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下駄貫の死 新装版 みんなのレビュー

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みんなのレビュー7件

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7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本

何も、殺さなくたって……

2010/10/06 17:23

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

そりゃあ、下駄貫こと、下駄屋の貫六は、政次や亮吉に対して、ちょっといじわるで、ちょっと嫌な人だったよ。
だけど何も殺すことはないだろう!
と、作者に向かって言いたくなってしまった。

金座裏の宗五郎親分の手先たちのなかで、先代から仕えている八百亀こと、八百屋の亀次についで、古参の人で、長いこと宗五郎を支えてきた重鎮のひとりである。呉服屋から引き抜かれてきた新参の政次が、親分の後継ぎになることに不満を抱いている。だけどまあ、こういう場合、不満を抱く人も出てくるのは当然で、政次は、それに耐えて手柄を重ねていって、ついには、下駄貫からさえも実力人柄ともに認められる大親分になる、っていうストーリーだと、てっきり、思い込んでいた。それなのに……

話は、松坂屋の隠居松六の古希の祝いから始まるのだ。松六が、そろそろ、政次を金座裏の後継ぎとして御披露目を、と宗五郎に言い、宗五郎もそのつもりになったことに安心して、伊香保に湯治に行くという。松六と妻のおえい、つきそいの手代と小僧、それに、宗五郎の妻おみつ、豊島屋の清蔵の妻おとせ、それに、しほも、同行する事になる。

一行を板橋まで、宗五郎親分、清蔵、政次、亮吉が、送っていく。ところが彼らの目の前で、ひとりの女性が数人の男たちに襲われて殺されてしまう。彼女は妊娠していた。いまわのきわの言葉は、「くらまえ」。

とりあえず、湯治組は旅を続行し、金座裏一行は、さっそく、探索にかかる。「くらまえ」は蔵前通りの店のことだろう、と目星を着けていたのだが……

翌日、政次が、神谷丈右衛門道場での朝稽古を終えて金座裏に走って急ぐ途中、「蔵前屋」に盗賊が入った、という、宗五郎とは別の親分の手先たちの言葉を耳にする。

はっ!

とした、政次。たちまち、「蔵前屋」への近道をとって猛然と走って先回りし、現場に入り込む。これは、たとえ縄張り違いでも、現場に先に到着したほうが探索の優先権がある、という慣習だったから、らしい。

なかなか、やるじゃん、政次。おとなしくてまじめなだけじゃなくて、結構、こいつは、やる。そういうとこ、好きだぞ!

あの「くらまえ」と言って死んだ女は、「蔵前屋」に盗賊が送り込んだ、引き込みだった。それが、足を洗おうとして殺されてしまったのだった。

政次の活躍で、宗五郎親分たちは、盗賊たちを捕えることができた。

その後も、いつものように、お江戸の事件を、金座裏の親分たちが解決していき……一方、伊香保組はのんびりと湯治を楽しみ……年寄り連中は、政次が金座裏の後継ぎになったら、しほが政次の嫁になるといい、などと盛り上がり、本人に勧めて、しほを困惑させている。政次は好きだけど、金座裏のおかみさんになるっていうのがちょっと……と、引いてしまっている。無理もない。宗五郎の妻のおみつ自身、湯治に来て、子分たちの顔を見ないですんで、せいせいする、なんて言っている。やはり、あれだけの目配り気配り手配りをするのは、たいへんなことなのだ。

今回の話では、要所要所に、印象的なおばあさんが登場した。

船宿綱定の女将おふじがさらわれたとき、おふじが落としていった櫛を髪にさしていた、おこものおばあさん。亮吉がお金を渡して櫛を取ろうとすると、いやいやをした。なんだか、かわいそうになった。こんなおばあさんをいじめては、いけない、と思った。

伊香保組が鎌倉河岸に帰って来た、翌日のこと。

鎌倉河岸に小舟で野菜を売りに来ていたおばあさんが、まだ年端もいかない若者の数人組に襲われた。おばあさんは倒れて腰を打って、しばらく歩けなくなったが、幸い、骨は折れなかった。頭も口も達者で、彦四郎の猪牙舟に自分の小舟をつないでもらって、戸板に寝かされて、船で自分の家のある村へ連れ戻してもらった。私は、てっきり、一人暮らしだと思い込んでいたが、ちゃんと息子や嫁がいて、おばあさんを助けてくれたお礼にと、彦四郎の猪牙舟一杯に野菜を積んでくれて、豊島屋や金座裏で分けても、余るほどだった。奇禍に遭っても、こういう、お達者なおばあさんが登場すると、うれしくなるし、ほっとする。

そして、この、年端もいかない若者達が、下駄貫の命を奪うのだ。

責任を感じて、ひとりで彼らを捕えに行こうとする、政次。

> 「貫六さんの二の舞はよして、政次さんらしくないわ」
> 「貫六さんは探索の最中に悪い連中に襲われ、命を落とした。政次さんのことはなんの関わりもないの。うぬぼれないで」

しほ、強い、賢い、頼りになる、いい娘だ!

政次は、しほに支えられ、亮吉や常丸をはじめとする若手の手先たちにも励まされ頼られ、皆の指揮をとって、若手だけで、下駄貫殺しの下手人を捕えることができた。

その後、改めて、下駄貫のお悔やみの会が催されたが、それは、同時に、政次を正式に金座裏の後継ぎとして披露する会でもあった。松坂屋や豊島屋の主人夫婦、金座や奉行所の役人、政次の両親も招かれ、子分一同も揃って、政次は羽織袴で、挨拶をした。

で、その正式な会の後で、若手の手先たちや彦四郎たち若い連中だけで、政次も一緒になって、お酒を飲む。そのときには、羽織を縫いで、しほがそれをかたづける。政次は、いつもの呉服屋の丁寧な言葉遣いじゃなくて、伝法な調子で、お酒も、ふだんはちょっとなめるだけなのに、きょうは、ぐーっと一杯、飲んで、くだけてくつろいだ姿でみんなと飲み明かす。

政次、実に、気を配ってるなあ。これからも、たいへんだなあ。しほも、以前は、政次と所帯をもてたらいいな、という夢を抱いていたが、これからは、金座裏のおかみさんという重い役目が自分に勤まるだろうかと思い、ただ夢見てばかりもいられなくなっていた。このふたり、まじめなだけに、心配である。それはそれ、これはこれ、で、さっさとくっついていちゃいちゃしようとか、考えないのね……

その後、しほの旅絵日記が豊島屋に飾られ、それが、次なる事件の探索に一役買う。これこそ、鎌倉河岸シリーズの大きな魅力の一つ。いまや、しほの絵は、鎌倉河岸の名物だ。しほは、基本的には、誰に対しても優しい。罪を犯す人々に対してさえも、心を痛め、悲しむ。それが彼女の魅力だと思う。政次にも、そんなところがある。このふたりなら、幾つもの犯罪に出遭って、傷ついても、支えあっていけると思う。

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2009/03/01 23:36

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2014/05/02 21:11

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2014/12/31 14:12

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2019/05/25 18:07

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2020/05/04 22:32

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2021/06/12 11:10

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