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中国とチベットの間の問題を、33年間もの間投獄されたチベット僧パルデン・ギャツォの視点から見返す、自伝。彼は、「良心の囚人」でした。
出版されたのは10年以上前なんだけど、最近同名のドキュメンタリーが上映中らしい。
「大地は党、青空は人民だ。大地と空の間におまえが逃げ込める場所などない」
拷問、洗脳、拘束、暴力。
囚人同士でのつるしあげや暴行を強要し、絶望の中で人心を変えようとする、その無茶さを、むちゃと思わぬ人の傲慢さ。
「アウシュビッツは終わらない」って本を読んだときの事を思い出したけど、WW2のドイツとユダヤ人の関係と決定的に違うのは、中国が、徹底排除じゃなく徹底的に同質化しようって視点に立ってること。
形として虐殺には結びついてないけど、社会主義者に「教育」し直す過程で多くの犠牲者が出てる。
自伝の類は、情報としての正確さはない。
歴史的経緯は一方からの視点から見るのは、フェアではない。
でも、これ読んでて、
暴力や強制で人を変えようと思う力のおそろしさは、認めるべきだと思った。歴史的のあの土地の帰属がどこにあるとかの政治的な問題はまた別次元の問題だと思う。私は個人的にはフリーチベットを熱く提唱する人ではないけれど、あの地での人権抑圧には断固抗議を示したい人です。そういうあいまいな感じで読みました。
抑圧者は自分が抑圧者だなんて言わないしね。そういう意味で、こういう情報も積極的にふれていいんじゃないかと。
彼はチベットの囚人としてははじめて、国連の人権委で証言をしました。そのときについての記述に、感動を覚えます。
「人を変えようと思ってはダメだよ」とは、私の友人の中国人が私に教えてくれた事。だから、この問題は中国人がどうこうという話ではなくて、政治的単位での、「中国」と「チベット」の問題ですね。
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中国共産党はチベット人を不当に逮捕し、捏造した罪を着せた。拷問して自白させた。罪を自白させるのは党の方針が正しいと認めさせるためだ。囚人たちの思想信条を改革しなければならない。それは檻の外の家族までも巻き込むものだ。プリーモ・レーヴィの言うとおりアウシュビッツは終わってない。
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北朝鮮の強制収容所ものを2冊読んだので
中国の状況も知りたくなり本書を読んだ。
金日成の名のもとに拷問が行われるように
毛沢東の名のもとに収監される。
思想が違う人との共存の可能性を考えないというのは
軍国主義日本でもそであったし、危険な兆候である。
思想が違うから 人権を認めない
人権を認めないから 拷問も可となる。
この本は30年以上にわたり牢獄にいたチベット僧侶の体験談である。
北朝鮮の収容所よりは大分ましであったが人権が認められていないのは同じである。
私は30年ほど前にダラムサラでチベット独立デモに参加したことがあるが、それと比べても何も変わっていない現状に今更のように驚く。
なぜ中国はチベットを領有したいのだろうか。