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ポトスライムの舟 みんなのレビュー

140(2008下半期)芥川賞 受賞作品

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みんなのレビュー240件

みんなの評価3.4

評価内訳

236 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

あぁ、社会の中の、とても大事な私

2009/02/03 21:16

16人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

『ミュージック・ブレスー・ユー!!』での野間文芸新人賞受賞に続いて、芥川賞をとった津村記久子さんは、いまのりにのった若手作家の一人と見て間違いないだろう。受賞作は、手放しで「明るい」といえるような作品ではないし、癒されたり、和んだりすることは(たぶん)あまりない。それでも、とても力強い。その力強さのエッセンスは、(たぶん)「私(自分)の肯定」にある。では、いわゆる「自分探し」や、単なる「自己顕示(欲)」とは違う、津村さんの書く力強さは何によるものなのだろう?

それは、社会が描かれているからだ。ただ社会が書かれているからというわけではなく、私と関わりを持つ社会が書かれているのだ。もう少し正確を期していえば、私は「社会の中の私」として捉えられ、その切り結びにおいて、「私(自分)の肯定」が地道に、しかしねばり強くつづけられ、そして達成されていく。そこに、楽天的な「成長物語」とはテイストを異にする現代らしいリアリティと、しみじみとした(生きていくための)勇気の源があるのだ。

もっとも、世界的な大不況というタイミングとも相俟って、本作が時事的な小説として読まれる(あるいは、それゆえに高く評価される)ことは、ある程度避けられないだろう。ただそれは、単に社会(的事件)を素材にしたというより、自分の足元と見つめながらモチーフを掘り下げる創作をつづけてきた結果、現実に少しばかり先だつ形で、『ポトスライムの舟』が生み出されたはずだ。だから、本書は、「文学の予言的性格」を文字通り体現した、明るい面から暗い面まで現代の息吹を吸った、現代文学そのものである。こうした作品が、芥川賞を受けて日の当たる場所に出ることは、文学にとってもこの国の文化にとって喜ばしいことだろう。それだけでなく、特に、この社会に苦しめられながら生きる人々にとって、本書が主題とした「私(自分)の肯定」は、生きる源とも成り得るだろう。

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紙の本

誰もが行けない世界一周クルージング

2009/04/26 09:37

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第140回芥川賞受賞作。
 自分の年収が世界一周クルージング費用と同じであることに気づいた二十九歳の主人公が一念発起しながらも、なんやかんやに取り込まれ、あがき、あきらめ、またあがき、最後には突然支給された臨時賞与でクルージング費用にまで到達したしたものの、ほぼ行くことはあるまいで終わる物語である。

 芥川賞の選評者たちは「作為的でないストーリー」(宮本輝)や「大きな出来事が起るわけでもない」(黒井千次)と評価しているが、むしろ作者の作為を私は強く感じた。
 念のために書いておくが、これは「小説」なのだから「作為」があっておかしいことはない。
 しかし、それは見えないように隠されなければならない。離婚を決意した学生時代の友人が主人公の家にやってくることは「大きな出来事」ではないのか、年収に世界一周クルージング費用程度しか出さない会社がどうしてふいに主人公がめざす貯金額にいたる臨時賞与を出すことが「作為的でない」といえるのか。
 そもそも、この物語の主人公が「暗い夜には電気をつけ、暑い夏には冷房を、寒い冬にはこたつや石油ストーブを動かせるだけの生活を維持するために」働いていることすら、現実感に乏しくみえてしまう。正社員にもぐりこむことで、生計を営み、娘を小学校に通わせる、離婚を決意した友人との差は何なんだろう。

 山田詠美は「今の時代を感じさせる。と同時に普遍性もまた獲得し得た上等の仕事」を評したが、『ポトスライムの舟』の世界と、現在の不況下の世界は、現象は似ているが、働く者たちの心のありようとして、実は大きく相違しているのではないか。
 もちろん、主人公が怠けているというのではなく、社会との関係性において希薄という意味で。
 だからこそ、ポトスライムのうすい緑の葉が、幾重にも円をえがくその根が、深い意味をもっているのだと思うのだが。

 村上龍は「コントロールできる世界だけを描いている」と思ったから推さなかったという。
 裏返せば、それは書き手としての津村記久子さんの強さかもしれない。
 ただし、物語の最後の「また会おう」以下の数行はまったく余計だろう。

 ◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。

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2009/02/03 20:27

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2009/02/24 20:39

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2009/02/11 19:49

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2009/02/13 22:10

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2009/02/15 16:29

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2009/02/19 21:29

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2009/02/24 22:03

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2009/03/18 01:04

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