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毒入り餃子にメラミン混入粉ミルクとなぜ中国ではこのような問題が起きるのか。
実際に中国の農村を回り中国農業の実態を自らの手で確かめる著者の言葉は生々しい。
土(農地)を愛せない農民たち、それゆえに土も水も死んでしまっている。
そこで作られた農作物を食べるしかなくなりつつある日本の農業にも警鐘を鳴らす。。。
中国の「食」問題は日本の「食」問題である。
日本における中国からの輸入食品の問題は、企業を悪の根源として法制度を批准するなど消費者の立場で捕らえているが、中国の農民がどのような境遇に置かれ、今後どうなっていくのかを見なければ、日本の「食」の未来を正しく見ることは出来ない。
日本の食問題は、供給源である中国の農民と農業問題と一体である。
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なぜ大量の農薬が必要になるのか?
化学肥料は普及しつつあるが高い為、人糞肥料をつかう
→教育不足の為、無発酵のまま畑にまくため土壌に細菌や害虫が繁殖
→殺菌の為、大量の様々な農薬をまく
近い将来、日本では「おふくろの味」は完全に消え去り、「袋の味」が幅を利かせるようになるだろう。
農業の発展の足かせとなる法律→”農地法”
※農地法→個人であれば農家しか農地をもてない
中国では農民でありながら農地を所有できない点に問題があるが、日本では「農民でなければ農地を所有できない」点に問題がある。
・自由度が低い為、新規の参入者が増えずに、発展に繋がる競争すら起きない
・農業系大学の学生が農業とは無縁の食についている現状
・脱サラしても、、、
農地は農家から借りるしかないが、良い土地は貸してもらえない
農協の正組合員にはなれずに准組合員にしかなれない(補助金や国の精度を十分に受けられない)
参考『農協の大罪 』
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中国の農民がおかれている状況が克明に示されている。
改善すべき点は、政治、教育、環境に関する視点であると感じた。
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[ 内容 ]
残留農薬野菜、毒入りギョーザ、メラミン混入粉ミルク―。
中国から日本に続々輸入される「汚染食品」。
国際事件の背景には、中国農業の崩壊という厳しくも悲惨な現実があった!
すなわちそれは、日本人の「食」の崩壊を意味するのだ!
日本が飢餓列島から脱する道は、どこにあるのか。
[ 目次 ]
序章 農場から農民が消えていく―中国農業の崩壊が日本を飢餓列島へと導く
第1章 竜頭企業の支配が始まった―農地から追い立てられる農民たち
第2章 土を愛せない農民たち―人糞肥料と農薬、そして貧困
第3章 土も水も死んでいる―人間と農産物を死に至らしめる環境破壊
第4章 中国国家VS.中国農民―石と棍棒を手に立ち上がる農民たち
第5章 中国農業崩壊と日本への波及―食料危機から食料危篤へ
終章 日本人に残された道―農地法改革と「おふくろの味」の復権
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(推薦者コメント)
中国産の食べ物は何となく危ないと思っている人は多いと思う。本書は、その現実を知らせてくれる。出版社が朝日新聞系というのもポイント。
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中国農業の現状と課題がうまく整理されている。また実際に中国農村の奥深くまで入り込み、表面的な調査では知り得ない生々しい現実を教えてくれる。
日本の農業技術を異常に持ち上げているが、それは中国と比べたらであって実際高い意識と知識技能を兼ね備えている農家は日本でも少数派ではないだろうか。そうでなければ日本農業はこれほど悲惨な状況になっていない。決して農地法だけのせいではないと思う。
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2009年刊行。著者は愛知大学国際中国学研究センター所長兼現代中国学部教授。タイトル通りの書だが、現地調査も怠りなし。日本における農産物の大量輸出国たる中国(特に、野菜は輸入額の半分)からの農産物流入は避けられない(中国の飢饉は日本の飢餓)ことを踏まえ、中国農業の問題は日本への影響は不可避としつつ、その実情解説と処方箋を展開。問題点の根幹は、中国全体は発展途上国並の経済的実力で、インフラ整備の余裕なき点、毛沢東政権失政という史的由来による歪みと要約できそうなので、なかなか解消困難というのは理解できる。
具体的には、➀水(枯渇と汚水対策不全)、②中国農民の教育レベル(明治期かと錯覚しそうな程)に基づく低位の技術力、知識不足と労働者としての問題点、③低い労働生産性(人民公社性や農地使用権制の負の遺産)等の問題点を徹底開陳。他方、日本の問題(耕作放棄地の拡大、高齢化の亢進、農地の転用管理の甘さと農民の悪しき既得権、新規参入の阻害)をも舌鋒鋭く、自給が夢物語である苦い現実も活写。その意味で、食糧輸入に携わる食品加工会社・商社の力、つまり、技術指導の不可避も併せて叙述。
もっとも、食糧輸入に伴う安全性の問題は対中だけでなく、対米にも妥当しそうだが…。なお、二極化の亢進と失政由来の問題ゆえに、著者の言う如く、総じて見れば、一次的弱者が中国農民、二次的弱者が日本と中国の消費者という構図は否めないかも。PS.「銀の匙」というマンガが日本の農家における離農を描く場面があるが、新規参入の障壁には筆が及んでいない。むしろ、ギャグとエロに彩られる「のうりん」の方が新規参入障壁を背景事情として持っていたようにも思える。