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[ 内容 ]
健康、学力、そして将来…。
大人になっても続く、人生のスタートラインにおける「不利」。
OECD諸国の中で第二位という日本の貧困の現実を前に、子どもの貧困の定義、測定方法、そして、さまざまな「不利」と貧困の関係を、豊富なデータをもとに検証する。
貧困の世代間連鎖を断つために本当に必要な「子ども対策」とは何か。
[ 目次 ]
第1章 貧困世帯に育つということ
第2章 子どもの貧困を測る
第3章 だれのための政策か?政府の対策を検証する
第4章 追いつめられる母子世帯の子ども
第5章 学歴社会と子どもの貧困
第6章 子どもにとっての「必需品」を考える
第7章 「子ども対策」に向けて
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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昨今貧困の問題が俎上に上ることが多いが、この本は貧しい家庭に生まれた子どもたちが健康、学力、意欲、将来の職業といった面で不利な状況に立たされていることを豊富なデータを用いて客観的に証明している。この問題は、親世代の不安とも直結しているので、少子化にもつながる危険性がある。
興味深かったのは、母子家庭だけでなく一人親世帯全般(母子家庭、父子家庭)への保障、貧困世帯への医療費、保険料などの全般的な見直し、無料で良質・普遍的な保育制度の確立、財源を社会全体が担うことである。単なる「少子化対策」ではなく「幸せな子どもを増やす」という「子ども政策」を打ち出すということ重要だということも本書で述べられている。
こうして見ると日本のセーフティネットは穴だらけだということを改めて考えさせられた。高度経済成長期の頃は年功序列制が生活を保障していたたが、国際競争の激化に伴う成果主義の普及して、保障が成り立たなくなった。かといって生活保護の対象拡大は財政難で難しい。
先日こんなニュースもあった。通説が正しいと証明された結果。
http://www.kanaloco.jp/kyodo/news/20090804010007221.html
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いつのころからか、「格差」とか「貧困」という言葉がすっかり現代を象徴するようになってしまった。
この本はつまるところ、「大人になってからも不利」な影響を及ぼす子ども期の貧困について、統計を用いつつ説明するものである。
そして社会保障問題を研究する著者は、政策についての具体的な提案も用意している。
金銭面の悩みはつきものだが、ひとまず大学に通えていることは感謝しなければ、と思う。
ところで「社会保障と税の一体改革」は「いったい」どうなるのですか?
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本書は、主に日本の子どもの貧困についての現状を解説したものである。
本書は膨大な分析と社会調査アンケートから、子どもの貧困を明らかにしている。正直、この分析から得られる事実は衝撃的なものばかりと言わざるをえない。
最終章では、ここから得られた結果や、海外の事例をもとに政策提言も行っている。
筆者は低所得者の立場を重要視しているため、その価値観に合わない人もいるだろうし、政策提言も財政の問題に着目せず理想を描いているように見えなくもない。しかしながら日本の社会の一側面を見るという意味で、本書は有用なものに思われる。
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え?っと思う発言やデータもあるけど、基本的には日本の子どもを育てることに対する補助がどれだけ少ないかがわかる良書だと思います。
金銭的な問題だけじゃなく、子どものやる気や努力などの研究についても言及しているところが信頼おけました。
自分の中で今一度中身を整理しておきたいです。
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再読。
働けど働けど、暮らし楽にならず。ワーキングプアの問題などが叫ばれているが、日本の労働関連政策は本当に正しい効果を発揮しているのだろうか。教育費は義務教育期間であっても、私費負担割合が他国と比較しても大きい。再分配後、低所得者においては受益が負担を上回る構造となっており、貧困層はますます苦しい生活を強いられている。これまで政策課題として子どもに焦点を当ててこなかったために、子どもの格差は拡大し、子どもの貧困が深刻化している。
「少子化政策」ではなく、「子ども政策」を。
「自己責任」という言葉が一時よく聞かれたが、自分さえよければ他は関係ない、とどこかで思う風潮が日本にはあるように思う。弱い立場にある人々へはあたたかい眼差しを向けるべきだ。大人はみんな読むべし!
