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農民栄えて農業滅ぶ。農本主義の神話を悪用して日本国民を愚弄するNO狂と志を失った農水官僚、農水族に任せておくと日本の農業は本当に滅んでしまう。そしたら食料は100%輸入に頼るしかない。食料危機が起きたらみんな餓えて枕を並べて討ち死にだ。それも、まあ人生だわな(笑
2009/06/03 21:16
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投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の農業を巡る議論には不思議なことが山ほどある。
「食料自給率が40%を切った。大変だ」という危機感を煽る報道が相次ぐ。聞けばコメの自給率は100%を超えているという。んなら水田を潰し、自給率が低い大豆、小麦、とうもろこしの増産を図るのが自給率を向上させる唯一の政策だと思うのだが、そんな話はちっとも議論されない。出てくるのはコメの話ばかりで「コメは一粒たりとも入れない」という自由貿易に反する話ばかりだ。しまいには石破農林水産大臣まで「おめーら、パンなんか食うな。肉なんか食うな。コメ食え」と叫びだした。
日本の農村風景も変だ。欧州を旅行すればすぐ分かることだが、欧州では農地と市街地の区分けがはっきりしている。都市は都市として整備されているが、一歩そこから抜けると延々と農地が続き、人家はまばらとなる。農地には人がほとんど住んでいない。いけどもいけども緑の丘が延々と続き、たまに森が現れ人家が散見されると、また延々と農地が続く。これが彼の地では当たり前の光景なのだ。日本は違う。東海道新幹線に乗ってみたまえ。田んぼ、畑、ビニールハウスが見えたと思ったら、倉庫、工場、人家と来て、また、田んぼ、畑、ビニールハウス、倉庫、工場、人家という光景が東京から名古屋まで延々と続くのだ。こういうのを国土の均衡ある発展というのだろうが、これだけ農地が細切れで誘致された工場が各地に分散配置されていれば、均衡ではあるだろうが、とても効率的とはいえないことが一目でわかる。
どうしてこんなことが起きるのか。その理由が本書に嫌になるくらい明瞭に書いてある。
戦後、農地改革という革命に近い農業政策で戦前の百姓の生活は一変した。それまで、ただの小作人として働かされていた農業労働者たちが、ほとんど只同然(10アールの農地が長靴一足程度の値段だったそうな)で農地を地主から払い下げてもらったんだから。これに戦後の高度経済成長が被さる。戦前、今の、大宮や川越といえば「蚤虱馬が尿する枕元」という芭蕉の句を地でいく寒村だった。当時都内の富裕な内科医の子として生まれ、当時としては珍しい自家用車で川越あたりをドライブした祖父江孝は車から降り立った洋装の母親のそばを顔を黒く汚し鼻から鼻水を垂らした裸足の農家の子供たちが何十にも取り巻いて、一言もはっせずずっと凝視している様をみて「私の母親は、まるで月面に降り立った宇宙飛行士のようだった」と表現している。戦前の東京の中産階級と農村部の貧農の間には、これだけの経済格差があった。しかし戦後、この状況は一変する。只同然で農地を手にし、今や土地成金に変身したかつての水のみ百姓達は困窮から脱出し、小金を手にした途端、農業に興味を失い拝金主義の虜となる。奴らは二言目には「先祖伝来の土地」と嘯くが、なーに戦前から自作農で地所を保有していたものなんてほとんどいない。
土地成金と化した百姓どもはあろう事か農業を蔑み侮蔑して農業外収入の獲得に勤しむようになる。これに農協がどういう態度をとったか。農協が何より重視したのは己の組織の利益であり、農協という組織を守るための政治的発言力の拡大であった。政治においては常に数は力である。農業を強くするということはやる気のある農家を選別し、そこへ農地を集約することを意味するが、こんなことをしては農家の絶対数が減少し、農協の売り上げも減り、農協の政治力も無くなる。日本の農業が強くなることは農協の利益に反したのだ。だから農協は戦後一貫してやる気のある能力のある農家の頭を押さえつけ、やる気もなければ能力もないが数だけは多い農業に半ば興味を失った兼業農家中心主義を取り続ける。農業に関心を失った兼業農家の最大の関心事は農地を如何に高値で売る抜けるかに集中するが、その不動産売却益は丸々農協に預金されこれが農林中金を中核とする農協金融のパワーとなって、むしろ農協のパワー増大につながった。だから農協は農地の転売を抑制するどころか、むしろ煽った。
