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しばらく前に読み終わっていたものを久しぶりに発掘した。
本の内容ではないが、筆者の背景から・・・
筆者は鹿児島に住むものなら知らない者はいない岩崎産業グループの3代目社長。
交通・宿泊・酒造など多くの事業を抱えており、この会社なくしては鹿児島はどうなるかわからない。それほど鹿児島地域を支える会社。
初代社長の岩崎與八郎は先見の明があり、戦後に屋久島などの木材を運搬し事業を拡大。その後は交通事業参入の他、リゾートの時代が来ると読み、指宿にリゾートホテルの建設を行い巨万の富を得た。
岩崎の名前だったのでGHQに「お前三菱財閥の岩崎関係者だろ」と指摘されたと聞いたこともある。二代目は世界の富豪100位以内に選ばれるほど。そんな家庭の3代目社長。
鹿児島の村社会の強さなどを思い知らされる一冊。
そしてそれに挑む三代目社長は公的な判断で語ってもらおうと訴訟型企業をもって対抗する。
途中は運輸局などとも意見の違いから訴訟をおこす。ところどころに日本の地方自治に対する過激な意見があり、面白い視点で描かれる。
最後の章にはリーダー不在が地方を殺すとあり、3代目社長としての重圧に耐えながらも地方の在り様・会社経営者の在り様を説いている。
企業規模の大きさから自らの信念をもって動かなければならなかったのが見て取れる。時に過激だと感じられるところもある書籍。
地方企業のTOPが書いた書籍であり、地域特性の中での経営者目線を垣間見ることができた。