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私が母子家庭であること、それがきっかけで行政や福祉に興味を持ったこと、それで進路を決定したこと……。
複雑な気持ちで、この本を読んでおりました。
貧困の基準ってなんでしょう。
「貧困」と聞くと、何となくあばら骨の浮いたアフリカの子供を思い浮かべます。
これは「絶対的貧困」なんですね。
そして先進国では、絶対的貧困が撲滅されたと仮定したうえで、その社会の中での「相対的貧困」を貧困問題を論じるうえでの「貧困」と定義するんですね。
で、貧困というのは「許容できないもの」がその定義。
その許容できない状態も国や状況、価値観によって異なるわけで。
う、まー…ケースバイケースですね。社会学は難しい。
この新書のすごいところは、データの豊富さ。
一番びっくりしたのは、アメリカの実験で、ビンボーな子供を10年、20年と継続してフォローし、どんな大人になっていくかということを調査したもの。
結果として貧困経験者は所得が上がらないことがわかるのですが……いや、研究だっていうのはわかるんだけれども、データをとり終わった後のその子は放置されてるんでしょうか、ね……。
その話の流れで、貧困が連鎖しているというデータが示されます。
生活保護世帯の25%が親の世代でも生活保護世帯(大阪府堺市)、母子家庭に限って言えば41%……。
筆者は、非正規雇用労働者の増加と、彼らが親になったらどんなに大変だろうかという予測を立てています。
経済界は、労働力不足になったら困ると政府に少子化対策を要請する一方、非正規雇用を増大している。この矛盾はいったいなんだ、とも指摘しています。
そして日本の児童手当は「薄く、広く」で、「少子化のために何かをしている」というパフォーマンスでしかないとも言っています。
そういえば以前、日本は高齢化社会だから、政府は高齢者の票を獲得するために老後重視の政策を立てている、そして若年層に対する手当は薄い、なんて誰かが書いていたような。
なんか、うーん……誰かが負担をしなきゃいけない、誰が得して誰が損をする、とかじゃなくて、みんなで社会を支えよう、みたいな視点になれるといいんですけれどもね。難しいですよね、うん。どうすればいいのかな。
で、「貧困者=給付金をもらっている=ズルい」なんて公式で語られることが多いのですが、実際はそうではない。
社会保険料や税金を引いて、所得の再配分をした結果、他国では貧困率が下がっているのに、日本ではむしろ増加している。
これは貰う分より、負担のほうが大きいからだ――そんなデータを見て、びっくりしました。
現役世帯が、苦しんでいる。
母子家庭の場合だと、それが顕著。
確かに日本の母子家庭の母親は、他国に比べて就業率が高く、労働に従事している時間も長い。
でもそれは、ワーキングプア状態なのだ。
ワーク・ライフ・バランスが取れていない。
もう働きすぎている母親たちに、これ以上働け、自立しろなんて酷だと思いました。
離婚であれ、死別であれ、子供は心に傷を負う��ケアが必要。
でも、それができていないのが今の社会。
「戦争中は大変だった。今の子供は恵まれている。贅沢だ」なんて論じゃなくて、その子供が、この社会において「貧困」であるということを認め、どうしていくかを考えなくてはならない。筆者はそう繰り返します。
あと、離婚の場合の母子家庭の話。
アメリカ、イギリス、スウェーデンでは、養育費の取り決めは税と同じように公的制度が整備されていて、6割の離婚夫婦が養育費の取り決めをしている。
全額未納者は2割のみ。6割は全額支払っている。……まずまずである。
でも、日本はその取決めまでの道のりが大変なうえ、払われなくっても仕方がない、養育費を徴収しにくいのが実情。
子どもには罪はないのに。何で。
読みながらずっとそう思っていました。
「総中流神話」「努力すれば報われる神話」そんな神話たちは崩壊。
でも、その神話が流布し、「負け組」「勝ち組」「上流」「下流」とゲーム感覚で言っているから、現状を直視しないから、変わらない。
やっぱり、大人になってもずっと勉強しなきゃいけないなと思いました。
現実の直視って大事。
PISA調査で明らかなように、中二の段階で学力や学問への意欲、階層によって差が出てきてしまっている以上、高校授業料無償化は意味をなさないのではないか、高校に行く前での学力格差をどうにかしなければならないとも述べていました。
やっぱりそのとき思ったのは、貧困から抜け出すルートが整備されていないんだなっていうこと。
子どもの段階で、本人の意思とは関係なく将来が決められてしまう。そんな社会があっていいはずなんてない。