これには地方地自体は地方議員も一枚かんでいる。評価の低い(固定資産税が取り難い)農地のままにしておくより、これを工場にするなりスーパーにしたほうが地方としては税金が沢山取れるのだ。だから地方は丸ごと農地転用に加担し、日本全体の財産である農地を次々と潰していったのである。
兼業農家が田んぼに出るのは週末のみだ。だから兼業農家の農業は農薬漬け、化学肥料漬けとなる。ここでも農協は莫大な利益をあげる。なんと農協経由の肥料の仕入れ値は同じ肥料メーカーが設定した輸出向け価格の3倍にも達したという。やる気の無い農家に法外な肥料を売りつけて、それでも農協がやっていけたのは国際価格の数倍の値段で米を日本を消費者に売りつけていたからだ。でも、こんなことが長く続くはずが無い。
農業にとって最も重要なのは農地であり、食料自給率を高めるには農地を確保することが何よりも重要であるはずだ。しかし戦後農協は一貫して農地の減反政策を主張してきた。米の需要が減少する中で、高い米価格を維持するためには耕作面積を減らすことが絶対に必要と農協は主張した。だから日本では農地はどんどん減少している。日本では農業に欠くことのできない農地が、それこそ農民自身の手によってどんどん処分され、転売され、耕作放棄されているのだ。1961年に609万ヘクタールあった農地は今や463万ヘクタール。その間、莫大な予算をつぎ込んで新たに造成した農地を差し引くと、実に260万ヘクタールもの農地が転売され農地ではなくなっているのだ。また現在の耕作放棄地は東京都の面積の約2倍の39万ヘクタールにも上るという。
言うまでも無いことだが、農地というものは農民だけのものではない。食糧増産、食糧安全保障という国民全体の利益があるからこそ、日本で農地や農業は様々な保護(税制他)を受けているのだ。だから本書が言う通り「長野県の農地は長野の百姓だけの私有財産ではなく、東京都民の財産でもある」のである
もう百姓のゴーツクをこれ以上許すことは出来ない。このままでは農村はどんどん衰退し、農地はどんどん転用され、日本の農業は本当に死んでしまう。農協の言うがままに任せておくと日本では「農民栄えて農業滅ぶ」という事態が数十年内に現実のものとなろう。こうならない為には減反政策を即刻放棄し、農地の転用規制を厳格化し、米を大増産して米価を暴落させ、価格効果で国内の米需要を喚起しつつ、国際市場で十分競争できる水準まで米価格を下げた上で海外に日本の米を輸出することで食の安全保障と日本農業の再生という二兎を同時に追えというのが本書の主張だ。
本書を読んで我が意を得たりと思った私は早速本書の内容を農林水産省の幹部にぶつけてみた。その答えが振るっている。「日本では天平の昔から墾田永年私財の法というのがあって、農地規制強化なんか出来ないんだよ」。私は本書が言う通り農林水産省は既に経済官庁としては完全にその機能をストップし思考能力を失っていると実感した。
本書の一語一語が、まるで弾丸のように読み手に迫ってくる。本書を日本の農業に関心をもつ全ての読書人に捧げる。
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え?こんど農業するってえ?やめときなさい
2009/06/04 20:52
17人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:武井啓蔵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近胡散臭い「煽り」がマスコミ経由垂れ流されている。いわく「定年後、帰農して農民になりましょう」「田舎に住みましょう」「渋谷系ギャル、稲作に転ず。秋には渋谷米を収穫、販売へ」
おいおい、気は確かか。農業って、そんな簡単なもんなんか。
確かに「稲作は簡単」のようだ。だって農民の80%近くを占める兼業農家だって、週末しか農業していないのだから。
でも、作業が楽なのと、ビジネスとして儲かるのは別の話。
本書いわく、日本の農業(コメ作も、リンゴも、みかんも全部ひっくるめて)の売り上げは8.5兆円(2006年)。これはパナソニックの売上9.1兆円にも及ばない。でもパナソニックの従業員は30万人なのに、日本の百姓=農協の組合員は500万人もいる。これじゃあ、農業に新規参入したって儲かるはずがない。だって日本の農業人口は多すぎるのだからと山下さんは言う。
