振っていて、心理描写とかの情緒的なものや、
拷問みたいな残虐性はない作品だ。
映画007の帝国陸軍版とでも言えばよいだろうか。
シリーズ作でダブル・ジョーカーがあるので、引き続き読み進める
ことにする。心がスカッとする作品だ。
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密度の濃いスパイミステリーです。要素が綺麗に組み込まれているというか、要素しかない。のに凄く自然。初読では『XX』(ダブルエックス)がお気に入り。再読するぞ!
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第2次世界大戦前夜の日本で、極秘に設立されたスパイ養成組織「D機関」。そこに君臨する「魔王」こと結城中佐と、彼の部下たるスパイたちの活躍を描いた短編集。
何時代のどの国を書かせても、やっぱり柳広司はさらっと上手だよなあ。
いかにもありそうな世界観の構築と、魅力あるキャラクターの描写の両方が、押し付けがましくなくさりげなく、かつ安定していて素晴らしい。
それぞれの話にスパイ小説らしい緊張感があって、「日常ミステリ」を読み飽きた人にはおもしろいかも。
5つの短編のうち、「D機関」や結城中佐以外にはとくに連作になっている要素はないので、時間がないときにも気軽に1話ずつ読めます。
私的にはもう少し連作短編集と呼べる面があれば読み応えがあってよかったかも、と思う反面、
このあっさりと淡々としたところが、いかにもこの本において語られるスパイらしくていいのかもしれないとも思いました。
★
死ぬな。殺すな。とらわれるな。
結局のところ、優れたスパイとは、己以外のすべてを捨て去り、愛する者を裏切ってなお、たった一人で平気で生きていける者たちのことなのだ。
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表紙の人物は結城中佐。しかし,この新作にキレは見られない〜日米開戦前。結城中佐の作ったD機関は,諜報戦の重要性に鑑みて極秘に活動する。日本通のイギリス人が御真影の裏に隠したマイクロフィルムを探し出し,横浜に住む英国総領事が持ち歩く傘の柄の内部の空洞が暗号文を入れる器に使われ,ロンドンで写真館を営む人物に化けたスパイが検挙されそうになり,上海の憲兵隊に潜む内部スパイを追い,ゲシュタポに属するドイツ人新聞記者にして独ソの二重スパイ殺害の謎を追う〜非常に残念だなあ。現実のスパイって地味なんだろうし,誰も信用してはいけないんだろうし,そりゃあ寂しいモノだろうぜ。突き詰めていくと,小説にし難い材料だ。ま,今回は陸軍中野学校というテーマ選択を誤ったってことで諦めましょう
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小気味いい。
嫌いじゃない。むしろ面白い。
スパイの側から見て、の物語。007的な派手さはないけど、興奮は覚えるお話。
かって損はないのに★三つなのはもうすこしボリュームとか読み応えがあってもいいと思ったから。
面白いんだけどなー。
このごろ京極作品ばっかりに没頭していた反動かも。
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ダ・ヴィンチ2008年11月号
「今月のプラチナ本」
「このミステリーがすごい!2009年版」第2位
「週刊文春」ミステリーベスト10 第3位
「ミステリが読みたい!2009年版」第8位
「2009本格ミステリ・ベスト10」第12位
2008年12月11日(木)読了。
2008−117。
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ちょっと「スパイ・ゲーム」を思い出した。
スパイ養成学校、通称「D機関」で学ぶ者達の物語。
連作になっていますが、通しで出てくるのは一人しかいなくて、なかなか面白かったです。
アニメ化を機に再読。
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贅肉をそぎ落とされた端整な文章でサクサク読めました。気づくと目が文字を追ってる感じ。短編の中では「魔都」が好みでした。どうも「記者」という肩書きに弱い。うさんくさいの大好きです。トリックはともかく、「ダブルクロス」のラストの余韻にしびれました。かっこいい!魔王結城中佐の現役時代を長編でガッツリ読みたい今日この頃。
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スパイものの短編集。
養成に至るまでこれほどまでの能力を問われるのかとまずその点に驚く。
短編だが、読み応え充分だった。
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水を打ったような静寂と張り詰めた糸のような緊張。
騙されまいと思っても、いつの間にか結城中佐の掌の上で踊らされている私。
短編だけど、重厚。短編なのに、読み応えアリ。
続編出てくれたらいいなぁと密に期待。
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帝国陸軍のスパイたちのお話です。
帯に「徹夜本」と書いてありますが、読みやすいので徹夜しなくても一気にいけてしまった!
作中で何度も「スパイは地味な存在だ」と書かれてるので、地味なお話……かと思いきや、非常にがっつりエンタメ小説でした。
福井晴敏好きな人は、楽しめるんじゃないかなと思います。
いやー面白かったです。
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ずいぶんカッコイイ表紙だなぁと表紙買いでした。
面白かったです。
スパイ、という職業(?)に対するイメージががらりと変わりました。
派手なアクションは何一つとしてないけれど、陸軍の閉塞感と、その中でさらに薄氷の上を歩くようなスパイたちの攻防は十分スリリングでした。
顔が見えない面白みと、偽名だらけの仲間とも呼べない同僚達。
短編集ということもあり、もしかしたらこの作品の彼とこの作品の彼は名前は違うけど同じ人間なのかもしれない、という想像力も逞しくなる作品です。
そしてその中にあって、全ての物語に普遍的に登場した結城中佐の厳然たる存在感は強烈でした。
ただ、帯が、な……
いや、宣伝なんだから目を引いたもん勝ちなのかも知れないが、
帯に寄せられているコメントがほとんど徹夜明けのテンションだったのには怯みました…(苦笑)
そこまで大仰な装飾も、乱舞するびっくりマークもこの本にはいらないと思うのよ。
正直、この本に引力感じる人は、表紙だけで十分だと思う。
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第2次世界大戦前後の日本陸軍に作られたスパイ機関で活躍する男たちを短編で描く。
どんでん返し的要素を含んでいて楽しく読めた
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結城が一癖も二癖もあってカッコイイ。
時代背景がアツすぎる上にこのスパイモノ!おもしろすぎる!
短編形式だったが、めちゃくちゃ楽しめる一冊。たまらん。
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ダヴィンチオススメの小説。スパイ小説だそうです。
・あらすじ
スパイ養成学校、D機関。
天才スパイの結城中佐が率いる12人の精鋭。
騙し、騙されるスパイミステリー。
任務失敗時にのみ正体が晒されるスパイ。完全に己を消して生きるスパイの世界がうまく描かれていると思います。もっとスリリングなものを期待していたんだけど、さすがというべきかコッソリしています。でも知られざる世界を覗けるのが面白かったです。