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【本】"渚にて"ネヴィル・シュート著創元SF刊読了。某若女将からお借りした本。全面核戦争のすぐ後、残されて、じわじわと迫り来る日を前にした、普通の人びとの物語。…この小説が書かれた時代の人びとの、持っていた良きコンセンサスを、今、失いかけていないだろうか?より良く生きる事とは?
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1957年発表のSF小説
人はいつか必ず死ぬが、いつ死ぬかはわからない
しかし、本書の登場人物には、それがわかっている
だが、徐々に迫り来る死の恐怖に対し、 パニックを起こすことなく、皆が静かに心の準備をしているのだ
来年収穫する(彼らに来年は無い)野菜のために家庭菜園を整備する者
就職のためタイピングの技術を習得しようする者
故郷アメリカ(アメリカはもう無い)で待つ家族のためにプレゼントを買う者
バーの地下に眠るビンテージもののワインを飲もうとする者
グランプリのために愛車を整備する者
死期がわかっていながらも普段と変らぬ生活をし、輝く未来を信じて行動する登場人物たちの強さに胸を打たれた
そして、美しいラストシーン
小説を読んで泣いたのは久しぶりだ(ノ_・。)
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1957年に出版された、核戦争で滅びゆく世界、最後に残ったオーストラリアと、アメリカ軍潜水艦の乗組員を書いたSF。
今現在日本もこんなだからって意味でも読んでみました。
死にゆく運命にある人々を丁寧に、落ち着いた語り口でおとなしく書いてあるのがまた、諦めと現実逃避に染まった雰囲気とあいまって面白かったです。
危機を迎えてやりたいことやるひと、職務を全うするひと、日常バイアスに染まったひと、みんななんか去年に見たような風景で、SFってすげえな、と思った次第です。
でも赤い小箱に入った錠薬、危機回避のためのヨウ素剤すら配れなかった日本にあんなこと出来るかな。
日常のほうが小説よりアナーキーであったという事実には、なんとなく嘆息を禁じ得ませんなあ。
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随分前に購入してあった本です。ようやく読みました。
全面的核戦争が各地で起こり、何発(何十、何千?)原子爆弾が使用されたかもわからない状況下で確実に放射能が迫ってくる世界最後の都市で暮らす人々のお話です。なんだかすごく達観している感じがしましたがかくありたいなあと思わせるものがありました。
書かれた時代が古いので情報源がラジオや電信しかなかったりですが実際問題電力供給がなくなれば人は最終的には何に頼るのかな。
この間の震災後、関東でも買占めがおこりましたし実際こんな状況になれば我とわが身だけでも助かろうと核シェルターを急遽作ろうとしたり、略奪や大混乱が起きると思う訳です。ですが個人的にはもう時間が無いのなら最後の時間を有意義に使いたいモノだなあと思うので登場人物たちの潔い決断に素直に頷く事が出来ました。私だったらなんだろう。美味しいものでも食べてたいですね。あの年代物のワインを片っ端から飲みほしていったオジさんのように。
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第3次世界大戦の際の核兵器使用で北半球が壊滅状態となった世界。生き残ることができた南半球のオーストラリアの人々も、間もなく風に乗って運ばれてくる核物質によって死滅すると発表される。
背表紙の内容紹介を読んだときは、てっきり冒険もののSFかと思っていたので、海軍の仕事を描く部分もあるものの、あくまで彼らとその周りの人々の日常を描いた作風は予想と違うということもあって、少し退屈に感じてしまいました。
そうはいっても名作と呼ばれるだけあって、世界観と話の雰囲気がつかめてきた中盤以降は読み込んでしまいました。理不尽にも迎えることになってしまった世界の終りの中で、最後の瞬間までをどのように生きるか、そして死の瞬間をどのように迎えるのか。非日常な世界の中で日常を最後まで貫こうとする人々の姿は人の強さも弱さも感じさせてくれました。
淡々とした描写が続き、変に感傷的な文章でもないのが、この作品の世界を作り上げているように思います。それとともに核という足枷を作ってしまった人間の愚かさ、そしてこの問題はこの世界で生きている以上、どんな生物でも他人事ではないんだ、と再認識させられました。実際この話のオーストラリアの市民にとって北半球の核戦争なんて全く関係ないのにこういう事態になってしまっているのですから……
それにしても最近この手の作風に弱くなってしまったなあ(苦笑) 作中の登場人物であるモイラの想い、生まれて間もない子供を抱える海軍少佐の夫婦、海軍大佐の家族への想い、そして静かに閉じられていくラスト……。終盤は家で読んでいたからよかったものの、電車の中で切ない系が読めなくなる日も近そうです(笑)
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SFディザスターストーリーに例えられる本書ではあるが、キェルケゴールの哲学書「死に至る病」をベースに絶望の中にあって人として如何にあるべきか?何処に『生』を見出すか?を読者に問う作品。
全面核戦争により壊滅した世界に残されたオーストラリア大陸のメルボルンを舞台に、やがて訪れる超高濃度の「死の灰」の到達まで半年という期間で人類滅亡の恐怖と葛藤の中、ある者は信念を、ある者は夢を謳歌する事で生甲斐を模索する姿が描かれており、絶対に避けられない「死」を認めた上でそれぞれに観えて来る喜びや幸福感を見出す「生」の価値は深く胸を打つ。
1957年の本作発表後、話題となり同名で1959年に同名で映画化されるも、原作としてのメッセージ内容が大きく変更され核戦争への「反戦映画」的な仕上がりに著者は大きな不満を持っていたとは有名な逸話。
