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紙の本
なかまがどんどん増えて、遊びに工夫が加わって、それが天まで届く?っていうところから見事に着地。その様がいいです。
2009/01/02 18:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の大好きな画家さんで、イラストレーター、絵本作家でもある堀川理万子の創作絵本新作です。彼女の存在を知ったのはもう20年近く前のことで、そのころは画家さんでした。ま、芸大のデザイン科を出ておられるので、画家という枠に収まって満足するというのではなく、絵画全般に携わっていたいと思っておられたのでしょう。
私が彼女の絵のタイトルの意味を解き明かしたところ、ご褒美に彼女のイラストが使われている本を贈って下さって、そのとき「あ、この人はタブローだけじゃなくて、本の世界にも携わっているんだ」と驚いたものです。そのすぐあとに絵本に絵を描くようになって、今では創作絵本にまで手を拡げられた。
ある意味、芸大のデザイン科を出られた方にとっては、お手本にしたいような人生じゃないか、なんて思ってしまいます。そして、この絵本も、なんていうかそういう理万子さんの創作活動のように、あれよあれよと少女を取り巻く世界が大きくなって、最後は満たされて静かに幕を閉じる(すみません、理万子さんはまだまだお若くて、お元気です、あくまでもののたとえ・・・)、そういうお話です。
カバー画はもちろん堀川理万子。装丁は岡本明。ここで理万子さんには悪いのですが、私はカバー表の絵より、後ろの円窓画風の絵が好きです。この円窓、この絵本では結構重要な役割を果たしていて、最後の32頁でもじつに効果的な使われ方がされています。絵本に内容説明は不要でしょう。とりあえずカバー折り返しには
きょうは、あーちゃんのたんじょうび。
「おとどけものでーす。」
さあ、どんなプレゼントが
とどいたのでしょう?
とあります。私はあーちゃんが、自分の誕生日プレゼントを入れ替わり立ち代り登場するいろいろな仲間たちと予想外の使い方をして、そのスケールがどんどん大きくなっていく、そしてそれが夢が覚める、といった方法ではなく、スケールを大きくしたままで自分の世界に戻ってくる、そこがとても好きです。
何をどんな仲間たちと、どういう遊びに使うのか、ああ、そうか、って思いますから、ぜひご自分で確かめてください。私は、まず扉の、あーちゃんが「あー」というか「おーい」と言っているのか、口をあけている姿が好きです。それと6,7頁のあーちゃんの遊び方がいい。
絵として心地いいのは8,9頁。あーちゃんの表情と、その向こうに広がる空の青さ、見上げの構図がとてもいい。それと18、19頁、いよいよお話の着地の準備なんですが、そのきっかけの頁、絵としては地味なんですが、これが終わりに結びつくとは少しも思わせないところがいいです。
その後に続く頁は、そのスケールの大きさと仲間たちの表情がなんともいえません。あーちゃん、からす、さる、くま(理万子さんは、くまが好きなんだなあ、ってつくづく思います)の驚きと喜びに満ちた姿。ま、ちょっと気になるところがあるとすれば、あーちゃんのおとうさんとおかあさんが最後まで登場しないこと。
ま、ここらは子供さんに聞かれたとき、ご両親が補ってあげる必要があるかもしれません。でも、それを補って余りある豊かさがここにはあります。あとはこの豊かさが、さまざまな国の人にも受け入れてもらえればいいな、そう願ってやみません。
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