どうしてこういう馬鹿な言説が巷にあふれるのか。その根底に「農本主義の神話」があると山下さんはいう。農本主義が日本人から農業に関する合理的な判断を奪い、その目を狂わせているのかもしれない。そういえば、昔、日本人は農耕民族でコメを主食とする日本人の小腸は欧米人のより長いなどと言って世界中から笑いものにされた羽田孜などという馬鹿な大臣もいたっけ。しかし昭和の頃から東畑精一、東畑四郎、柳田國男、和田博雄らの農業経済学者は「農本主義の亡霊に捕らわれている限り、日本の農業に明日はない。農業は神事でも祭事でもない。農業は鉄鋼業や造船業と同じ産業なのだ」と戒めていた。
だから諸君、夢夢シブヤ系ギャルに釣られて「ボクもワタクシも農業でもして見よっかな」なんてバカな妄想にとらわれてはいけない。日本では政府を食い物にし、都会に生きるサラリーマンを食い物にする吸血鬼のようなノーミンが、まだまだ多すぎるのだ。ノーミンの数を現在の10分の1以下に激減させ、彼らノーミンの生産性を劇的に向上させない限り、日本の農業に明日はないのである。農業が滅んだって、なーに大したことはない。シンガポールを見よ。彼らは端から食料の自給自足など諦めている。それに農業国は、農産物を輸出しないと生きていけないのだ。だから、そう心配することはない。安易なノーキョーの脅しに屈する必要はない。え、それでも世界的な食糧危機が起きたらどうするのかって。そんときは、そんときよ。我ら日本人、枕を並べて堂々と飢え死にしようじゃないか。ぐわーっはっはっはあのっはっはっは。
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本屋で偶然見つけた本。
農業関係者としては一読したいと思うタイトル。
一読したが、バイト先に忘れてきたので、詳細は後ほど。
↓↓↓
著者の曲解・誤解もあるが、まぁそれ程外れていない。
農協界以外の農協批判の「言説」を丁寧に説明している。
でも、農水省の元官僚であり研究者であれば、もう少しきちんと精査・調査して記して欲しかった。
「政官財のトライアングル」の最たるものであることは筆者も認めることではあるが…
ただ一言申しておきたいのは、全国段階と地域段階では考え方が違う、ということ。
(そう、官僚制は悪いが、中には良い官僚がいる、というロジックと同じです。)
筆者の感じるところでは、全国段階と地域段階とで考え方のギャップが非常に大きくなってきた。
要は組織討議がうまく機能していない(理由は十分な討議ができない締切日と、親切心のない資料作りが大きい)。
「回答ありき」という感が否めないのだ。
それと、農林族の先生方。もう少し現場を見て回って欲しい。
19年産米の過剰米処理と緊急対策。
現場を混乱させるだけだったような気がする。
でも、よくもまぁ、あんなにお金があるものです(20年産の緊急対策もありますが…)。
書きたいことはたくさんありますが、評していることにならなくので、ここまで。
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著者は元農林水産省の高官で通商問題にも精通していることから高名は度々耳にしてきた。
ただ、著作に触れ合う機会が少ないこともあり氏の思想を掴み損ねていた。今回は日本の農業、農政の問題点に関してその構造を曝すことによって解き明かしていこうというものである。農協=農林族=農水省、というトライアングルの構造が本来強化すべき日本の農業をいかに衰退化させてきたかという点を告発するのがその主な論点である。特に戦後の食管法の根幹という名分が如何にして歪曲され、農業基本法の理想がいつの間にか曲げられてきたかを、その際たる政策としての減反政策を具体的に取り上げて明らかにしようとしている。
本著を通しても感じたことだが、農業の問題となるとちまたにはいかに神話的、又は根拠に乏しい主張がその問題を語る際に大きな論点としてクローズアップされているかという点を考える必要がある。特に自由貿易と農業の保護に関しては様々な主張が飛び交う訳だが、その論点に以前から違和感を感じる人も少なからずいたはずである。本著はそのような違和感を明瞭に示してくれるものでもあると言える。
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経済危機が深刻さを増してゆく中、雇用の受け皿や
ライフスタイルの一つとして最近、農業が注目を集めている。
しかし、現在の日本の農業は大きな危機に瀕している、と筆者は警告する。
低迷する自給率に農村の高齢化、過剰投資、高い参入障壁…
等々難問は山積している。
本書では、昨年、日本中を大きくにぎわせた汚染米を糸口に、
戦後の農政の抱える構造問題を紐解いていくことで、
日本の農業にとって何が桎梏となっているのか、を明らかにする。
繰り返しが多く、決して読みやすい本ではないが、短時間で