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終末世界に生存者
助けるチームと助けられるチーム。トンネルを両方から掘り進めるような感じ。帯にはこんな感じで書いてあるんだが、物語は異なる。生存者の存在は、わずか数ページで、あっけなく否定される。
北半球に放射能が蔓延し、ゆっくりと南半球に拡がっていく。そのペースで、すなわちゆっくりと物語が進んでいく。半分くらいまでは、流し読みでもいいくらいに、ゆっくりと進む。そして、中盤くらいからは少しずつスピードがあがる。人類滅亡が現実のこととして人びとに認識されていくわけだが、その過程が悲しく絶望的だ。
いったいどんなどんでん返しがあるのだろう。生存者を発見すれば、事態は好転するのだろうか? そんな想いをいだきながら読み進める。しかし、生存者はあっさりと否定され、滅亡へのカウントダウンだけが確実に進んでいく。
そのとき人類はどのように振舞うのか。環境や規律に縛られない状態での振る舞いは、結局個人の考えに帰するんだろう。淡々と物語は滅亡へと向かう。まさに淡々と。すばらしい作品だ。1957年の作品だが、色褪せていない。長すぎるきらいはあるものの、愛すべき登場人物たちの最期を看取るのはとても辛いから、省きようがないんだろう。名作と言われる本に出会えて良かった。
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最期を迎える時に、人間はどう振る舞うのか。
結局人間というのは何かせずにはいられないから、日常と同じように行動するのだなとつくづく思った。
自分だけは大丈夫、自分だけは死なないという漠然とした思い上がりは、津波やフクシマのことを考えさせられる。
現実逃避というよりも、残された日々を幸せに過ごしたいという思いゆえに近い未来の話を繰り返す人々の会話が、寂しく、いじましく、切なくて涙が止まりませんでした。
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核戦争後のオーストラリアに迫る放射能の危機。じわじわと迫りくる死の予感に人々はどう立ち向かっていくのかといった感じの内容。ラストあたりでは、読んでいる方まで寂しくなってくる。もし一か月後に地球が爆発するとして、はたして心安らかに余生を過ごすことができるだろうか。本の中に子供のいる家族も出てくるが、架空の話としてもいたたまれない気持ちになる。大佐の乗る潜水艦を見送るために、命尽きる前の短い時間を使い海辺へ車を飛ばす若い女性(モイラ)の姿は、悲しさを通り越してカッコよかった。
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逃れられない終末に向かう人々の強さに胸を打たれる。自分がこの状況に立ったとき、果たして同じような強さを持てるだろうかと考えさせられた。 終末の美学と言うのは軽率かもしれないけれど、この世界とこの世界に生きた人たちはただただ美しく感じた。
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[ 内容 ]
第三次世界大戦が勃発、放射能に覆われた北半球の諸国は次々と死滅していった。
かろうじて生き残った合衆国原潜“スコーピオン”は汚染帯を避けオーストラリアに退避してきた。
ここはまだ無事だった。
だが放射性物質は確実に南下している。
そんななか合衆国から断片的なモールス信号が届く。
生存者がいるのだろうか?
―一縷の望みを胸に“スコーピオン”は出航する。
迫真の名作。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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名作と言われるだけの内容だった。
読む前はもっとSFチックな物語だと思ったが全然違い、前半はかなり退屈で読み進めるのが億劫だった。が中盤以降、物語が動き出してからはとても興味深く読めた。
まったく時代は違うが所謂世界系のように大きな破壊描写はせずに終末に向けて淡々と物語を進めることは後半にとても意味を持っていると思う。
前半の日常が後半少しずつ変化していき、最期を迎えていくわけだがこの変化こそがこの作品を名作たらしめるものだと思う。
自分が世界の終わりにどのような行動をするのか、というかその世界の終わりは自分の人生の終わりとイコールになるのでその終わりを自分の今までの人生の尊厳をどのように守りつつ過ごすのかをとても感傷的に考えてしまった。
自分としては読後にこういった感傷に浸れる作品は間違えなく名作だと思う。
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徐々に迫りくる避けられない死というものは本当に恐ろしい。おれはこの物語のように隣人を思いやりながら優しく死を迎えられるか、筒井さんの小説のようにドタバタするか。きっと後者だろうな。
2011年に読んだらもっと切迫感があっただろうな、と思う。
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人類の黄昏。ハリウッド映画のような暴力的カタストロフではなく、静謐な終焉。1957年の本作は現代の水準で言えば冗長で平板と言えるのかもしれない。しかし、終末の描写として、こんなに穏やかな終わりは現代の感覚ではなかなか発想できず、こんな感じなら、自分の最期に経験するのも悪くない。
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人類が滅亡するって時に穴一つ掘らないってそりゃないんじゃないの?と。こんなに淡々と穏やかに死を迎えるもんでしょうか?そこのところが最後まで引っかかったので今ひとつ物語に入り込めず。