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紙の本

本一筋に仕事を続けて、今年93歳!八木福次郎さんのたどった道

2008/12/09 12:24

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

やみくもに古本道を突き進んでいたここ数年…。
わけもわからず、ただただ古本に惹かれるという気持ちのみで、自分の手の届く範囲で今日まで来たが、ついに八木福次郎さんにたどり着いたという感が深い。
読後にじわじわと嬉しさがこみ上げてくる。

現在、93歳の八木福次郎さん、本一筋の仕事を続けていらっしゃる。
「日本古書通信」という古書情報誌の編集人として、昭和11年から現在まで、実に70年もの長きに渡って活躍。
「今までの私の人生の大部分は、本の街神田神保町で過ごしたことになる。」まさに、神田神保町の生き字引!
解説の出久根達郎さんによれば「八木さんは古書を専門にひさぐ人ではないが、古書店と古書の魅力を飽かずに説き、世に知らしめた功労者だろうと思う」とあり、「私は八木さんの文章によって、古書の知識を得た。」と続く。そんな八木福次郎さんのたどった道を存分に楽しめる一冊だ。

まずは本書冒頭で神田神保町のむかしといまを一渡りで読み通す。150年前には大名の江戸屋敷や旗本屋敷があったところだ。それが明治政府になったときから大変貌をとげることになり、大学や病院ができ、学校ができると学生が集まり本が必要になる…。
この壮大な変貌劇には圧倒される。

つぎに古本屋という商売、古本屋とのつきあい(専門店を知ること)、古書販売目録や古書即売展などの古書についてのさまざまな深い知識がつぶさに語られている。
古本は売るほうより仕入れのほうが難しい。
仕入れや販売のなりたちをみると、「好きな本を読みながら店番をしておればよい商売、という考え方はとんでもない」ということなんだそうだ。

原稿用紙と自筆原稿のところでは永井荷風が取上げられていて、興味を持った。彼は自ら原稿用紙を刷ったことがあり、それはクチナシの実の汁で刷ったのだそうだ。クチナシを使うと虫よけになり、時代がたつほど感じのよい色に変色するためでもあるそうで、今はどんな色に変色したのかなぁ~と想像するだけでも楽しくなる。

蔵書のゆくえのところでは、「本の内容がわかる人が集めた、筋の通ったコレクションは自然と高くなるものだ」という個所になんだか惹かれた。一本筋が入っているコレクション、古書を集める楽しみの極みだろう。また蔵書を心ならずも処分するとき、学者の蔵書が図書館や研究所へ寄贈されることに関して、「それがぜひ必要な資料ならともかく、そうでない場合は、その多くは重複して、困ることがあるのではないかと思う。分散させるのは惜しいという考え方は分かるが、古書店へ出して、それを必要とする読者に還元して頂いた方が、本のためにもよいのではなかろうか」とあって、深く感銘を受けた。本は読まれてこそ、喜ばれてこそのものなのだ。

解説で出久根さんも言われていたが、八木さんは古書を通じて、いろんなかたと交遊されおり、その交遊録が圧巻だった。江戸川乱歩をはじめ、野村湖堂、永井荷風、柳田国男、高見順などなど、面白いエピソードが満載だ。
例えば、江戸川乱歩が兄弟三人で古本屋をはじめたが、本の補充をしなかったため一年で本がなくなり店を閉めた話。乱歩ファンなら誰でも知っている逸話だそうだが、私は初めて知りとても親しみを感じた。

「古本屋に足を運び、書棚に並んだ本を手にとりながら、その内容や美汚を確かめ、気に入った本を求めることは喜びである。古本屋や古書展へ足を運ぶことによって、目指す本だけでなく、それに関する本を見つけることもできる。時にはこんな本もでていたのかと気付くこともある。これは運動にもなり、楽しみでもあるだろう。私は以前からこのようにいってきたが、それは今でも変わらない。」
あとがきにこうあった。
93歳の八木さんが発したメッセージに、力強さを感じた。
喜び、運動、そして楽しみ…。
古本道の真髄はここなのだろうか?
ますます深みにはまりそうだ。

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2013/03/30 22:16

投稿元:ブクログ

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