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主人公のスーパーマンぶりがあまりにも人間離れしていてフィクションといえども説得力に欠ける気がします。山岳マンガ「岳」の方がよっぽどリアリティがあるように思いました。
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読了。☆3・5点。
『山と渓谷』に載った三作に書き下ろしの一作を加えた短編集。
山で起きた遭難事件、死亡事件を捜査する釜谷亮二の捜査を、新人助手である原田昌幸の視点から語る。ダイイングメッセージモノ、密室モノ、動機モノと趣向を凝らし、最後に生還のテーマにそれぞれの事件を結びつける作品集。ミステリーが好きな私はどうしても登山ルート表を屋敷の見取り図のように見てしまいます。登山好きの人から見たら、これ、どんなふうにみるんでしょうかね? ぜひ第二段も出して欲しいです。
『生還』
黒門岳で女性の遺体が。ルートをはずれ滑落したらしい。女性の靴紐は全てはずされているという奇妙な状況。また黄色のウェアが雪面にナイフで突き刺されていた。ここで一体何が起こり、彼女はなにをしたかったのか?
『誤解』
奥千岳小屋で長年主人をやっていた二ノ宮がポンプ点検のため外出したきり帰らないとの通報を受ける。ルートをたどると倒れている二宮を発見。どうも落石で頭をうったせいらしく急遽病院へ運ばれる。予断を許さない状況。現場を見た釜谷は周囲の状況から事故ではなく事件だと判断し、当時小屋にいた四人に何があったのか話を聞くことに。
『捜査』
武藤功が薪股岳に行ったっきり帰ってこないという通報を受けた山岳救助隊。遭難したとしたらすでに日がたちすぎていると焦るが、ルートの申請も無く、登山口も不明。救助隊が活動する一方で、釜谷たちは家族や友人の聞き込みを開始する。姉から「功は自殺するつもりで山に入ったのかも知れません」との発言が。自殺か遭難か。どちらの理由で山に入ったかによって、捜索範囲は大きく変わることになる。そして、捜索範囲指定が遭難者の命を左右する状況だ。自殺の線で捜索を進めようとする山岳救助隊に、遭難だと釜谷は主張するが?
『英雄』
七冬岳にて雪崩により遺体が出てくる。身元に繋がりそうなものはレインコートにあったレシートの束のみ。彼は一体誰なのか、なぜ山に? 少ない情報から釜谷たちは遺体の身元と何があったのかを追っていくうちに、かつて七冬岳で雪崩に巻き込まれながらも見事に生還した『英雄』と呼ばれる男に行き着くが?
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「聖域」との同一世界観となるスピンオフ的な作品。
今作は松山救助隊隊長の部下にスポットがあてられた短編集。
元々、「山と渓谷」誌に連載されていただけに、
山岳小説の要素は濃く、登頂ルートの図解まで記載されています。
山岳要素とミステリー要素を短編で描くとこうなる...