日本農政の抱える問題の構造を概観するには、最適の一冊だと思う。
T.Yamada
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平時はアメリカから小麦を輸入しながら、米を輸出する。外国からの輸入が途絶えたときには輸出にまわしていた米を食べるのだ。これがどこの国でもやっている食糧安全保障策である
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200911/「汚染米横流し事件」の背景/保護なしでは「GDPゼロ%」の日本農業/誰が日本の農業を衰退させたのか?/農協の台頭と「大罪」/農政トライアングルとは何か?/農協・農林族議員・農水省の「壁」/揺らぐ農協/農政が脅かす「食料安全保障」/強い農業を築くためにするべきこと//WTOは高関税を認める際、代償としてミニマムアクセスという低関税の輸入枠を提供させる⇒ミニマムアクセス米は政府で長期間保管⇒汚染米の原因/GDPに占める農業の割合は1%なのに、日本の成人人口の10%が農協職員・組合員・准組合員/通常農業は労働力の通年平準化が困難だが、中産間地域では標高差などを利用すれば、田植えと稲刈りにそれぞれ2~3ヶ月かけられる/減反がなければ1俵9500円で買える米に消費者は15000円を支払っている/国家がその存立によりて代表し、かつ利益を防衛すべき人民は、現時に生存するもののみにはあらず、後世万々年の間に出産すべき国民も、また之と共に集合して国家を構成するものなればなり(柳田國男)/農業団体が食料自給率向上を叫ぶ欺瞞/畑に花を植えることは食料自給率向上には貢献しないが、農地資源を確保できるので食料安全保障に貢献する。しかし花農家に農業保護政策はない/「水資源大国」だから発展した日本の工業/
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汚染米発生の根本的な原因は「高米価」「減反政策」
「高米価→高関税→ミニマムアクセス(輸入米)→汚染米」
国産米:60キログラムあたり1万4000円⇔輸入されている中国産米:1万円
ミニマムアクセス米がなくなれば、汚染米は発生しない
それどころか国産米の価格は輸入米を下回るので輸出できるようにもなる
経済原理から外れて高米価政策に転換した農政に対して、
皮肉にも多数の農家は米単作兼業という経済原理に即した対応を取った。
「高米価」「兼業」「農地転用によるキャピタルゲイン」
農協(JA)
食管制度の下、政府に対する米の供出期間として活用するために、
戦前の統制団体を改組してくくった食管制度のもとで
高米価の実現→農協の販売手数料の増加→農家が高い肥料・農薬を購入可能
米代金は農協の口座経由で支払い→農家の諸経費を除いた余剰金(農地転売費用)は農協の預金となる
農業が衰退する中で、農協は食管制度や農地制度を利用しながら順調に成長
(途中)
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や~、本当に酷い、政治の力学ってこうなると悲惨。というのが率直な感想。
食糧問題だけでなく、環境問題、土地問題、など関連分野が広いだけにこれまでの政策の取り返しのつかなさが悔やまれる。
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農家ための農協であるはずが、組織維持のために利益確保を優先し、農家を苦しめ、農業を衰退させているという話。
この本では、農協によって及ぼされる悪影響として「ミニマムアクセス米」「減反政策」「政治家、官僚との悪の三角関係」の3つが大きく取り上げられている。
これだけ好き放題していてなぜ誰からも非難されずに長年組織を継続してこれたかというと、莫大な組織票をバックにした政治家への圧力がすべての原因だと著者は主張している。
この問題の根は深く、少人数で改革しようとしても農協につぶされてしまうということが多々あったという。
しかし、最近では明るい光も少しずつ見えてきている。
農協の組合員の大幅な減少、サブプライムによる影響から農協事業の根幹である金融事業での大損失、農協に否定的な世論の増加によって少しずつ政治への影響力が低下してきているらしい。そしてJA農協とは別の農協を自分たちで立ち上げて運営しながら農業をしている農家たちも少しずつではあるが出てきている。
日本の農業を復活させるためにも農協とは切り離した農政を早く行えるようになってほしい。一日でも早くその日が来ることを望む。
◆memo
