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現在では児童文学作家である上條さなえさんの幼い頃の生活と辛く悲しいながらも生命力に溢れていた日々が綴られています。子どもって、本当に逆境の中でも生きる力がみなぎっている美しい存在だなと改めて思いました。読んでいて、とても励まされる一冊です。
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著者は半世紀近くを経てこの自伝を書くことができたのだと思う。書く事によって再び生きることができるのだろう。書かねばならなかった著者の魂に生で触れたような気がした。この壮絶な経験を経てなお著者が今あるのは、やはり絶対的に信頼できる大人(姉や施設の先生)の存在と父と母へのゆるぎない愛があったからだろう。児童文学者の自伝は広く読まれることはないだろうが、この2冊はYA世代から老年世代までおすすめしたい作品。
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胸が締め付けられる思いがした。
貧困、ネグレクト、いじめ。
戦後すぐの話だが、これは、今の日本と同じではないか。
養護施設で同級生からいじめにあいながら、高潔に生きられたのは、先生、友達、妹のことを思いながら働いている姉の愛情、それに石川啄木という同志でありながら先生でもある作家のお陰だ。
わたしはこれを読んで、自分は今まで人間の何を見てきたんだ、と強く思った。
大切なのは見かけや地位などではない、人の悲しみに寄り添える心なのだ。それがすごく価値あるものだと感じさせてくれる本だった。