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その真相を信じてはいけない。
「あの子を殺さないとこの家は大変なことになる」
「少女殺し」の背景にある、あまりに切ない真実。
連城ミステリーの真骨頂。
ある平凡な一家の主婦にすぎなかった。夫がいて、娘がいる。
ある夏の暑い日に、妹が幼い姪を預けに来るまでは。
その日歯科医院から帰ってくると姪は何者かに殺害され、庭に埋められてしまっていた。
真犯人は、ほとんど呆けてしまっている祖父なのか。
家族は次々に独白する。そして次々に明らかにされる新事実。
冒頭からエンジン全開で結末までフルスロットル!無駄な文章がなくところどころの比喩はとても美しかった。
繰り返される新事実に少し辟易するものの、結末の"真犯人"は予測できなかった。
一流のフー&ホワットダニットだと思います。
ミステリ :☆☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆☆
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流れるような耽美な文章で人間の醜いところを描き尽くす。
誰もが加害者で被害者。
何が本当で何が嘘か。
いやぁ、圧倒されました。
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面白かったのですが、複雑で・・・え?え?え?・・・??
・・・で、だから何なん!?みたいな感じでした~~~w
暗くて、コワくて、スッキリしなくて、どよーんとなりました。。。
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少女を殺したのは誰なのか。
家族の独白形式で進んでいくけど、皆言ってることが違うから最後まで翻弄された。
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「白光」連城三紀彦◆平凡な家族が住む家で、幼い姪が殺され、庭に埋められた。徐々に明らかになる家族の本当の姿、そして真犯人は…?一見普通の家族というのが怖いです。文庫の表紙が白い光を浴びるノウゼンカズラでとても美しいのですが、読み終わってから改めて見るとぞわっとします。
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姪っ子と認知症気味のおじいちゃんを家に残して外出したら、帰宅すると子供は殺されていた。家族や関係者それぞれの証言により、事件の様相は二転三転。強いライトを当てられたときのように、目がくらんで真相が見えなくなったように見えて、逆にはっきり浮かび上がってくる。
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事件そのものはシンプル。その背景に、過去の出来事、家族内の複雑な人間関係、裏切りと報復の連鎖がある。
後半は、各個人だけが知っている事実に基づく多重推理、多重告白の連続。芥川龍之介の「藪の中」を連想した。予想だにしていない人物の意外な告白もあって、意表を突かれた。
真犯人と言うべき人物は、想定外の人。エンディングも情緒があって、すばらしい。
ある意味では、「お互いに協力していないのにも拘わらず、全員が犯人」と言えるような物語。このような不思議なストーリーを実現させた作者の手腕に拍手。
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湊かなえの男性版のような感じでした。
登場人物それぞれの立場で、自分の都合の良いように人を排除したり貶める言い訳をし、それが殺人へと結実する。殺害に関しても耽美的な描写を絡め、恰も正当化するような兆しも感じられ不快。
事件後はお約束のエセ正義感や悲劇のヒロイン症候群が発症します。
解説には、この手の内情描写はキリスト教の信仰告白が由来...といった言及もあったが、結末はどちらかというと禅問答のようで何の救いも解決もなく、読後感も最悪でした。
どこか甘ったれた感じで、作者のマスターベーションに付き合わされている感じは文学風といえるかもしれませんが、私が求めていたのはミステリーの部分であって、文学が読みたければ純文学作品を探して読みます。
作品の良し悪しというより、今の自分には合わない作品で、読み終わる頃には大変疲れましたが、逆にこの手の作品が好きな方には、繰り返し読めてどっぷり浸かれる作品でしょう。
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300ページに満たない本なのに内容が内容なので、
