紙の本
殺人鬼対人間ウソ発見器、「スリーピング・ドール」を読め!
2011/10/19 18:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
リンカーン・ライムシリーズで大人気のジェフリー・ディーヴァー。
最近ではなんと007の新作を出したばかり。この作品は週刊文春や「こ
のミス」でベスト1に輝いた同シリーズの傑作「ウォッチメイカー」に
登場した人間ウソ発見器キャサリン・ダンスを主人公にした物語。今ど
きの言葉でいえばスピンオフ作品である。
ディーヴァーの小説は主役はもちろん脇役に至るまでしっかりとキャ
ラが立っているので実におもしろい。この作品では犯人役で「マンソン
の息子」(チャールズ・マンソンは知ってますか?)と異名をとる元カ
ルト集団の殺人鬼ダニエル・ペルの造形がいい。この男、8年前に富豪
一家を殺害し、終身刑になっていたのだが脱走、女と2人逃げ回ってい
る。他人を「コントロール」する能力に長け、そのことに喜びを感じる
のがペルという男。それを追うダンス捜査官は人間の所作や表情を読み
解く「キネシクス」分析の天才。ダンス対ペルはまさに頭脳戦!これは
もう、たまらないほど盛り上がる。しかも、ディーヴァー得意のドンデ
ン返し!さらにもうひとつ裏返し!そして、ラストはいつも気持ちよく
終るのがディーヴァー流。ちよっとぶ厚い一冊だが秋の夜長にはぴった
りの長編ミステリーだ。
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ディーヴァー・ワールドにリンカーン・ライムシリーズに続いて、新たなヒロインの登場。ハラハラドキドキの展開は、映像化の期待へと誘う。個人差にもよるのだろうけど、ストリーに一気に入り込めるのが、なんとも嬉しい。
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図書館で借りた。2008年11月3日読了。
キャサリン・ダンスシリーズ第1作。作品中に、ライムとアメリアも電話越しに出てくる。
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今作の主人公は、前作『ウォッチメイカー』に登場した尋問官キャサリン・ダンス。ライムシリーズに勝るとも劣らない二転三転のストーリー展開に圧倒されました。ただ、ほんのちょっと冗長かも。もうちょっとスリム化した方がテンポもアップしてよりおもしろみが増すように思います。
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前作「ウォッチメイカー」に登場した、人の所作や表情を読み解く「キネシクス分析」の天才キャサリン・ダンスが主人公に。
事件現場に残された遺留物から犯人にたどり着くライムシリーズも面白いけど、人の嘘を見抜き真実を導き出すのもまた興味がわく。ダンスのキネシクス分析の解説部分ではつい「自分が嘘をつこうとしてもそうなってしまうのか?」などと考えてしまったり…。おなじみのどんでん返しもあり最後まで気が抜けない。
シリーズ化するらしいので次回作が楽しみ。
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近頃、ディーヴァーがすっかり好きじゃなくなったのに、なぜぼくはディーヴァーを読むのだろうと、自分に問いかけてしまう。まあディーヴァーはそこそこ面白いと言うことだけは言えるからな、と自分に肯く。ただ、マンネリに陥っているところがあるし、何よりもご都合主義の目立つプロットが鼻につくんだよな。じゃあ、読まなければいいのだが、本当に好きになりきれない作家の場合は、図書館で借りることができるし、何も散在するわけじゃない。ディーヴァーのハードカバーはとても高いし、ちょうどそんな具合に無料(ただ)だと思って読めばいい。
そんな言い訳を自分に対して読むから、どこかいつも落ち着かない。犯罪者と捜査側との追いかけっこを、またかと思いながら読むだけ。せいぜいそのバリエーションと、最後の最後のどんでん返し(最近ではツイストと呼ぶ奴だ)の重ね張りがマンネリをすれすれのところで逃れようとする技術的傾向なのだが、その策は常に十分には成功していない。
ディーヴァーの短篇集『クリスマス・プレゼント』を、なぜぼくはあれほど楽しく読んだのだろう、と今思い返すのだが、いくつか思い当たる点がある。まず、ツイストをやり過ぎるゆえに、現実的ではなくなる傾向。法螺話のように見えてくる傾向が、最近の長篇にはあるということ。短編ではそれがなく、気の利いたホイップ一発で決めてしまうという小気味のよさがあるのだ。
さらに冗長な語り口ゆえに、犯罪者側の余分な心理描写を読者だけが見せられているこの古臭い描写のリズム、そして古臭い舞台装置だ。ディーヴァーはジョン・ペラムのシリーズではさすがに主人公が映画のロケーション・ハンターということもあって舞台装置に価値を与えていたように思う。しかしリンカーン・ライムのシリーズでは、犯人との追いかけっこや心理描写が主体となり、舞台の価値なんていうものはなくなってしまった。
