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農協の大罪 「農政トライアングル」が招く日本の食糧不安 みんなのレビュー

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みんなのレビュー47件

みんなの評価3.8

評価内訳

47 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

農民栄えて農業滅ぶ。農本主義の神話を悪用して日本国民を愚弄するNO狂と志を失った農水官僚、農水族に任せておくと日本の農業は本当に滅んでしまう。そしたら食料は100%輸入に頼るしかない。食料危機が起きたらみんな餓えて枕を並べて討ち死にだ。それも、まあ人生だわな(笑

2009/06/03 21:16

21人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本の農業を巡る議論には不思議なことが山ほどある。

「食料自給率が40%を切った。大変だ」という危機感を煽る報道が相次ぐ。聞けばコメの自給率は100%を超えているという。んなら水田を潰し、自給率が低い大豆、小麦、とうもろこしの増産を図るのが自給率を向上させる唯一の政策だと思うのだが、そんな話はちっとも議論されない。出てくるのはコメの話ばかりで「コメは一粒たりとも入れない」という自由貿易に反する話ばかりだ。しまいには石破農林水産大臣まで「おめーら、パンなんか食うな。肉なんか食うな。コメ食え」と叫びだした。

日本の農村風景も変だ。欧州を旅行すればすぐ分かることだが、欧州では農地と市街地の区分けがはっきりしている。都市は都市として整備されているが、一歩そこから抜けると延々と農地が続き、人家はまばらとなる。農地には人がほとんど住んでいない。いけどもいけども緑の丘が延々と続き、たまに森が現れ人家が散見されると、また延々と農地が続く。これが彼の地では当たり前の光景なのだ。日本は違う。東海道新幹線に乗ってみたまえ。田んぼ、畑、ビニールハウスが見えたと思ったら、倉庫、工場、人家と来て、また、田んぼ、畑、ビニールハウス、倉庫、工場、人家という光景が東京から名古屋まで延々と続くのだ。こういうのを国土の均衡ある発展というのだろうが、これだけ農地が細切れで誘致された工場が各地に分散配置されていれば、均衡ではあるだろうが、とても効率的とはいえないことが一目でわかる。

どうしてこんなことが起きるのか。その理由が本書に嫌になるくらい明瞭に書いてある。

戦後、農地改革という革命に近い農業政策で戦前の百姓の生活は一変した。それまで、ただの小作人として働かされていた農業労働者たちが、ほとんど只同然(10アールの農地が長靴一足程度の値段だったそうな)で農地を地主から払い下げてもらったんだから。これに戦後の高度経済成長が被さる。戦前、今の、大宮や川越といえば「蚤虱馬が尿する枕元」という芭蕉の句を地でいく寒村だった。当時都内の富裕な内科医の子として生まれ、当時としては珍しい自家用車で川越あたりをドライブした祖父江孝は車から降り立った洋装の母親のそばを顔を黒く汚し鼻から鼻水を垂らした裸足の農家の子供たちが何十にも取り巻いて、一言もはっせずずっと凝視している様をみて「私の母親は、まるで月面に降り立った宇宙飛行士のようだった」と表現している。戦前の東京の中産階級と農村部の貧農の間には、これだけの経済格差があった。しかし戦後、この状況は一変する。只同然で農地を手にし、今や土地成金に変身したかつての水のみ百姓達は困窮から脱出し、小金を手にした途端、農業に興味を失い拝金主義の虜となる。奴らは二言目には「先祖伝来の土地」と嘯くが、なーに戦前から自作農で地所を保有していたものなんてほとんどいない。

土地成金と化した百姓どもはあろう事か農業を蔑み侮蔑して農業外収入の獲得に勤しむようになる。これに農協がどういう態度をとったか。農協が何より重視したのは己の組織の利益であり、農協という組織を守るための政治的発言力の拡大であった。政治においては常に数は力である。農業を強くするということはやる気のある農家を選別し、そこへ農地を集約することを意味するが、こんなことをしては農家の絶対数が減少し、農協の売り上げも減り、農協の政治力も無くなる。日本の農業が強くなることは農協の利益に反したのだ。だから農協は戦後一貫してやる気のある能力のある農家の頭を押さえつけ、やる気もなければ能力もないが数だけは多い農業に半ば興味を失った兼業農家中心主義を取り続ける。農業に関心を失った兼業農家の最大の関心事は農地を如何に高値で売る抜けるかに集中するが、その不動産売却益は丸々農協に預金されこれが農林中金を中核とする農協金融のパワーとなって、むしろ農協のパワー増大につながった。だから農協は農地の転売を抑制するどころか、むしろ煽った。

これには地方地自体は地方議員も一枚かんでいる。評価の低い(固定資産税が取り難い)農地のままにしておくより、これを工場にするなりスーパーにしたほうが地方としては税金が沢山取れるのだ。だから地方は丸ごと農地転用に加担し、日本全体の財産である農地を次々と潰していったのである。

兼業農家が田んぼに出るのは週末のみだ。だから兼業農家の農業は農薬漬け、化学肥料漬けとなる。ここでも農協は莫大な利益をあげる。なんと農協経由の肥料の仕入れ値は同じ肥料メーカーが設定した輸出向け価格の3倍にも達したという。やる気の無い農家に法外な肥料を売りつけて、それでも農協がやっていけたのは国際価格の数倍の値段で米を日本を消費者に売りつけていたからだ。でも、こんなことが長く続くはずが無い。

