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『虐殺器官』その後の世界、だけどこの作品単体でも十分に面白い。世界的スケールで語られるが、結局どこまでもミニマムな、それゆえに引き込まれる世界。
内容について語ろうとすると、何を話すにしてもネタバレになってしまいそうなほど、その独自性が面白い。開いてみてのお楽しみ!状態でぜひおすすめしたい作品。だまされたと思って読んでみると、うっかりすっかり夢中になって、だまされた!と思う…かも。
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一部で百合だという話が出回ってるようですが、「お優しい世界への反逆として自殺を試みる少女たち」が冒頭なだけであって、はっきりいって百合ではないのでそっち方面期待しないほうがいいです。
不健康なまでに健康と思いやりを押し付けられる世界。全体にわたって病院のイメージしかなかった。
体に悪いものだけじゃなく青少年の健全な発育に、精神の健康に良くないものすべても規制されている。
そんな真綿で首を絞めるような、押しつけがましい優しさと思いやりと健全と健康に人間が管理されている世界。
ナウシカとかエヴァとかルー・ガルーとか既に色々見ちゃってるので然程新しい!とは思わないかな。
「大災禍の後の人類」とか「管理される人類」をもっと突き詰めるとこうなる、という感じ?
SFあまりよまないからSFとしてどうなのかは分からないけど面白かった。
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何度でも読みたい。買わざるをえねぇ。
虐殺器官で世界が崩壊するギリギリまで行った大混乱時代、その後。
医療が進歩して老衰と外傷以外で人が死ななくなった世界で。
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ストーリーは面白かったのですが、キャラクタに共感できず、物語に入り込めなかった。
人間の進化の先が集合体となることなんだと思うと、それに抗いたい気持ちになるのは同感なのに、何ででしょう。
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In This Twilight
「もう二度と会うことはないでしょう」
思ったより優しい話でちょっと驚いた。もっとドライで冷酷な話かと。
友情の弔いというかなんだ、すごく個人的な話。一種の人類の終わりに直面したなかで、ある個人的なお別れについて。
誰が何のために物語ってるのか、に綺麗に落としこまれるのは虐殺機器官と同じ。そこが一番好きかも知れない。
ハーモニー→虐殺、で読んでよかった。たぶん同じ世界。時系列は逆だけど、その方が。
とにかく文章が自分にとってとてもよくて、読んでいる時が一番楽しい、読み終わりたくない部類の小説だった。
なんか余白というか、もっと書き込んでくれても、もっと長くてもよかったのに、という印象があったけれども、それで淋しさ、個人的な空気が出てるのか。淡々と。
空気とか健康よりも、意識のくだりをものすごく面白く読んだ。
でもたぶん飲み込めていない部分が多すぎるので、再読したい。
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体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、老い以外で死ぬことがなくなった世界。
人々の健康は中央で管理され、肥満もアル中もニコ中も存在できない。
そんな真綿で首を絞めるような世界に反抗するため、餓死を試みる3人の少女。
2人は失敗し、ミァハだけが死んだ・・・。
どこかで読みましたが、「老い以外で死ぬことのない世界」をがんの闘病中に描いていた作者。
こんな世界で生きられたら、作者もがんで苦しむことはなかったと思うが、しかし作者はこのユートピアを批判的に書く。
少女が主人公のせいか、前半はやや甘ったるく、読み進めるのに時間がかかったが、後半の究極のユートピアを目指すあたりはいろいろ考えさせられて面白かった。
人生にはいろいろな選択肢があり、また物事が上手くいかないときは「他の動物のように本能だけで生きられたらいいのに」と思うときがある。
ままならない人生と、何も考えなくていい人生とどっちがいい?と聞かれたら、やっぱりままならない人生を選ぶんだろうなあ。
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節々に詰まっているアイディアは、元ネタが分かったりするとニヤリとする。
既に鬼籍の方なので叶わぬ願いだが、「今までになかった兵器を巡って右往左往」というプロット以外の作品も読みたかった。
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伊藤計劃記録を読んでると既読のネタがいくつか。「ユートピア」に対する閉塞感と絶望感はまさに現代SF。主人公の決断があくまでも「わたし」に終わるところがなんとなくセカイ系っぽくて好き。そして相変わらず小道具が魅力的。
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この本を読む前に、虐殺器官、メタルギアソリッドを読みましたが、共通点のようなものが感じられる作品です。
内容としては、健康まで外部委託という形で管理される社会。
そんな究極の監視社会の中に、異分子ともいえる少女がいた。
その少女と同級生であった主人公が、そんな社会と対峙するといった内容で、考えさせられる内容です。
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面白い構造の世界観だった。ちょっと狭いなという気はするが。
この書き方は他にないな…だめな人はだめかもしれないけど,私は結構気に入った。
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ナノマシンを体内に取り込み、身体の状態をすべてモニタリングし、あらゆる病を駆逐した社会。
そこは、社会のシステム全体が完璧な調和(ハーモニー)を目指し、「優しさ」を強制する世界でもあった。
あらゆることが社会というシステムから与えられるようになると、すべての行動は自明となり、「意識」がなくても人は社会生活を続けることができる…という意識論は、自然には合理的存在にはなりきれない人間の限界を示しているようにも思えます。
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SFとしては凡庸な内容に思われた。
登場人物の何もかもが、すでにある感じ。
個人的に一番印象に残ったのは、集団自殺(もしくは人殺し)を強制されないのが、私たちが今生きる現実世界で、紛争地域と言われる場所に住む人々だったこと。
著者の問題意識(と言っていいのかな?)が窺える設定だなあ、と思った。
「虐殺器官」もぜひ読んでみたい。
心よりご冥福をお祈りいたします。
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無駄の少ない文章と時折顔を覗かせる笑いを誘う皮肉な表現は健在。htmlタグを彷彿とさせる架空のマークアップ言語を用いての表現は世界観形成に一役買ってたし何より斬新で面白い。
だけど、物語の構成は一本調子で虐殺器官からの進歩はあまり見られないように思える。
世界を取り巻くSF的設定や合間合間に挟まれる思想主張薀蓄などなどは興味をそそられるし退屈しないのだけど、話の骨組みにはどこかで見たような使い古された感を覚えた。
これからそういった課題を乗り越えて作家として成長して行く様を見てみたかったよ本当に……。
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続きものではないが設定として『虐殺器官』後の世界。SFだけど、SFファン以外の人にも読んでもらいたい一冊。驚愕のラストにゾッとする。
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病気がほぼ消滅した健康第一主義の世界に抵抗するため、餓死を試みた三人の少女が大人になってからの話。展開に二転・三転と驚きがあり、読んでいて緊張感がある。一人称で書かれたシュールな文章も比較的読みやすい文体で、結末もよくできている。頻繁に出てくるhtmlのような英語が気にならなければオススメしたい。星5つつけたかったが、ラスト付近で登場人物の立場に若干都合のよさを感じたため、「限りなく5個に近い4個」。作者が亡くなられる前の病床でこれを書いたというのが皮肉めいている。