ただただ冗長なとにかく一語でも多く犯罪者の背景描写に費やしたいというのが最近のディーヴァーの傾向。それが短篇には見られないのだ。すっきりして、それでいて内容は長篇並みのツイストを持っているのだ。短篇作家になればいいのに、とは言い過ぎだろうか。
さて、本書、今、流行りのリンカーン・ライムシリーズのスピンオフ作品である。ライムシリーズの前作『ウォッチ・メイカー』にゲストで登場し、主役を食う勢いすらあった西海岸の人間嘘発見器キャサリン・ダンスが、本書の主人公である。ライムが鑑識を主体とした科学捜査に精通しているのに対し、ダンスは人間観察により真実に迫る専門家。表情や目線はともかく、指先の動きや、言葉の用い方で、相手が感情のどういう段階にあるのかを分析してしまう。ライム同様スーパーなことに変わりはない。ライムも珍しくダンスへのリスペクトをさほど隠さなかったという下り、その時点でキャサリン・ダンスのシリーズは作者の中でスタートしていたのかもしれない。
ダンスの相手には、カルト犯罪者である脱獄囚マイケル・ペルがいる。カルト教団の祖は人の心を操るのが得意であり、心理操作対決といったところが本書の軸になる。さらにはカルト犯罪の専門���なるウィンストン・ケロッグなるFBI捜査官が出現する。心理学のプロみたいな連中がどんどんこの事件に集まってきてしまうわけだ。終いには誰が誰を操っているのかわからなくなる面白さというところを狙ったのだと思う。
タイトルのスリーピング・ドールは、カルト犯罪者に殺されたある一家のうち、眠っていたゆえに一人だけ生き残った少女のことであるが、なぜかこの少女が物語中さほど意味を持たないでいることに座りの悪さを感じる。
さらに追いかけっこ対決という単純さを、ツイストを売り物とする作家だけに台無しにしてしまっているように思う。こういう物語はシンプルな構図で大団円に持って行くべきと思うのだが、気持ちが萎えるほどにツイストにこだわる作家の悲劇が本書をライム・シリーズのマンネリに突き落としてしまっているように思う。
せっかくライム・シリーズのマンネリを脱したかなと感じていた中盤までの疾走感は、終盤に来ていろいろな価値を失うことにより(とりわけターゲットへの集中力を殺がれるのだ)、ただのひねりの利いた貧相な小話といったところに堕してしまう感があるのだ。
冗長に過ぎた小説であると思う。ツイストを重ねすぎることにより作品の良さを壊してしまった例であると思う。登場人物が多すぎる。物語が長すぎる。懲り過ぎる。小説にそうしたものを求めている読者にはいいだろう。人間の現実や真実を求める読者にとって、小手先の技術はかえって仇になる。最近のディーヴァーは少しも変わっていない。変わろうとしない。ぼくの悪い予感は決して覆えされずにただただ期待ばかりが萎んでゆく。このマンネリズムは、いつ終息するのだろうか?
ディーヴァーの健康的で病んでいないところが、クライム作家としての致命傷なのかもしれない。大甘なスイーツを食べ過ぎたような食感しか残らないのだ。饒舌に落ちず、すぱっと人間の怖さのようなものを語り口で切り拓いてみせることができないのだ。そういう技術も性格も持ち合わせていないのがディーヴァーなのだろう。だから作品に非情な凄みのようなものが出ないのだ。コーマック・マッカーシーみたいな歯切れが。
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尋問官キャサリン・ダンスが主人公に。おもしろかった。ただちょこっとだけ長い。
2008.12.20
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ディーヴァー作品はやっぱり面白い。
今回はストーリーもさることながら、主役のキャサリン・ダンスのキャラクターの描写(音楽好き、料理が苦手、iPodを離さない、靴マニア)の細かさと、モントレー郡の土地の美しさがとても印象的だった。
自分も靴マニアなので、その辺のディテイルだけでぐっとストーリーに入り込めるのです。
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ライムシリーズからのスピンオフ作品。ヒロインは、人間の所作や表情を読み解く「キネシスク」分析のスペシャリスト。何気ない動作の中にも彼女は目を光らせている。このシーンは多々登場するが、嘘を見破るための描写や解説はさほど気にならない。行為そのものが日常的なので、自然と興味を持って読んでいた。
相変わらずのストーリーテラーぶり。スピーディーな序盤や、頭脳明晰なカルトリーダーなど、読者を型にハメるファクターには事欠かない。先の展開が読めず、かと言って同じポイントを停滞するわけでもなく、一歩ずつ着実に犯人に近づいていくプロセスにページを繰る手が止まらない。ダンスをはじめ、異なるタイプの女性たちが、作中で「成長」していく様に注目するのも面白いだろう。真の「スリーピング・ドール」とは誰なのか?
