紙の本
アタマとココロの遊園地。楽しんで、泣けてくる。
2009/06/30 00:18
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はりゅうみぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ほっとする。
働いて働いて、毎日毎日くたくたで。
満身創痍の世の中でこんな形の幸せが、1つくらいあってもいい。
「人生全肯定」なんて、お気楽過ぎて少々不安を覚える帯コピーを横目で見ながら読み始めれば、そこは思いもかけないワンダーランドだった。
5編のお話が創るアタマとココロのための遊園地だ。
「東京しあわせクラブ」ではゾクリと寒いお化け屋敷気分、「あおぞら怪談」ではコーヒーカップのごとくあったかいハラハラに振り回され、「気合入門」では宝の原石をつり上げるUFOキャッチャーの醍醐味に歓声を上げる。
もちろん当遊園地の目玉は、表題作「本日、サービスデー」だ。
胸一杯で言葉も出ないゴールに向かって急上昇・急降下するこのワクワク疾走感。まさにジェットコースター、短いながら最大アトラクションにふさわしい。
そして読み終わって初めて分かる仕掛けに驚き、天使やら悪魔やらコミックチックなキャラクターとナンセンスギリギリのストーリー展開が実は緻密に計算された演出である事に更に驚き、どんなに孤独を感じようと無人島で生きているのではない限り人は1人で生きているのではないと思い知らされ、なお一層驚くのだ。
この本を開く前には確かに重かったアタマとココロ、本を閉じた時にはなんだか軽くなっている。
両手を腰に、「よし、もうちょっとがんばろう?」とつぶやく自分がいるのだから。
喜劇は悲劇より、より確かな人間観察の目を必要とする。黒をより深く美しく表現するには白の良さを知らねばならないからだ。
この作者がコメディもいける。それも当然のことだった。
元気の出た後、もう一度、今楽しんだ遊園地を振り返る。
作者はここに何を託したのか。なぜ、この順序で私はアトラクションを体験したのか。
ここに来た今日があなたのサービスデー。だから…。
ソウカ、ソウダッタノカ。
なんと温かいメッセージ。心の底からほっとする。
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朱川さんの作品を読むと、頭の中で登場人物がリアルに動き出します。 今回も、トイレの鏡の中から天使やら悪魔やらが抜け出して来ました。
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短編、中篇をあわせた作品集。
『東京しあわせクラブ』だけ、ちょっとブラックが強すぎてついていけなかった。
悲惨な事件に関する収集が趣味の人達の集まりが”東京しあわせクラブ”なのだが、他人の不幸をひたすら感じて、それで自分の現在の境遇に幸せを感じるというのは、やりすぎではないかしら。
もっとも小説を読んで疑似体験をし、日々流れるニュースに眉をひそめ、それで今の自分の立ち居地を確認している私も、突き詰めれば彼らと同じなのだろうか。
その他の作品も、作者流のエールは感じるけど、人生楽な事ばかりじゃないんだよ、棚ぼたの幸せなんてそんなにないんだよ、と言われた気分になった。
さて、もし、自分の人生でただ一度のサービスデーが分かったら、私は何を願おうかしら・・・。
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あれ、この人ってこんなだっけ?