農業にとって最も重要なのは農地であり、食料自給率を高めるには農地を確保することが何よりも重要であるはずだ。しかし戦後農協は一貫して農地の減反政策を主張してきた。米の需要が減少する中で、高い米価格を維持するためには耕作面積を減らすことが絶対に必要と農協は主張した。だから日本では農地はどんどん減少している。日本では農業に欠くことのできない農地が、それこそ農民自身の手によってどんどん処分され、転売され、耕作放棄されているのだ。1961年に609万ヘクタールあった農地は今や463万ヘクタール。その間、莫大な予算をつぎ込んで新たに造成した農地を差し引くと、実に260万ヘクタールもの農地が転売され農地ではなくなっているのだ。また現在の耕作放棄地は東京都の面積の約2倍の39万ヘクタールにも上るという。

言うまでも無いことだが、農地というものは農民だけのものではない。食糧増産、食糧安全保障という国民全体の利益があるからこそ、日本で農地や農業は様々な保護(税制他)を受けているのだ。だから本書が言う通り「長野県の農地は長野の百姓だけの私有財産ではなく、東京都民の財産でもある」のである

もう百姓のゴーツクをこれ以上許すことは出来ない。このままでは農村はどんどん衰退し、農地はどんどん転用され、日本の農業は本当に死んでしまう。農協の言うがままに任せておくと日本では「農民栄えて農業滅ぶ」という事態が数十年内に現実のものとなろう。こうならない為には減反政策を即刻放棄し、農地の転用規制を厳格化し、米を大増産して米価を暴落させ、価格効果で国内の米需要を喚起しつつ、国際市場で十分競争できる水準まで米価格を下げた上で海外に日本の米を輸出することで食の安全保障と日本農業の再生という二兎を同時に追えというのが本書の主張だ。

本書を読んで我が意を得たりと思った私は早速本書の内容を農林水産省の幹部にぶつけてみた。その答えが振るっている。「日本では天平の昔から墾田永年私財の法というのがあって、農地規制強化なんか出来ないんだよ」。私は本書が言う通り農林水産省は既に経済官庁としては完全にその機能をストップし思考能力を失っていると実感した。

本書の一語一語が、まるで弾丸のように読み手に迫ってくる。本書を日本の農業に関心をもつ全ての読書人に捧げる。

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紙の本

え?こんど農業するってえ?やめときなさい

2009/06/04 20:52

17人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:武井啓蔵 - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近胡散臭い「煽り」がマスコミ経由垂れ流されている。いわく「定年後、帰農して農民になりましょう」「田舎に住みましょう」「渋谷系ギャル、稲作に転ず。秋には渋谷米を収穫、販売へ」

おいおい、気は確かか。農業って、そんな簡単なもんなんか。

確かに「稲作は簡単」のようだ。だって農民の80%近くを占める兼業農家だって、週末しか農業していないのだから。

でも、作業が楽なのと、ビジネスとして儲かるのは別の話。

本書いわく、日本の農業(コメ作も、リンゴも、みかんも全部ひっくるめて)の売り上げは8.5兆円(2006年)。これはパナソニックの売上9.1兆円にも及ばない。でもパナソニックの従業員は30万人なのに、日本の百姓=農協の組合員は500万人もいる。これじゃあ、農業に新規参入したって儲かるはずがない。だって日本の農業人口は多すぎるのだからと山下さんは言う。

どうしてこういう馬鹿な言説が巷にあふれるのか。その根底に「農本主義の神話」があると山下さんはいう。農本主義が日本人から農業に関する合理的な判断を奪い、その目を狂わせているのかもしれない。そういえば、昔、日本人は農耕民族でコメを主食とする日本人の小腸は欧米人のより長いなどと言って世界中から笑いものにされた羽田孜などという馬鹿な大臣もいたっけ。しかし昭和の頃から東畑精一、東畑四郎、柳田國男、和田博雄らの農業経済学者は「農本主義の亡霊に捕らわれている限り、日本の農業に明日はない。農業は神事でも祭事でもない。農業は鉄鋼業や造船業と同じ産業なのだ」と戒めていた。

だから諸君、夢夢シブヤ系ギャルに釣られて「ボクもワタクシも農業でもして見よっかな」なんてバカな妄想にとらわれてはいけない。日本では政府を食い物にし、都会に生きるサラリーマンを食い物にする吸血鬼のようなノーミンが、まだまだ多すぎるのだ。ノーミンの数を現在の10分の1以下に激減させ、彼らノーミンの生産性を劇的に向上させない限り、日本の農業に明日はないのである。農業が滅んだって、なーに大したことはない。シンガポールを見よ。彼らは端から食料の自給自足など諦めている。それに農業国は、農産物を輸出しないと生きていけないのだ。だから、そう心配することはない。安易なノーキョーの脅しに屈する必要はない。え、それでも世界的な食糧危機が起きたらどうするのかって。そんときは、そんときよ。我ら日本人、枕を並べて堂々と飢え死にしようじゃないか。ぐわーっはっはっはあのっはっはっは。

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2009/01/16 13:49

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