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空母瑞鶴 日米機動部隊最後の戦い みんなのレビュー

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紙の本

詳細な記録から何を学べばよいか。

2010/07/18 23:59

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本海軍の艦船ファンであれば、たいていの人が知っている空母瑞鶴。翔鶴とともに建造された日本海軍最新鋭の大型空母である。真珠湾攻撃での華々しい戦果から、フィリピン・エンガノ岬沖海戦における沈没まで、連合艦隊の最前線で戦い続けた文字通り歴戦の空母である。その最期は、栗田艦隊のレイテ湾突入を助けるべく、米艦隊を引きつける囮艦隊の旗艦であった。搭載していた飛行機は定数をはるかに下回るもので、要は空母としては「カラ」であった。
 以上のような紹介ができる一方で、歴史的にも極めて貴重な経験をした軍艦でもある。海空戦とよばれる「空母と飛行機」による戦闘が日米戦争の中心であったが、その始まりから終わりまでを経験した唯一と言ってよい存在である。しかも、この海空戦は第二次世界大戦に限定された戦闘でもある。
 そんな艦船の歴史的経験や位置を知りたくこの分厚い書を手にとったのだが、本書の中心は資料による記録で、余計な「論」は無い。それが当初は物足りなかった。艦船を中心にした作品には、文語体で詩的に描かれた『戦艦大和ノ最期』、徹底した取材にもとづきその生から死までを綿密に描いた吉村昭の『戦艦武蔵』といった名作があるが、両者にくらべて目立った特徴があるわけではない。しかし、米軍のそれを含んだ戦闘記録、種々の手記、インタビュー記録などなどが、ひじょうに丹念に集められている。著者の戦没者への思いもあるのだろう、個人写真を含めできるかぎりの個人名も刻み込まれている。そして、その記述はマリアナ沖海戦以後からはじまる。すなわち、連合艦隊が文字通り「最期の戦い」に向かう時である。
 本書の膨大な記述から何を読み取るかは読者次第である。空しいともいえる戦いへ挑む哀しさを感じる者もいよう。そこかしこに見られる発言から、沈没へのストーリーに違和感をもった者がいたことに気がつく人もいるだろう。個々の兵の錬度の高さを、限られた物量下での善戦から読み取る者もいれば、退艦命令から沈没まで粛々と進められ下船に見る者もいるだろう。本書には退艦命令直前の、傾いた船上で万歳三唱をおこなう人々の写真が収められている。
 もし、こうした記述から「善戦した瑞鶴の最期の姿」というどこかノスタルジックなものを感じてしまうのであれば、それは歴史に学ぶ姿勢とはいえないのではないか。一片の物語にしてはならない。本書でもわずかながら、沈没間際のパニック状態の証言がある。そうした実情が後に残りにくいのは、パニックを起こした者はおそらく生存できなかったからではないか。さらに「最期のあと」を見ることも必要であろう。退艦後の行動。戦火の中の漂流と駆逐艦による救助活動。内火艇による漂流。帰国後の生存者への扱い。・・・、いろいろなことを考えさせる契機が本書には詰まっている。

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