きみのともだち みんなのレビュー

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投稿者：月乃春水　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

まったくちがうタイプの男の子ふたりのおはなし。
人の個性はいろいろ。同じ男の子だからといって、好きなことが同じとはかぎりません。
うさぎのぬいぐるみを大切そうに抱えて、お花の中でにこにこしている「ぼく」。
お花を使って砂場で女の子と遊んでいたら、「あいつ」がやってきて、サッカーの相手をさせられる。

だけど　ぼくは　へたっぴなの。

おままごとしてたほうが、ずーっと気がラクなぼく。
でも、あいつは
「やーい　おとこの　くせに」って、いつもからかう。

ぼくも、いっしょにおままごとしている女の子も困り顔。

そりゃ　ぼくだって、ホームラン打てたらすごいと思うけど…
そりゃ　ぼくだって、ヒーローになって怪獣とか倒せたらすごいとは思うけど…

ああ　それにしても　ぼくって　さえないなあ。

と、しっぽを振った犬にズボンをひっぱられて、おしりが出ちゃってるぼくは嘆きます。
だけど、ぼくのいいところは、自分の好きなこと、好きなものをちゃんと自覚しているところ。

そりゃ　ぼくだって、アイドルになれたら素敵かなと思うの。
と、テレビで歌うアイドルを見て、おかあさんのお化粧をしてみる。そしたら、お姉ちゃんのスカートもはいてみたくなっちゃって…
窓の外から、その姿を見たあいつ（いつものように、サッカーのユニフォーム姿です）はびっくり仰天！

「うわっ　こいつ　へんかもー」と逃げるから、ぼくは「ちがう　ちがうよ　ちがうってば」とあわてて追いかける。
スカートがからまって、水たまりにばっしゃーん。くやしくて泣いて、ぐちゃぐちゃなぼくに、あいつは…

最後は、ふたりとも、いい笑顔。


クレヨンで描かれたぼくやあいつ、ぬいぐるみやテレビ画面のアイドルなど、登場人物はみな、躍動感にあふれています。
「すごい」というイメージのきらきら輝く様子、「さえないなあ」とぼくが自身を嘆いたりするときの汗や涙。うまい具合にデフォルメされていて、その大胆さがここちいい。

これが「ツーガワールド」。まさに大爆発！しています。

男の子なのに女の子が好む遊びをしているほうが落ち着くぼくを、からかうあいつ。

あいつは、ぼくのことが気になって仕方がない。というより、いっしょに遊びたい。つまり、好きなんですね。
からかいながらも、ぼくに差し出された手のあたたかさ。

まだまだへたっぴな友情だけど、このふたりは、お互いの違いを受け入れながら、ずっと友達でいるにちがいない。

そんな確信が持てるおわり方が、素敵です。