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最晩年、建築材料のセールスマンとして東方奔走する生活者の視点から数々の書簡をもとに宮沢賢治の実像に迫ったものです。
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[ 内容 ]
時代は移り変わっても、宮澤賢治の残した詩や散文の数々は日本のロマンの、ひとつの到達点を教えてくれる。
農学校教師、農民芸術運動家としての賢治はよく知られるが、肥料の炭酸石灰、建築用壁材料のセールスマンとして、東へ西へと駆け回っていた最晩年近くの姿はあまり知られていない。
賢治が生涯にのこした膨大な書簡から、オロオロと歩きながらも、生活者として必死に生きようとしたサラリーマン・賢治が、浮かび上がってくる。
[ 目次 ]
第1章 石っこ賢さん(賢治の先祖は大工 石っこ賢さん 盛岡高等農林学校 ほか)
第2章 東北砕石工場(農学校教師となる 音楽に親しむ 農民願望 ほか)
第3章 技師兼セールスマンとして(挫折の傷跡 東蔵の宮澤家訪問 炭酸石灰の広告を作成 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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東京で壁材のセールスに行った先に出した名刺には、こんな風に刷り込まれていたのかしら。
東北砕石工場技師
石灰肥料宣伝担当
宮澤賢治
宮澤賢治の書いたものは、一般に普及しているものは決定稿ではなく微妙に表現の違う別稿が存在する場合が多く、その研究の成果を踏まえた本物の実際の作品に関しては、推敲異文を校訂した詩人・フランス文学者の天沢退二郎に導かれ、そして、人となりというか詳細な克明な実生活については『教師・・宮澤賢治のしごと』や『宮澤賢治・・幻の羅須地人協会授業』や『けんじ先生・・宮澤賢治・幸福の授業』や『宮澤賢治の夢と修羅・・イーハトーブのセールスマン』などで畑山博によって鮮明に明示されましたが、考えてみると、生誕113年・没後76年の彼は、たった37年の生涯のうち短歌・童話・詩の創作に没頭できたのはおそらく12、3年しかなく、ほかにも鉱物採集、山登りに法華経に、教師に農業指導者、生活と芸術が混交一体となった共同体を目指したり、セールスマンにと、趣味や使命感や生活のためにと雑事に追われた人生でした。
文学作品から浮かび上がる作者の人物像は、それこそ、誠実さとか真摯さとか生真面目さ、あるいは人前で話すのもはばかる恥ずかしがり屋、というものですが、まさにピッタリ・予想を裏切らないそのままの的中率100%なので、そういう人が見知らぬ場所で初対面の相手に物を売る職業に携わるというのですから、想像するだけで冷や汗が出てきます。
胃の痛くなるような思いではいたでしょうが、虚々実々の駆け引きまではきっといけなかったでしょう彼の現実をみると、そんなことから解放してあげて、ただただもっと創作する余裕と時間をあげたいと心底思うばかりです。
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リニューアルしてから初めて花巻の宮沢賢治記念館に行ってきた。かなり前に刊行された本だが、賢治の世界観に触れたくて、Amazonで購入。