別に、高等教育は全員が受ける必要はないと思います。行きたい人だけが行けばいい。でも、高等教育を望む人が受けられる、あるいは、受けなくても生きていける社会、一人一人の個性が生かせる社会。
そんな社会になったらいいなと思います。
最後に。
私は母子家庭ですが、離婚じゃなくて死別で、父が年金の掛け金を払っていてくれたおかげで遺族年金が出て、保険に入っていたおかげで高校までの学費はずいぶん助かっているので、こうして学校に通えているわけですが。
あらためて、自分の環境が恵まれていることを知りました。
(そりゃもちろん、母ともいろいろあるし、色々あるけれども……)
今生きていること、勉強したいことを学ぶことができること、いろんなことに感謝です。
もっと勉強して、いい大人になりたいです。
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今の高齢者世代は日本を支え盛り上げた自負があると思う。
時代が味方してくれた。努力はいつだって報われた。
だけど今はどうだ。
生まれおちた時代が悪いのか。運がなかったのか。
子どもたちが大人になる頃は…想像もしたくない。
子どもは国の宝だと思う。
そこに対する政策があまりにも手薄すぎる。
実態をもっと世間に訴え、意識改革が必要だと思う。
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所得の再分配により貧困率が増加する国・日本。何故だ。
現行の「子ども手当」は意味があるのか。甚だ疑問である。給付つき税額控除の方が良いのではあるまいか。
今の日本は、社会的・経済的に見ても「上昇気流」はなく、ただ停滞感のみ漂っていて、いつか来るであろう破滅のときを回避しようと「先送り」をしているだけである。
未来の日本を支える子どもたちが、階層の固定化により希望をなくし、やむなく貧困の連鎖を生んでしまう。そのような社会にならないように、今のうちに子どもに優しい税制・社会保障制度を作っていくべきであると感じた。
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総中流幻想は過去のものになったとはいえ「選挙権を持たない」がゆえに社会から忘れられている日本の子どもの貧困に関する本です。
具体的な実例を挙げるのではなく、冷静にデータを積み上げて現状を分析しております。
政権交代前の2008年に書かれた本ですので、子ども手当も高校無償化もでてきませんが、社会保険料負担の逆進性や母子家庭に対する社会的偏見、高卒ではまともな仕事に就きにくくなっている現状を詳細に書いております。
貧困問題は得てして政治的に利用されたり、正義を振りかざす感情論に落ち込むことも多いのですが、この本は非常に冷静です。
子ども手当の引き下げと増税が決まった状況も踏まえ、改訂版を出して欲しい1冊です。
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思いもよらないほどに日本の貧困度の高い事を知っておどろく
自分の視野の狭さがこれほどに実態を見損ねている無関心さに愕然とする
目の前に見えることでアップアップとなり
身の回りの事以外は見たくも触れたくもないのだろうか
先進国の動向と逆行している事に付いてもこれほどに身勝手な
縄張り根性が染み付いているとは思いもよらなかった
日本はいまだに後進国の意識を引きずったままで
明治以来の成り上がりのヤクザ稼業から成長できていないようだ
特に母子家庭のイジメラレ方は尋常でない
法律を初め職場や地域社会で目の敵のようにイジメの対象にして
恥ずかしげも無く搾取をむさぼっている
法律的にも行政的にも司法においてもいちじるしい憲法違反だし
各国との比較においてもはなはだしい格差であり
ビジョンの方向性すらソッポを向いて逃げている
この事をOECD2005年のデーターで見ると
誤魔化しで格差を広げてうそぶいていることが歴然としている
これは当然ながら母子家庭においても同じ状態で
弱い者イジメの典型なのだろう
「逆機能」と言う言葉を生んだ福祉対策と絡めた税制で
弱気をクジキ強気に媚びる大勢は
島国で濃縮された依存主義によって友食いしてきた民族のなれの果てなのだろうか
ユニセフが2007年「子供のウェルビーイング=幸福度」を公表している
物の過不足・健康と安全・教育・家庭と人間関係・行動とリスク・主観的満足度
の六項目による国別調査を行っている
それによるとオランダを筆頭とする北欧諸国が上位を占める中
イギリスが21位と最下位でアメリカが20位である
財政に苦しんでいるギリシャが13位で東欧のポーランドとチェコそれに続く
日本はデーターを出さず不参加であるけれど
OECDによる貧困率で見るとイギリスと日本は並んでいるので