農協は売上を上げるたもに米を高く売りたいので、高い関税を維持したい。その代償としてミニマムアクセス米と呼ばれる輸入米(米について関税化の特例措置をとって輸入制限を維持した代償として、また、その後の 99年に関税化に移行し、輸入禁止的な778%という高い関税を設定したことの代償として、日本が消費量の8%に当たる77万トンを低い関税率で輸入すると、WTOに約束しているもの)を大量に輸入している
保管費用と売却損益を合わせると、95年度から06年度までで、716億円の財政負担がかかっている
政府はミニマムアクセスをさらに消費量の5%上乗せし、120万トン以上に拡大する方向で交渉を進めている
工業用の糊として売却するとトン当たり1万円程度だが、焼酎、あられ、せんべいなどの加工用途だと7万円、食用なら25万円から35万円で売却できる。横流しすると必ず儲かる
GDPに占める農業の割合は1%にすぎないのに、日本の成人人口の1割が農協の職員、組合員、准組合員ということになる―OECDが計測した日本の農業保護額は、農業のGDPとほぼ同じである。つまり、保護がなければ、日本の農業のGDPはゼロとなってしまう
20ヘクタール以上の米作農家の平均農業所得は1200万円を越えている
農協の融資に占める農業への融資の割合は60年代までは50%を越えていたが、70年代以降急速に減少し、2007年代3月末では、わずか6%に低下した
農協はその組織維持のためには、農家戸数を維持する必要がある。多数は兼業農家なので、専業農家の利益よりも、兼業農家の利益および兼業農家戸数の維持が組織活動の大目的となる。与党政治家にとっても、自らの生計を維持するためには、農民票を獲得して選挙で勝つことが大目的である。農水省にとっても、農業存続に必要な予算を獲得するためには、政治力を発揮することが必要となり、与党政治家、農協、根元的には農家に依存することになる
食料自給率を40%から100%にするためには、今ある農地を4倍にしなければならない
日本の取水量は300ミリで世界平均の6倍(世界平均の6倍)
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元官僚が書いた告発書です。
1)日本の農政はスローガンばかりが幅を利かせ
実務が伴わない。
2)米価が政治問題化しすぎ。
3)農協+農林族(政治家)+農水省
のトライアングルが自分たちの利権だけを考えている。
「農協栄えて、農業滅ぶ」
よくぞ、タブーに触れて書いてくれたという思いと
いっぽうで単なるガス抜きじゃないかという失望と
いろんな思いが交錯します。
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農政をめぐるアクター間(官僚・政治家・農協)がどのように関係しているかについて見えてくる。農業の構造についての理解も得られるので問題意識がある方は読むといいと思います。
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採点的には星3つと4つの間くらいなんだけど、そんな点数つけられないのでとりあえず3つ。
とはいえ内容的には実にシンプルに現在の農政が抱える問題点を示していて、手っ取り早く知るには良い本。でもその問題点をどうやって解決するの?ってことには全然思慮が足りてないので、そこが今後の問題なんだろうなぁと。まあ新書でそこまで求めるのは酷というものではあるけれど。
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・水は貴重な資源
→豊富な水資源により日本は発展した
・農地確保は安全保障上必要
・水田は米を作る以外に洪水防止等の機能がある
・日本は米の輸出国になれる
・専門農協の設立を支援すべき
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いわゆるJAとそれを取り巻く環境、政治、癒着などの問題を指摘。
元官僚だけあって、内情にもくわしい。
ただ、中盤の政治問題の中だるみは半端じゃなかった。
時系列で、色んな面から記述しようとしているのだが、如何せんくどかった。
一方で、その前後の説明はかなり分かりやすかった。
農家の1戸1票を守るために、専業農家に手厚い保護を行う、JAと農水省の関係などはしっかり理解できた。
最後の方の、食料自給率の必要性とその対応策も不覚にも納得してしまった。
減反政策の矛盾、関税の必要性、意味のある戸別補償なども説得力があった。
新書にしては内容が濃く、もっと知識がついてからもう一度読みなおしてもいいかも知れない。