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科目等履修生となるための志願書類を書く際に通読した。
来週の試験対策も含めて、改めて読み直したが、科研費の歴史は、まさに日本の科学史の写像といえよう。
第一次世界大戦時、欧米は科学研究動員計画を実施し、研究が大型化・重点化した。それに対応するために科研費の前身となる大正7年に国が研究者個人に直接資金を交付する「科学研究奨励金」制度が創設された。戦争における科学動員がさらに進み「科学研究費交付金」も加えられ現行の概念が指導した。
第二次世界大戦後、経常的な「講座研究費」は「教官研究費」となり期間的構造ができたことに加え、プロジェクト型の科研費は現在に至るまで拡大し続けた。
政策としての競争的資金の考え方は、平成8年の第1次科学技術基本計画に書きこまれたときから導入された。
現在、第4次のそれの素案をみることができるが、とにかく「イノベーション」色が濃くなっているところだ。
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・科研費は2000億円規模の事業だが、根拠法が無く、法律補助でない。国会の議決による予算補助を年度ごとに積み重ねているユニークさがある。
・現在の配分方式の基は「藤岡数式」という過去の研究実績と提案書の両方を勘案するもの。
・昭和50年代に農学系の特定研究の中に「サロン」を設けることが推奨された。そこから毎年1件の研究プロジェクトが生まれた。
・現行の「奨励研究」は、昭和16年に中学校教員や師範学校教員に拡充された部分が、戦後のGHQの理科教育推進の考慮され、今に至っている。