同じく最下位の部類になるだろう
これに対して日本政府はこの調査を信頼できないし
改善もしていると言う見解を国会で述べ
調査することすらこばんでいると言う
見せ掛けのバラ蒔きはするけれど
トータルとしてはジワジワト貧困率を上げる政策に偏っている
それに引き換えイギリスではこの最下位を受けて
貧困撲滅のための10カ条を掲げて対応している
その第一に、すべての政党が貧困撲滅政策を目標にする事
第二に、すべての政策に貧困に対する観点を盛り込む事とある
OECD二〇〇五年・日本における母子家庭の就労率はスイスに次いで四位である
それに引き換え同じデーターによる貧困率はトルコに次いで二位である
まさに働けど働けど楽にならずどころかひどくなる一方である
そのくせ少子化によって搾取の相手が減ることには神経を尖らし
子供を増やせと動揺して気をもんでいる
少子化対策でなく貧困対策こそが健全な環境を創る事に気付いていないらしい
あるいは気付かない振りをしているようだ
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TFJが向き合っている子どもたちの状況について、客観的なデータを用いながら概観することができます。
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【著者「阿部彩」の紹介】
貧困研究の第一人者として活躍。
国立社会保障・人口問題研究所に所属。
研究テーマ: 貧困、社会的排除、社会保障、公的扶助
【本が与えた影響】
2000年代に入り様々な貧困や格差研究がされてきた。研究対象は成人が中心であったが、子どもの貧困に焦点をあてた研究は少なかった。(数ある貧困の中の1つとして取り上げることはあった)
発行後、子どもの貧困を取り上げた本が多く出版されるようになった。
【内容】
・絶対的貧困と相対的貧困があり、日本に置ける貧困研究は相対的貧困を定義する
・貧困によって、子どもの生育環境がきまる。それにともない、機会の損失、可能性の制約が起こる。
・高齢者・若年層の社会保障だけでなく子どもの社会保障(教育)にも目を向ける必要がある。
・広い視野で見ると、日本社会全体の機能不全に原因がある。議論し尽くせない問題である。
※上記の【内容】は以下2つの章を中心に記載
第4章 追いつめられる母子世帯の子ども
第5章 学歴社会と子どもの貧困
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母子家庭でしかもワーキングプアに陥っている世帯が多いことはショッキングです。
僕は子育ての経験がありますが(0~5歳)、お金がかかるのもありますが、それ以上に『一緒にいる時間』を大事にしていたので、それはそれは大変です(笑)ノイローゼになるのも頷けます。
お金で解決するのって、簡単なんですよね。だから僕はあまり好きじゃないんですが、それよりも、労力(時間)を提供することの方が尊くて、子育てもお金をかければ良いというわけではなくて、子どもの両親が一緒に過ごしたり遊んだり、スキンシップをとったり、子どもにとっても、そっちの方が喜びます。
ですから、母子家庭に必要なのは、所得の向上もさることながら、『子育てする時間』も確保しなければなりません。お金は代わりがききますが、子どもにとって、親というのは基本的に代替が不可能です。
政府支出にみる教育費の国際比較で、どの国よりも日本は支出が低いというのは知っていましたし、この現状を打開しなければと思いますが、ではどこから財源を持ってくるのかが問題で、広い視点から判断しなければならないと思います。また、『他国に比べて日本は~』云々を言い出したら、それはもう日本ではなくなるし、社会背景や歴史・文化的要因が各国によって置かれている状況・立場が違うので、何でもかんでも『教育費の公的支出を欧米並みに』とか言い出したら、『煙草税も欧米並みに』、『消費税も欧米並みに』『法人税も欧米並みに』となり、高齢社会には対応できなくなります。乱暴な議論だけは避けてほしいです。
本書は所謂『ゴネ得』で子どもの貧困に警鐘を鳴らしているのではなく、あくまで冷静に日本の悪しき現状を直視して論じているので好感が持てます。
子どもと言わず、大人も貧困なんですよね。自分が貧困だから未来に投資できない。そうなると、必然的にこれから生まれてくるであろう命にまで負担を強いることになります。負の遺産の継承は何としても避けなければなりません。
