紙の本
寺院巡りを楽しむ2
2009/04/03 09:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イム十一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
北陸方面にある十ヶ寺の寺院巡りをしつつ、それぞれの寺院の由来・歴史・風景を著者自身の考え・思いを通して語られた本です。
「第十二番・妙成寺」 安土・桃山時代の絵師・長谷川等伯の生涯、そして等伯の傑作とされる「松林図」から、その人生の裏に秘められた長男を亡くした等伯の深い悲しみや遠く離れてしまった故郷への思いを、著者の視点を通して興味深く書かれていました。
「第十五番・瑞龍寺」 華厳経の中にある「雑華(ぞうげ)」という言葉から、有名な美しい花も無名な目立たぬ花もすべては周囲の価値観で判断されたものであり、自分自身はいついかなる時もその状態をあるがままに肯定し受け入れていく、という思想が著者独特の視点で書かれていました。
著者の視点を通して、それぞれの寺院に刻まれた深い歴史やその当時の人々の思い・願いを味わえる本ではないかと思います。
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北陸が、かつては日本の表玄関だったという視点が面白かったです。
いろいろ有名な宗教家が登場する中で、長谷川等伯に関する話は異色菜間はありますが、興味深く読みました。
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文章からそれぞれの寺の雰囲気が伝わってきました。北陸は私の故郷でもあるので、機会があれば紹介された寺に寄ってみたいです。そして、寺の様子だけではなく、筆者の現代社会に対する思いと仏教・その他の宗教がもたらす心の拠り所の大切さが分かる1冊でした。
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第1巻の奈良のお寺をどこも訪れないままに早一月経って第2巻は北陸へ。
19番目の明通寺から読みました。
昔、敦賀に住んでいた頃に大阪からのお客様を、そのもっと昔、逆の立場で私がしてもらったようにお連れしたお寺で、鬱蒼とした杉木立の中の三重塔が目に浮かび暫し懐かしさに浸りました。
次の神宮寺の項と合わせて、かつて若狭地方が日本の表玄関として文化の入り混じりの中心地であったことが良く知れます。
今回も筆者の筆は縦横無尽で、その寺に纏わる話から話題は色々な方面に飛びますが、『宗教的感覚が豊かでいきいきとした社会をつくる』こと、『目に見えない言葉の大切さ、役に立たない言葉の大切さ』があることなど、そこかしこに精神的な安寧が横たわり、『ときにこころをしなわせ、ため息をつく。そんな時間をもてることが、とても貴重に思え』ます。
真宗王国と言われる北陸地方が旅しながら、勿論、吉崎御坊に端を発し、寺内町として栄えた瑞泉寺や茅葺屋根の阿岸本誓寺を巡る旅もありますが、日蓮宗の妙成寺、山岳信仰から発した那谷寺など、北陸というのはその昔は多彩な信仰が入り組んでいた場所であるということも知れます。
大乗寺・永平寺・瑞龍寺の曹洞宗のお寺からは修行の厳しさが伝わり、『心配ごとが浮かんできても、ずうっとそのままでいいから−』という瑞龍寺の若い僧侶の、優しいしかし凛とした言葉に改めて背筋の伸びる感じがしました。
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第二巻では、北陸地方の寺がとりあげられています。
「真宗王国」と呼ばれる北陸が舞台で、著者自身も親鸞や蓮如にかんする本を多数刊行しているということもあって、本書でも著者の親鸞観・蓮如観などが語られています。また、庶民の生活に密着して救いを説いた浄土信仰に対する著者の考えも開陳されています。
他方で著者は、大乗寺や随龍寺、永平寺といった、禅宗の寺院にもおとずれており、「伽藍随龍、規矩大乗」と呼ばれるそれぞれの寺の特色や、永平寺につたわる道元の厳しい修行の道などにかんしても、著者自身の目に映ったすがたが、率直に語られている印象です。