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「荘内銀行はなぜ顧客に選ばれるのか?」
という問いに対して端的に答えると、それは
「気分がいいから」
である。
荘内銀行は、ISB(インストアブランチの略)を武器に、買い物帰りの客をターゲットにして伸びていった。
単にこう書くと、ISBが魔法の杖のような感じに思われるが、決してそうではない。
あくまでもインストアとして、店との一体化を成し遂げた結果としての成長である。
ISBに挑戦した銀行は多かったが、早々と夕方5時ごろにシャッターを下ろしていたところが多かった。
一方、荘内銀行は店の開いている夜9時まで営業し続けた。
このサービス精神を多くの銀行は持てない。
それが伺える好例が仙台への殴り込みだ。
荘内銀行が仙台圏で手に入れた顧客は七十七銀行からの乗り換えが大半とのことだ。
七十七銀行はただ規模の優位性があるにすぎず、「近いから」という理由で口座を持っている人が多いはず。
しかし、サービスレベルは最底辺だと思う。
そんな中で、荘内銀行が圧倒的な「気持ちよさ」を提供すれば、ただ近いだけの人が乗り換えるのも時間の問題だろう。
七十七銀行の口座を持っている人に読んで欲しい。
言いたい放題だけど、僕の口座も七十七銀行です・・・
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荘内銀行のSBIとイオンのそれは違うのだろうか?
イオン銀行が設立から3年を経過したのに未だ赤字に陥っている事を考えると、荘内銀行のスピリットがハラに落ちていないんだろうと思わざるを得ない。
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殿様営業でふんぞり返り豊満経営により危機的状況に陥ってた地方銀行が、地元地域だけでなく県を跨いだ広域に亘って頭角を表し見事に再生して行った山形県の荘内銀行に関する詳細なレポートです。文章も平易で銀行素人でもわかりやすいです。
「顧客志向(カスタマーセントリックス)」と気軽に言いますが、どこかで自分たちが得をすることを先に考えがちです。そうではなく、顧客を喜ばせれば、得は後からやってくるということ。これを見事に実践した例としても秀逸な内容だと思います。
それにはやはり経営トップ(頭取)の力強さなくしてはこのような再生はならなかったんだなと、何度もうなづかされました。
人が変わる、組織が変わるとはどれほど大変なことで、でも変わった時の人や組織はこれほどプラスに作用するものなかというのもよく分かります。
もう少し失敗談も出してくれると良かったかなと思いますが、ページ数を考慮するとやむなしかと思います。
厳しい財政事情、景気低迷にあっている地方の自治体、銀行、大学、企業等、何とかしたいと思われている方々は、ここから色々なヒントを貰えるはずです。国に頼らない、権力者に頼らない、自分たちで何とかする、同士を増やして連携すれば何とかなる。そんな勇気ももらえます。
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石巻WC参加者から紹介してもらった本。イオンなどの大型スーパーに、営業時間を合わせながら入り込んでいった、地方銀行の挑戦をまとめた本。銀行ってどこでも同じ仕事してるだけなんでしょと思っていたが、こうやって顧客目線に立って実践を繰り返している銀行が存在してることに感動。
・顧客が立っているのに行員が座って応対する銀行の非常識
・15時に店頭が閉まり、仕事帰りに利用できない。
・もっとも銀行を利用したい土日に開いてない。
いやいや言われてみればその通り。1つ1つを解決しながらより親しみのある銀行を作っているそう。おもしろかったなー。人に紹介してもらわなければおそらく一生読まなかっただろう。感謝。
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荘内銀行のISB(インストアブランチ)の取組を記述。
内容に共感することは多かったが、実践できるかは課題。しかしISBをすすめると、銀行という形体である必要があるのか。アンバンドリング化が進むかも。
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最近、金融機関の口座開設に興味を持ち始めた。全国の地方銀行に関心を持ち、何か関連書籍はないか探す中で、山形県の地方銀行でありながら東京・吉祥寺にも支店を持つ荘内銀行を取り上げたこの本が目に留まった。
どんな本かざっくり言えば、『カンブリア宮殿』(テレビ東京)のような内容を一冊の本にまとめたという感じ。老舗の地方銀行がいかに経営体質と行員の意識改革を進め、仙台など県外への進出を果たすまでになるかというお話。
前半は、経営改革の軸となるISB(インストアブランチ、吉祥寺にある支店もその一つ)の紹介が中心。ISBそのものについて知るには好都合だが、あまりに良い話しか出てこないので眉唾物ではないかという疑念も生まれてくる。
後半に入って、ようやく銀行のこれまでの歩みと元来の守旧的な企業風土、そしてそこからどう脱却していくかが紹介される。ここまで読んで、ようやく面白みを感じるようになる。先進的で真の顧客中心主義な銀行が一朝一夕に築かれた訳ではないこと、企業風土の刷新が決して一筋縄ではいかなかったことが理解できる。
2008年の書籍ということもあり、掲載されている情報は古い。例えば、終盤で取り上げられる北都銀行(秋田県)との経営統合は既に済んでいる。その辺りは理解したうえで読んだほうがベター。
私は山形県とは何の縁もゆかりもなく、一度も訪れたことがない。ご当地出身の人と知り合う機会も、おそらくなかったと思う。そんな訳で山形県や同行の地盤である庄内地方に関する知識はほぼゼロだったが、本文中で県内の4つの地方(庄内・最上・村山・置賜)やライバル(山形銀行・山形しあわせ銀行・殖産銀行)に関する説明があるので、特に問題はない。
同行のイノベーションの原動力となった町田睿(さとる)氏は、この本が世に出た10年後の2018年に他界している。氏の人柄が経営改革に好影響を与えた部分は大きいが、そちらは別途追うことにしたい。