子どもが暮らしやすい、子ども主体の社会にすることは、ともすると「大人は子どものための奴隷になれ」と社会で強制しているのでは?と疑問を抱かざるを得ません。自分の人生は自分のもであるはずだし、子どものために大人が犠牲になるのは納得(国民的合意)が得られるでしょうか?僕は、これにプラスして、「もっと多様なライフスタイルを認めるべき」だと思います。フリーターはダメ、ニートはダメ、というようなレッテルを貼るのではなく、そういった人たちを受け入れる社会の寛容さ、そしてすべての人の生活水準が向上するように、社会の構造や認識が変わっていくことを強く望みます。
怠け者が野放しになるのは問題ですが、全体の割合でみるとそう高くはないと思うので、さしあたっては、生活保護の不正受給による厳しい目や上記のフリーターやニートへの偏見を改善していくことが先決です。
これを通じて僕が言いたいことは、「選択の自由を確保すべき」ということです。自己責任論の強い風潮には賛同できませんし、そもそも格差の継承や海藻の固定化が組織の循環を滞らせている現状が大いににあります。大学まで進学すれば多様な仕事を選べる、しかし、中卒では仕事の選択肢が限られている、というような、機会の平等をもっと確保し、そして失敗しても再チャレンジ可能な社会につくりかえていく。そんな社会が理想だと思います。
「子どもの貧困」を考える時、それは子どもだけに限定されず、僕を含むすべての日本人に関わる問題です。政府はこのことをもっと真摯に受け止めて議論を深めてほしいと思います。
感想が支離滅裂ですが、色々と考えさせられる、内容の詰まった良書中の良書なので、僕の評価はSにします。
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再分配後の方が、前よりも貧困率が上がっているなんて全く知らなかった。
このバカげた不条理な状態を、国民は知らなければいけないし、子どもから金を頂いている国はもっと公表するべきだ。
私の場合、平成生まれの母子家庭育ちという、(といっても中学を卒業してから親が離婚しているので、まだ恵まれてるが)この本で書かれている当事者に近い立場なので、内容はとてもリアルに入ってきた。幼い頃から、衣食住にそんなに困る事もなく、物理的にはほとんど何も、不自由ない暮らしをしていた。教育もきちんと受けてきたし、絶対的貧困とは無縁の生活だ。実際に親や教師に、昔の日本と比べても、また今現在でも世界中で見ればかなり恵まれてる側なんだから、むしろ今の立場に感謝しなさい。苦労知らずのガキがちょっとした事ですぐに文句言ってきやがって、これだからゆとり世代は全く俺達の時代の頃はもっと今よりもっと今よりもっと今より(ry とか言われて育ってきたし、ついこの間までそれを言われても何も言い返せなく、一理あるなとも思っていた。高校の時から最新のケータイを持っているし、映画とか音楽とかもネットでタダで観たり聴いたりしてるし、図書館で本もタダで借りられるし、大多数の人が通う公立の学校で小中高と均一な教育も受けてきた。牛丼も安くで食える。この様に金がなくても結構快適な生活ができるインフラは整ってる。しかも日本は世界的にも格差が比較的小さい国だから、今いる階級からのジャンプも何だかんだいって難しくない様に感じる。(しかし、そのハンデ自体当然許してはいけないというのが本書の主張だ)
交流でいっても同世代なら、大体同じものを見て感じて育ってきているので会話に齟齬が生まれる事はあまりないと思うし、またSNSとかのコミュニケーションツールがかなり充実してるので、一人一人がつながっている距離もずっと近い。
しかし、だからこそ、相対的貧困をずっと近くに、よりリアルに感じる事になるんだと思う。皆同じ様に全裸のカッコで、一部の限られた豪族の馬鹿でかい古墳を作るのを手伝わされるという事よりも、隣の家が毎晩食卓を囲んで夕食を過ごしているという事の方が、とても生々しく格差を感じられる。
何度も言うが、ものに溢れて生きている現代人は、物理的には困っていない。でもその事によって自己責任論を展開し、精神的な部分をないがしろにするのは、やはり鈍いし無責任だと思う。めぐりめぐって富裕層にも影響が出るのだ。社会の為に人があるんじゃなく人の為に社会があるべきだ。人が生まれることと、また生まれた場所と時代を選べない以上やはり無視できない問題だと思う。
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少子化対策ではなく子ども対策が重要。
子どもの数を増やすだけではなく、幸せな子どもの数を増やす対策が必要と著者は言う。
貧困は教育の機会を奪い、それが就業の機会を奪ってしまう。
そうやって貧困の連鎖が続いていく。
子どもは社会の財産だという認識の下、すべての子どもが享受すべき最低限の生活と教育を社会が保障するようにならなくてはならない。
OECD加盟国の中で唯一日本が再分配後所得のほうが貧困率が増加する国、というのが非常に衝撃的。