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いにしえの婚約指南 みんなのレビュー
- キャスリン・カスキー (著), 旦 紀子 (訳)
- 税込価格:946円(8pt)
- 出版社:ヴィレッジブックス
- 発行年月:2008.9
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紙の本
ヒストリカル・ユーモア・ロマンスの傑作
2010/05/07 22:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:斜麓駆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し前の翻訳になりますがキャスリン・カスキーの本書を一言でいうと,ヒストリカル・ユーモア・ロマンスとでもなるでしょうか。ヒーロー,ヒロインの陰で活躍するヒロインの二人の双子の叔母,レティシア・フェザートンとヴァイオラ・フェザートンが大活躍する,ハート・ウォーミングな作品です。
フェザートン姉妹の長女,エリザは美貌そっちのけで結婚する気はさらさらなく,イタリアに行って絵の勉強をしたいと考えています。妹のグレースは社交界にデビューしてハンサムで家柄の良い男性を見つけて結婚するのが人生の目的と考えている,当時としてはとても常識的な美人。三女はまだ社交界デビューには早いため今回はほとんど登場しません。
さて,フェザートン家の双子の叔母たちが長女エリザと次女グレースにすばらしい相手と幸福な結婚を望み,家に伝わる「エンゲージメント・ルール・ブック」を発見し,二人を社交界で成功させようと数々の企みをします。本書では「ルール1:一致団結した側が勝利する」に始まり,「ルール21:双方が互角なら交戦すべし」で終わる21のルール。実はこれは「エンゲージ」つまり「婚約」のルールではなく「交戦」のルールなのですが,そのごろ合わせが実に現実にぴたりと納まるのですから,結婚と戦争は本質は同じとでもいうように物語が進行していきます。まずは,その面白さが読者を引き付けます。
さらに,ヒーローとなるエリザのお相手は,兄の借金ごと爵位を引き継いでしまい,有り金を投資した貿易船も行方不明になり,領地を手放さなければならなくなりそうなギリギリのところに追い詰められたサマトン卿マグナス・マキノンです。自分の苦境を救うのは持参金をたっぷり持った社交界の女性を捕まえることですが,エリザにいくら惹かれても,結婚には結び付きません。愛をとるか便宜的な貴族としての結婚をとるか。究極の選択を何度も迫られるマグナスですが,さてこの苦境を救うのは一体・・・。
そんな二人が互いに惹かれあい,ロマンスを重ねていきますが,とてもさわやかに,しかも互いの苦境を思いやり,互いになけなしの財産をなげうってでも互いの窮状を救おうと行動を起こしていく様子にも読者は温かい気持ちにさせられっぱなしです。
このヒューマンな「フェザートンの姉妹」シリーズは原作はもう4作出されているようですので,翻訳が待たれますが,1年半たっても第2作の翻訳がなされないのは,とても残念です。
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