と、頭が「?」マークでいっぱいになった、この作品。
とくに表題作の「本日、サービスデー」は朱川湊人らしからぬ、コミカルなタッチ。
それはそれで良いんだけど、私はいつもの不思議で妖しい雰囲気のものが好きだから、どれも物足りなかったな。
全部が全部、丸く収まっちゃうのも何だか少し気に食わない。
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『あおぞら怪談』だけなら星5つ。感動した。「よかったなあ」のセリフで涙出た。いい話だなあ。他の短編も不思議で懐かしくて優しい。ユーモアもあるし読みやすいしこれは他の作品も読まねば。
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朱川さんの今までの読んだ小説に比べると、恐怖を感じる部分が少ないです。
逆に、ちょっとコメディちっくで笑わせてもらいました★
今までと、ちょっと違う朱川作品ですが、読みやすくて誰にでも好まれると思います。
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暗いのか、明るいのか、ガジェットありなのか、リアルなのか
どっちかわからなくてこの人の作品も2作目なので
作風がわからず判断ができずらかったが
短編集としては内容がぜんぜん違うのに
同じテーマな様な統一感が見れた。
他の作品も気になる人です。
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中篇1話・短編4話のエッセイ。
「本日、サービスデー」・・・ほぼなんでも願いが叶う「サービスデー」にあたった中年サラリーマンと天使・悪魔がサービスデーの使い方をアドバイス。
「東京しあわせクラブ」・・・凶悪な犯罪の関連グッズを見せ合ってレア度を評価するクラブ。身近な犯罪と向き合うことで、今自分のしあわせを感じる。ちょいホラー。
「あおぞら怪談」・・・先輩の家に手首だけの地縛霊るり子がいるという。ところがるり子は健気な良い娘(?)。ちょっと感動的なおもしろホラー。
「気合入門」・・・小学2年生。えらそうな兄ちゃんを見返そうと、気合でマッカチン(ザリガニ)を釣るが、マッカチンの凄まじい意気合に負け、教訓を得る。
「蒼い岸辺にて」・・・人生に望みを持たず自殺した女性が、三途の河で舟守に自分の未来を教えられる。未練復活生き返りたい!・・・。
どれも読んだ後ホッとなる良いお話しでした。東京しあわせクラブはドロいけど。
エッセイ嫌いなおれでもかなり楽しめた一冊!
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神様はどの人間にも一生に一日だけ、サービスデーを与えてくれる。その日はどんな願いでも叶えられる日だ。しかし、その日を本人には知らせてくれないので、普通の人間は「今日はついてたなー」くらいの感想で、何となく過ぎてしまうのだ。
偶然、今日が自分のサービスデーであることを知ってしまった中年ダメサラリーマンの1日を描く。天使のガブリエルに、ギャル悪魔サターナなどの個性の強い登場人物たちをこれでもかと詰め込んだ、疾走感のあるドタバタコメディー。
エンディングは都合良すぎる気がするけど、スピード感があるから、許してしまう。
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世界中の人間には、それぞれに一日だけ、すべての願いが叶う日がある。それが、サービスデー。神様が与えてくれた、特別な一日。本来は教えてもらえないその日を、思いがけず知ることになったら。直木賞作家の幸運を呼ぶ小説。
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タイトルが目に付き
「この本を手に取ったあなた。
あなたは今日、
世界でいちばん
ツイている。」って帯に借りてみた。
冴えない中年男がビデオを見ていると
「今日あなたはどんな願いも叶うサービスデー」と呼びかけてくるナゾの女が。
どれも読後感よく、表題作が一番好き。
【図書館・初読・8/23読了】
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花まんまのノスタルジックなホラーなところが好きやったんですがそれに比べるとかなり軽い感じがしました。
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世界中の人間には、それぞれに一日だけ、すべての願いが叶う日がある。それが、サービスデー。神様が与えてくれた、特別な一日。本来は教えてもらえないその日を、思いがけず知ることになったら。直木賞作家の幸運を呼ぶ小説。
いくつかの話が入った中編集(?)でした。表題作が1番面白かったです。
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もしも、どんな願い事でも叶う日が1日あったら
あなたなら何を願いますか?
これは、そんな物語です!
リストラ間近の男の前に、突如としてトイレの鏡の中から
黒いエナメルのボディコンワンピースを着たグラマラスな女
続いてガブリエルという天使も現れる。
こうして、天使は彼を守る為に助言し、
悪魔は彼に様々と囁きかけるのである。
地球上のすべての人間に、一生に一度だけ、
どんな願い事でも叶う日が与えられていると・・・。
その日は、仕事、人間関係でもラッキー続き。
だが、彼が心に思ったある事が後で
取り返しのつかない恐ろしい現実となり、
あり得ない体験をしてしまう・・・というもの。
天使とか悪魔とか、オカルトっぽいホラー小説なのか(笑)
この手の作品は、あまり読まないが、5編の短編の中でとりわけ
表題作「本日、サービスデー」は、面白い!!
人と人の不思議な繋がりとか
人を犠牲にして、その上に自分の幸せなど成し得ないと
そんな風に感じた。
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結構励まされる1冊だったと思う。
「花まんま」ともちょっと違って、荻原さんにも似てる印象でした。
わりと読みやすいので、お気軽にどうぞ。
2009.11.9~11.14読了