犯人が複雑な行動をとるたびに謎も増えていく。どの謎に焦点を絞って読むかは読者次第。その答えはシンプルには読ませてくれない。サプライズに慣れてきた私は、その「解答」よりも、「手法」に面白味を感じるようになってきた。連覇があるかどうかわからないが、年末のランキングに食い込んでくるのは確実。もちろん、ライムのカメオ出演もありますよー
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ジェフリー・ディーヴァーの本て読み始めると本当に止まらなくなるのだけど、それだけに時間に制約のある身だと辛い。
そういうわけでチマチマ読み進めていたんだけど、昨日我慢できずに午前5時までかかって読み終えました(笑)
漸くジェフリー・ディヴァーの手法に慣れてきたのか、今回はこれより前の作品と違って心底驚く犯人の登場、というのはなかったかな。
この人が怪しいな、みたいな人が順当に犯人だったので、ちょっと拍子抜けだったかも。
でも導入部分でどうなっていくのか全くわからないままぐいぐいと引っ張られていく感覚は健在だったし、ミステリ読んでるなぁ(*゚∀゚)=3っていう感じはした。
人間的魅力のあるキャラクターも多数登場していて、そういうところもやっぱり上手い。
日常描写に絡めて人となりをイメージさせたりとか、そういうミステリと関係ないようなトコも丁寧に書かれているのでお気に入りの作家さんなのです。
個人的に科学的根拠に基づいた“嘘を見破る能力”というのも興味深かった。
ちょっと人を見る目が変わりそうかも(笑)
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主人公は違えど、やっぱりジェフリーという感じです。
どんでん返しやら、さすがの尋問やら…読み応えたっぷりです!
捜査官としての面だけでなく、普通に母親やってたり、恋をしてみたり…そういう部分があるから飽きずに読めるんだと思います。
それにしても、こういうペルのような犯人は、やはりリンカーン・ライムよりもキャサリン・ダンス向きなのかなぁと思いました。
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ライムシリーズのスピンオフ作品です。ライムが科学捜査の第一人者だとしたら、本書の主人公キャサリン・ダンスはキネシクスの第一人者だ。キネシクスとは、会話や表情、ボディランゲージなどを観察して分析する科学のこと。ダンスのまたの名は『人間嘘発見器』。彼女と対決するのは、”マンソンの息子”の異名を持つ、他人を操る天才ダニエル・ペル。
ダンスの人間的側面を描くために彼女の家族や恋愛が語られるが、どうも冗長だ。ディーバーお得意のどんでん返しもいつもの切れがない。
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【所持有無】×
【読了日】090406
【キーワード】キャサリン・ダンス カルト 逃亡
【所感】いや〜、図書館で何ヶ月待ったこと。ディーヴァーらしく、最後までひねりが効いていた…が、タイトルの「スリーピングドール」が、まったく絡まない。ここでもっとおもしろくできたんでないの?
【備考】
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前作「ウォッチメイカー」にも登場していた女性をヒロインにしたスピンオフ作品。
キャサリン・ダンスは、カリフォルニア州捜査局(CBI)の捜査官。
人の表情や仕草で感情や真意を読み取るキネシスク分析の天才。人間嘘発見器ともいわれる。
カルト指導者的な殺人者ダニエル・ペルが脱獄、尋問に当たっていたキャサリンが指揮官に。
保安官オニールやFBIのケロッグ、犯罪実話作家ネーグルなどと捜査に。
脱獄は周到に用意されたらしく巧みな追跡はあと一歩でかわされ困難を極める。
なぜかモンテレー郡を離れずに隠れているらしいペルの目的は何か?
二人の子の母である未亡人のキャサリンの家庭やこれまでの経歴、父母や同僚などしっかり書き込まれた背景もディーヴァーにしてはゆったりと読ませます。
かってペルと集団生活をしていた女性達に話を聞き、被害者の生き残りの少女テレサとも会おうとするキャサリン。尋問の天才の面目は?
事件の真相も単純ではなく、人間の色々な面が描かれているのが面白い。
後半は展開が早まり、期待通りに二転三転。面白かったです。
2007年の作品、2008年10月発行。
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ライムシリーズともリンクする、キャサリン・ダンスが主役。
脱獄囚を心理面から追い詰めてゆく。
ディーヴァーらしいどんでん返しもあり、ハラハラしながら一気に読めた。
ライムとサックスがちらりと出てくるのも楽しめる。
続編が出るなら読んでみたい。