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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者といえば、FM東京の「渡辺貞夫マイディアライフ」内のラジオCM「虫明亜呂無ブラバスエッセイ」を思い出す。12chかなんかの映画解説もしていたはず。
ロートレアモンの「手術台の上のこうもり傘とミシンの出会い~」を彷彿とさせるような表題。
実際に作者の書いたものをまとめて読むのは、恥ずかしながら、はじめて。読みながら、震えた。作者の嗜んできた知性や教養、感動などの豊かさのお相伴にあずかって読み進む、う~ん、読書の醍醐味ではなかろうか。
スポーツをテーマにすると、ノンフィクションスタイルの持って回った言い回しや、汗臭い、感動の大安売り的なものが多い中、作者のは、明らかに違う。スポーツを体育、フィジカルなものから美学、時にはエロティックな次元にまで高めている。
短めのフレーズの連なりは、テンポとリズムを生み、吟味された言葉は、直接、頭に飛び込んでくる。アスリートも女優もサラブレッドも作者には美しいしなやかな対象物(オブジェクトあるいはフォルム)として等価なのだろう。走るために生まれてきた。踊るために生まれてきた。演じるために生まれてきた。
昨今、PCで原稿を書くようになってから、分量も、その基本である一文も長くなったような気がする。「センテンスはなるべく短く」と、コピーライター専門学校で習ったのに。
著者の本の装丁は、石岡瑛子が手がけていたそうだ。彼女が、パルコのCMキャラクターに女優を起用する際、ドミニク・サンダを推薦したという逸話が出てくる。そうだったのか。
このような素晴らしいエッセイ集を編纂した編者の高崎俊夫に感謝多々。ぼく的には、今年読んだうちでも上位に入る本。
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映画・演劇評論を中心としたエッセイ集。まずはとにかく映画や音楽、文学等への造詣の深さに恐れ入る。
ほとんどが女性の美しさやエロスについて書かれたものであるが、その文章は非常に上品で知的、美しく、そしてエロティックであります。
例えば「オナニー」なんて語がモロ書きされているんだけど、それがちっともいやらしくないから不思議である。
そして、映画のお気に入り場面を回想し、俳優だけでなく画面に映るあらゆるモノ1つ1つにエロスを結び付け、自分の世界観により再構成していく。
その緻密な技巧の素晴らしさは読後にもあとをひき、何度も読み返したくなる衝動に駆られます。
ちなみにタイトル「女の足指と電話機」とは、つかこうへい「ストリッパー物語」の中に登場する、女性の足を電話にするシーンから取ったもの。このタイトルだけでも脱帽ですね。
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★肉体への憎しみ 時さえ忘れて 愛されるのはなぜか
「舞台の上に、あおむけに寝た宇津宮雅代が、足指をそっくり三浦洋一にくわえられ、舐められるところがある。男女の愛欲が、ある緊張感を伴って表現される。と、三浦洋一のひもが、女の足をそのまま電話器にして、客引きの注文取りにつかう。ここが、舞台の演劇的ハイライトで、奇妙なセクシュアルな情景がかもしだされ女のなまの味が、観客をとらえる。ひもを軽蔑し、しかもひもから離れられない女が、かなり明白にクローズ・アップされてくる」
タイトルにもなっている「女の足指と電話機」というエッセイは、六本木の自由劇場で好演された三浦洋一のひとり会・つかこうへい作『ストリッパー物語・惜別編』に関しての文章です。
まるでご本人がまだ生きておられる風な気持ちになるような本を手にしました。1991年ですからすでに亡くなってから21年経つというのに。
虫明亜呂無といえば、私にとっては映画評論でお馴染みなのですが、最初の出会いが昔の古い雑誌大好き人間の一人としては『話の特集』だったのか『映画評論』だったのか、もうとうに忘れてしまいました。この本の文章は『スポーツ・ニッポン』というスポーツ新聞に連載されていたもので、音楽と映画に関するエッセイがまとめられていますが、3、40年前のものなのに少しも古びた感じがしないのは流石です。
ジル・クレイバーグの魅力とか、ヴァネッサ・レッドグレーヴやジェーン・フォンダ主演の、アメリカで成功したドイツ系ユダヤ人のリリアンが、反ナチス運動の中で虐殺された少女時代から仲良しだった同じドイツ系ユダヤ人のジュリアを追憶するという、リリアン・ヘルマンの回想を元に作られたフレッド・ジンネマン監督『ジュリア』の、女どうしの友情をめぐる文章がとても印象的でした。
そういえば彼は1960年代頃には私の好きな『映画評論』の編集部に在籍していて、映画批評からルポルタージュまで数多く書いて活躍していたことを思い出しました。
残念ながら私は彼のお得意のスポーツ評論なるものをほとんど読んでいません。特に彼の愛した競馬についてなども、寺山修司もそうですが私がよくわからないから敬遠しているのに過ぎないのですが、それではお二人を理解するのに片手落ちだとは思うのですが。
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スポーツには興味がないが肉体には興味がある
ボードレールとランボーはデカダンスができる。
丈夫な体を持った人だけが頽廃を体験できる。
私がジムに通いはじめた理由、ここにあり、