のは仕方ないのかな。山で起こる事件に対しての犯人探しのような
展開よりも、もっと山に携わる人達の想いや熱が溢れる物語を
期待しただけに...。ちと残念。
ミステリー要素をもっと排除してでも、熱く、強く、そして、
優しい男のストーリーが読みたかったなぁ...と。
そういう意味では第三話「捜索」をもっと発展したような
長編を今後に期待。
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山登りが嫌いな私がなんでこれを読んでるんだ?と目を??にしながら読んだ。読めばまあおもしろくもあり、リアルなんだろうなあと想像する。んだけれど、各短編読後に題名を眺めると「う~ん・・いまいち・・」とつぶやいてしまう。なんかポイントがずれてるって言うか・・。表題作の「生還」っていうのは、遭難してる側の気持ちじゃないのかな・・助けられた側の描写一切なしで「生還」って言われてもな・・。「まあ、そうだけど・・・」と言う感じ。短編って題名一つで「おお!」ってなることあるのに。残念
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前作の「聖域」からの山岳小説です。まあ前作とのつながりはあんまりありませんけども。あと今回は短編集。
前作でも言ったかもしれませんが、山岳部出身の作者が放つ「山岳小説」ということで、自分はよく知らない山岳の話ってのがいろいろでてくるのが興味深かったですね。その世界には常識的なことだけど・・みたいな話が。ある意味異世界な話なわけで。
ストーリーも一つ一つがよい出来で、主人公コンビもよい感じなので、これはまたこのメンツで2作目があるかもしれませんね。
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山岳捜査官とは、いわば「山の鑑識係」である。遭難救助隊が不審な点のある遺体を山で発見したときに登場し、残された微細な証拠や聞き込みから、その死の真実を突き止める。四月中旬、北アルプス黒門岳で見つかった女性の遺体。彼女は、右手に握りしめた折りたたみナイフで、黄色のダウンジャケットを雪面に刺し貫いた状態で死んでいた。彼女の死の真相、そしてダウンジャケットのもつ意味とは―。(第一話「生還」)『山と溪谷』連載時から話題を呼んだ山岳短編小説に、書き下ろし一編を加え、全四話を収録した傑作集。
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第一話 生還 第二話 誤解 第三話 捜索 第四話 英雄
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山岳捜査官という職業を初めて知ったが、大変な仕事である。登山技術はもちろんのこと、ただでさえ悪条件である場合が多い山の事故現場へいち早く入り、過酷な条件下で捜索しなければならないので、体力や精神力も相当鍛えられていることが要求される。ベテラン捜査官・釜谷の捜査の様子を、新人の原田の目線で見つめる連作である。釜谷の捜査にかける真摯さと、いささかの違和感も見逃さない生真面目さが、真実を白日の下にさらす様子が興味深い。最後の物語だけは趣が他とは違い、ざらざらとした嫌な後味が残るが、却って現実感を感じられもする。鬼気迫る一冊である。
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大倉崇裕の山岳小説。
今回は山岳捜査官の釜谷亮二が主役。
山での不審死を追いかける捜査官。
4つの事件が収録されている。『聖域』に登場した松山警備隊長がちらっと出てきます。
あっという間に読み進んでしまう一刷です。
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作者の山岳ミステリーの中では一番よかった。滑落死した女性のサイン、一見事故に見える落石に潜む悪意など。山を舞台にしたミステリーシリーズの中ではスピード感があり読んでいて飽きない。ワトソン役の新人からの視点がいい味出していた。
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4つの短編からなる山岳ミステリー。
短編集なので仕方ないかもしれないけれど、ミステリーの比重が大きくて、せっかくならもう少し山岳遭難捜索の描写を読みたかったかな。
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山岳ミステリの中編四作が入っている。私はこの手の話が好きなので面白く読んだ。主人公を含め登場人物が魅力的でした。
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表紙が気になったので手にとってみたが思いもよらず面白くって一気に読破出来た。山岳捜査官という仕事が実際有るのかは分からないが刑事物としてもなかなかの物では無かろうか。若干強引過ぎるきらいと突っ走り気味なきらいは有るが、まだ他にも山を題材にした作品も有るようなので読んでみようかと考えている。
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山岳シリーズ短編集。釜谷・原田ペアが遭難者の捜索を行う過程で、ホロリとするエピソードも。全編楽しめた。
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山男=無口とはいえ、山岳捜査官なら
仕事仲間とはきちんとコミュニケーションとらなきゃ
だめでしょ
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大倉さん2冊目。1冊目の「聖域」よりこちらの方が話としては好きだった。この続編はあるのかな?あればぜひ読んでみたい
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1968年生まれ、学習院大学時代山岳系同好会だった大倉崇裕氏の「生還」、2008.9発行です。生還、誤解、捜索、英雄の連作4話。山岳捜査官の厳しい仕事を描いた作品です。いかに体力、知力、気力が必要か。そしてそれ以上に登山者への愛情が。生還と捜索、秀逸でした!