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紙の本

幼き殺人者たちは本当に殺人者にならなくてはいけなかったのか

2008/12/18 08:04

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る

何百人という子どもを見てきて正直思うことがありました。
それは子どもという存在は、とても残酷で大人では考えつくことが難しい非情なことも、無邪気さという雰囲気をまとって行なっていることがあるということです。
実際、自分の子ども以外の子どもと密接に触れ合う機会というのは、そういう職業についていなければそうそうあることではありません。
子ども同士、親がいない時の会話にどれほど「死・殺す」という言葉が含まれているかご存じですか?
日常会話の中に小学生低学年から、ともすると幼稚園くらいの子どもでもこのような言葉が含まれていることに、私は慣れてしまいました。
親からの愛という眼鏡を無しに子どもを見てみたとき・・・この本を手に少し考えてみたいと思います。

大人と変わらない残酷姓。
そしてその犯罪にはきちんとした理由が無い、または理由をきちんと説明できていないことも多々あるようです。
わずかひと桁の年齢のまだ幼い子供によって行われている暴力的な行為、十代に入ると殺人を犯すケースも多く報告されています。
ではこれらのうち、周りの環境をもって抑えることのできた犯罪はどれくらいあるのでしょうか?
全11章から構成されるこちらの本の第6章以降は、メディア・家庭・学校・社会・刑罰の在り方などについて掘り下げられています。
子どもに与えている様々な影響のうち、これらのことは大人である私たちが考察することによって、改善することが可能な領域です。
ひとつメディアの章をみてみると、子どもむけの漫画・ゲームには思ってもいないほどの暴力シーンが盛り込まれていました。
愛と友情のために「何かと戦う」。
恐怖を克服するために「何かと戦う」。
自分の大切なものを守るために「何かと戦う」。
このように、反復的に何度も何度も戦うシーンを見てなにを学習させているのか?
そこから何を得ているのか?
無防備に情報を入れ込んでしまう子どもは、テレビで見たプラスチックの銃を何にむけるのでしょう。
数百万ドルをつぎ込んだ最先端テクノロジーを使った実験では、暴力的的なゲーム好きの子どもの脳には脳機能障害、及び損傷がみられたとあります。
「メディアは殺人者を育てるか?」
この章は子どもを静かにさせるためにテレビを無制限で与えている現状を危惧する、とても興味深い章です。

現在、子どもを取り巻く環境は決して良いものだといえないと思います。
刑事罰適用は日本で16歳から14歳へと引き下げられました。
それは子ども自身のせいなのか、それとも私たち大人が作り出した環境のせいなのか。
多くのことを考えるきっかけを与えてくれるとても重い一冊でした。

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