投稿元:
レビューを見る
円居晩「解人待メモワール」、森川智喜「ゴーストスクール」が目的。
以下、ネタバレ兼自分用メモ感想
円居晩「解人待メモワール」
事故で前向性健忘になってしまった手塚月華のため、医師と面談する東雲だが……
今回は朽ち紅のルージュのお仕事。「人をだまくらかして呪いにかけるのが本業なのに、謎を解」く話。
さすが円居晩、事件の内容をころころ転がしてみせてくる。読者が状況をきちんと把握できる記述で提示しながら、納得できる形で矛盾点を指摘しそこから新たなフェーズへひっぱっていく。
記憶障害から、事故ではなく心中という告白、それを聞いていた手塚が雪華の方だったという事実に、心中に見せかけた計画殺人をする純粋なエゴイズム、前向性健忘の発覚、最後の抵抗を雪華の好意を武器に切り返し、「記憶の解人(ときびと)はもう、あらわれやしないのさ」。「アデュー(さようなら)」。
また、読み終わったあともう一度見ると「そういうことだったのか」となる筆力。「フェアに喋る」を徹底してるルージュも見どころ。
あと気になったのは「たつきのためにはしょうがない」。ひらがなで「たつき」はわざとかしら。丸太町のネタバレ回避のため?
それと「落ちた花を活けるような真似」、どっちなんだろ
森川智喜「ゴーストスクール 名探偵三途川理と長い長いお別れ」
今回の主役は緋山炎と沼村雨彦および三途川理。
炎は私立探偵。三途川は「かつて「緋山燃に並ぶ名探偵」と謳われた男--名探偵三途川理」。
森川智喜がどういうとこで私立探偵にしてどういうとこで名探偵にするのかいまいち把握できないでいる……「名探偵はこの世界で最高にして至高の存在」らしいが。
直後に私立探偵緋山燃って記述もあるし、単純に職業の話をするときは私立探偵なのかな。事件を解決するという信頼感を持つものが名探偵?
冒頭から幽霊話。この後にもきちんと要点が並べられているがここでもうきちんと特殊設定のルールの提示がなされている。
メインの本体と生贄の入れ違いはシンプルにきれい。読者の目を自転車からそらす展開のつなげ方もすごい。
幽霊を除霊できる幽霊ってポジションも面白い。
緋山燃はメール一言の出番だが、単行本以上に舞台装置感が強い。
今回の名言:「なんだ、そのぐらい」「ド畜生!」