ページ数以上にズッシリとした重みを感じました。
幼い女の子が殺され、その子の家族や周りの人たちの中に犯人がいる。
主に登場人物たちの独白から成り立つ物語なのだけれど、読み進めれば進めるほど全員が犯人に思えてくる。
焦らしの天才だな。
親子だろうが夫婦だろうが、相手の気持ちを100%理解する事なんて土台無理な話なんだけれど、
それにしてもこの家族は怖すぎる。そして切ない。
皆から疎まれていた直子が一番可哀想だ…
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とても上質な心理ミステリーだった。
祖父である桂造、桂造の長男・立介、長男の嫁・聡子、立介夫婦の長女・佳代。
4人暮らしの家族は、2年前から痴呆の気が出てきた桂造の面倒が大変なくらいで、どこにでもある普通の家族にみえていた。
何かと理由をつけては桂造宅を訪れ、実の姉である聡子に自分の娘・直子の世話を押しつけている幸子の存在が少しずつ桂造の家族を蝕んでいたのかもしれない。
わがままで自由奔放で、何でも自分の考えを押し通し、姉である聡子は子供の頃から我慢を強いられてきた。
あの日も、幸子は不倫相手と会うために桂造宅を訪れ直子を姉・聡子に押しつけていく。
直子が殺された。
桂造宅の庭に埋められ、遺体となって発見されたのだ。
登場するすべての人に直子殺害の動機がある。
それは積極的な殺意だけでなく、「直子がいなくなってくれれば…」といった消極的な願望も含めてだけれど。
はっきりとした殺意があれば、事件が起きて犯人が逮捕されて、責任を追及されて罰を受ける。
けれど、消極的だけれども「消えてほしい、消えてしまえ」という思いのもとの行動した場合は、いったいどうやってその責任は償われるのだろう。
一番弱い立場だった直子。
周囲の者たちが抱く妄想や不満や憤りや苛立ちが、すべて直子に集中してしまった結果の事件のような気がする。
読み終わった後の後味の悪さは超一級だ。
複雑に絡み合い交じり合った感情が、ひとつの事件を引き起こしていく過程は、まるで心理劇をみているようだった。
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4歳女児が殺された。犯人は誰か?
登場人物の独白という形式で進行し、
皆それぞれ「真犯人は私!」と思っている。
最終的に息の根を止めたのが誰か?という部分はそれほど重要視されてないように思う。
何故幼女を殺害したのかという理由も、
登場人物たちの自分勝手な言い分に、
誰にも感情移入できない。
殺された女の子が不憫すぎて読後感は悪い。
でもね~、さすがの連城さん、
読み物としては一気読みできる面白さだった。
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初挑戦の作家。物語として読み応えのあるミステリーとの評価から手に取ってみました。
独白形式で綴られる手法。書評にもあったけど、芥川の「藪の中」を彷彿とされる。けど、出来事を時系列的に供述するわけではなく、みんな主観的に心情を吐露してる感じで、テーマも相まって重い印象。後、表現が文学的なので、読み応えはあるけどすらすらっとワクワクしながら読み進めるタイプではないかな。
長編から入ってみたけど短編に定評があるので、他の作品もチャレンジしていきたい、と思える内容。
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読後感はいいものではない。ただ告白めいた文章に引きずられてどんどんはまっていく感じ。誰もが手は下していないが自分が殺したようなものだと思い責める。でも少女が死んだことを悲しむよりもその罪は起こるべくして起きたという気にもなっている。佳代の告白から直子は何人もの手で命をたたれたことになる。そして、殺されることも自分から申し出ていたとは。最後の最後まで考えさせられた。
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美しい文章…情景が浮かぶ、心の揺れも、瞬間的に描かれる。しかし内容はひたすら重かった。苦しい。
人それぞれの思い込みとか信じてるもの、見てるもの、そういうのの組み合わせで世の中は成り立っているのだという事実。
何重もの裏切り。それぞれの裏切りの重なり。でもそれぞれの真剣さでもある…日常に潜む脆さの描き出し、でもあるなぁ。
初の連城三紀彦作品だったけど、とにかく引きこまれた。
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短い話だが、重くてページがなかなか進まなかった。2転3転・・・ 連城さんの話は10冊くらいは読んでるけど、結構いつも思いイメージだな